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『フリー・ガイ』タイカ・ワイティティの悪役演技。

映画『フリー・ガイ』を見に行ってきました!
正直最近は映画館からは遠のき気味だったんですけど、この映画で大好きな映画監督タイカ・ワイティティが俳優として悪のゲーム会社社長・アントワンを演じていると聞いて、彼の最新の演技をど〜しても見たくなってw。

タイカ・ワイティティはじつはボクがいま一番気になってるニュージーランド出身の映画監督&俳優なんです。

紹介すると、ワイティティは監督作『ジョジョ・ラビット』で妄想のヒットラーを自ら演じた監督で、そして『マイティ・ソー バトルロイヤル』でシリアスで暗かったソー・シリーズをコメディ路線に大きく方向転換させて大ヒットさせた監督です。ね、曲者でしょ?w

彼は「人間関係」をコメディっぽく演出します。そうして「人間関係」に観客の目を向けさせることで、人物たちをより身近で、生々しい存在として観客に印象づけるんです。

彼が今回『フリー・ガイ』で演じたアントワン社長・・・ゲーム会社の鼻持ちならない経営者の役なんですけど、超キュートなんですよね。系としては、彼が『ジョジョ・ラビット』で自ら演じたヒットラーの演技と同じ系・・・最悪の人間なんだけど超キュートっていう。現実から3センチくらい宙に浮いた感じの演技なんです。

アントワン社長は「関係を結ぶことが難しい」という人物でした。

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だって斧で自分の会社のゲームサーバーを破壊して回るんですよ!(笑)『シャイニング』かっていう。

そしてジム・キャリーばりの表情&動作で繰り出される、アドリブ台詞の応酬!!! ・・・アニメですよね。 そう!タイカ・ワイティティ演じるアントワン社長の演技ってかつてのディズニーアニメに出てくる悪役みたいなんですよ。フック船長や、ジャファーや、マレフィセントや、アースラみたいな・・・超楽しい!

タイカ・ワイティティの演技ってそのよく動く表情と動作とアドリブ力の高さのせいで、よくジム・キャリーと比較されます。
でもボクはこの2人は根本的な部分が違っているなと思っていて、それはジム・キャリーが演じる人物は「相手を笑わそうとして面白く喋っている」のに対して、ワイティティが演じる人物は「自分が気持ちよくなりたくて面白く喋ってる」ことだと思います。

これって実は大きな違いで、ジム・キャリーの演じる人物って結局相手に気を使ってる・・・要するにそれって「いい人」なんですよ(笑)。それに対してワイティティが演じる人物は自己中心的で決して「いい人」ではない(笑)どんなにキュートにされてもムカつくんですよねーw・・・その辺りがワイティティがディズニーの悪役たちを彷彿とさせるところだと思います。

ジム・キャリーは役の人物の内面を表情や動作で観客に説明している、のに対してワイティティは説明しないのです。

これって演技法的な話でいうと、演じてる人物の「内面を観客に明かすか、明かさないか」の問題で。もちろん俳優としては演じる人物の内面は知り尽くしているのだけど、それを観客にも共有した方が芝居が面白くなるのか、それとも隠した方が面白くなるのかっていう・・・昔から俳優や演出家の間でよく話題になる問題で・・・でもボクの勝手な印象では、観客に愛されたい俳優は内面を説明し、観客を突き放して楽しませたい俳優は内面を隠す傾向があると思います。ワイティティは後者ですねw。

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ボクがワイティティ演じるアントワン社長に関して一点だけ気になったのは、彼がなぜあの会社に君臨し続けることができるのか?その理由は見ててよくわからなかったという点です。
アントワン社長はディズニーの悪役たちみたいに凶悪な魔力を持ってるわけではないし、特殊で唯一無二な才能を持っているわけでも、特別な血筋の人間でもないですからね。あんなに部下や顧客や取引先たちにムカつかれ続けてよくやってゆけるなと(笑)

何かが足りないんですよ。演技的な何かが・・・それを考えてて、ふと映画『トロピック・サンダー』でトム・クルーズが演じたパワハラ映画プロデューサー、レス・グロスマンの芝居を思い出しました。グロスマンは世界に数あるクソ野郎演技の中でも最高中の最高の演技です(笑)
なにがクソかってカリスマ過ぎるんですよ・・・人の心を揺り動かしまくるんです。パワハラで虐待する相手にサプライズを与え続けて不安を与えたり、逆にその不安を解消して安堵させたり、また心に揺さぶりをかけながらじわじわと魅了してゆくんです。このトム・クルーズの演技は凄かった!
だから被害や虐待を受けてる相手たちも、虐待を受けながらもグロスマンのパワーに当てられて「ああ!俺もあんな人物になりたい!」と憧れてしまうんです。 最悪w、そしてカリスマ指導者あるあるなんですw。

『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープ演じたミランダもそんな感じでしたよね。あの演技も素晴らしくリアルだった。

そう、レス・グロスマンもミランダも凄いキャラであるのと同時に、人間関係の描写が超リアルなんです。

「相手をムカつかせるだけでなく、同時にむしろ気持ちよくさせて、自分に憧れさせる」・・・そんな描写がアントワン社長にもあったら、個人的な好みですが、もっとゾッとして最高だったでしょうね(笑)

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ところで『フリー・ガイ』、続編製作が決定したらしいですね。

アントワン社長は今回大人気だったのできっとまた登場するでしょう。で、ボク予想なんですが・・・今回自分の内面を明かさなかった、その背景も出自も謎のままだったアントワン社長は・・・その続編でその辺を一気に明かすんじゃないでしょうか。隠していた葛藤を明かしてもっともっと厄介な人物であることが明らかになったアントワンが主人公たちの前に立ちはだかるような(笑)・・・そんな『フリー・ガイ2』、観たいですねえ。

タイカ・ワイティティ監督の演技や演出についてはまだまだ書きたいことがあるのですが・・・残念ながら字数が尽きました。彼が監督した大傑作コメディ映画『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の素晴らしい演技については、また別の機会に絶対書きます!いや最高なんですよ。ぜひ観てください。

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とまあ、こんな感じで毎回いろいろと俳優の演技について思うところを書いています。この演技ブログ「でびノート☆彡」他の映画の記事とかも読んでいただけたら嬉しいです。ではまた。

小林でび <でびノート☆彡>

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