本ができるまで4:文章を書く(行動経済学とデザイン)
本ができました!
店頭にならぶのは来週の予定です。まだ実感がありません。
今回は文章を書くお話です。(前回の「絵を描く」はこちら。1回目、2回目も合わせてどうぞ。)
デジタルでは文字サイズも変えられるので、ウェブページのように可変レイアウトが前提ですが、本のレイアウトは固定です。ページめくりや左右の関係性など、本ならではの読みやすさを意識しました。
1. 本の文章構成
僕がnoteに文章を書くときは、画面をスクロールしながらテンポよく読めることを意識しています。一部ですが、Tipsの一例を紹介します。
・1段落に1メッセージ
・1段落はなるべく4行以内に収める
・たまに1行の文章も入れて、強弱をつける
・そこそこで区切り見出しをつける
・難しい漢字を使わず親しみを持たせる
対して本は本の作法があるので、noteの内容をそのまま載せようとすると、スカスカの印象になってしまいます。
ブログの内容にかなり近い本や、twitterの発言を集めた本もありますが、個人的にはそういった本は、ネット上の方が読みやすいと思います。今回はせっかく本を出すので、本らしい本の文章に文体を変換をしました。ただ、そう意識して文章を書いていったのですが、途中で
「なんか、つまらないな...」
と自分自身が思ってしまう文章でした。そもそも文章力だけで魅力を伝えることを狙った本ではないので、各項の構成から見直しをしてみました。例えば2章は各項目を次のように統一しています。
・要約
・行動の特徴
・活用方法
正直なところ、僕は文章を書くのが苦手なので、構成で読みやすさをカバーするという作戦です。最初に要約を入れてまわりくどさをなくして、文章のテンポもそろえていきました。
2.本の組み方向(縦組みか横組みか)
今回の本はウェブと同じように横組みにしました。
理由は、図と文章を分断させないためです。縦組みだと、文章の間に図を入れることができなくなります。また、小説のように文章がずっと続く内容ではないので、それであれば横の方が適切だと考えました。
最近読んだある縦組みの本は、noteのようなリズムで改行を多めに使っていました。正直すごく読みにくかったのですが、おそらく文章を書いている段階では、横組みで読みやすいテンポを意識していたと思われます。
縦組みには縦組みの、横組みには横組みの文章の書き方があると、あらためて気づいたことです。
3. 本の言葉づかい
文章の素材の多くは、すでにnoteに書いていたので、当初は手直しくらいでできるかと楽観視していました。が、それは見立てが甘く、noteやブログなどのような文章と本などの文章には、大きな違いがあることを思い知らされました。具体的にはこんな点です。
・カジュアルすぎないようにする
・トーンを合わせる
・感想で終わらせない(「思います」を使わない)
・主張にちゃんと裏付けを示す
noteのときは、テーマによって表現のトーンもバラバラだったので(その時のノリで書いてました)ここを揃えるのは地味に大変でした。
本には本の、noteにはnoteのそれぞれの表現方法があるので、どちらが良いということではなく、適材適所で使い分けることが大事だなと思います。
4. 本のページレイアウト
文章の量は、最初に1つ書いてみて編集者と適正な範囲を決めました。ですが、ページレイアウトは最後に組むので、その結果、1つの項目が3ページになったり4ページになったり、1-2行でページが終わってしまう項目も出てしまいました。
そこで、デザイナーさんに組んでいただいたデータをもとに、文章を削ったり増やしたりの調整を繰り返しました。(もちろん文章については、誤字脱字や意味不明の文章の指摘もたっぷりもらいましたが)
自分の場合は、なかば自分でレイアウトを想定していたのですが、それがかえって編集者とデザイナー含め、苦労したことになりました。最初は図と文章のボリューム感を考えながら
文章の構成を考えてレイアウトを見直し、
デザイナーさんに根気強く調整してもらいながら、最終的に収まりました。(こちらは途中段階の原稿です)
ちなみに、章のはじまりは横組みは右ページにする必要があるので、奇数偶数の調整も考えます。
レイアウトが先か、文章の素材が先かは、書き手としては悩ましいですね。文庫本のような構成であればレイアウトは強く意識しなくてもよいかもしれませんが、今回の本は図と文章を両立させることが大事だったので、並行して考える必要があったかもしれません。
・・・・・
やってみて正直、最初から書き直した方が早いのではと思えるくらい、文章は直したので、noteで書いた原型は少ししか残っていません。あらためて自分の文章の稚拙さを知ることができました。ですが、本のために書くことで、自分の考えを整理するキッカケにもつながりました。
次回は、3回目に書いた「図の描き方」をもう少し掘り下げて紹介してみようと思います。お楽しみに。
デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。