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PL脳とファイナンス思考

 筆者は普段、起業家向けのセミナーや勉強会をしています。26歳の時に会社を立ち上げて15年が経過し、病気が理由で一度バイアウトしています。1周目が一通り落ち着いて、今は2周目・3週目と走っています。1周目の経営時に転んだりけがをしたりと様々なアクシデントがあったので、そこから学んだことを1周目に入ろうという人たちに共有しています。

4つの起業形態

 起業の形態には大きく分けて次の4つがあります。

  1. 副業
  2.フリーランス
  3.フランチャイズ
  4.ベンチャー

 この中で私のところに一番多く来る層は「3.フリーランス」です。これから起業する方も来られますが、既に会社を立ち上げていて、ある程度収益化している方が多いです。他拠点生活などを実施して、今が満足だという人は来ません。やりたいことは漠然と決まっている。旧職場との契約を変え、収入は安定している。本当はもっとリスクを犯してベンチャー的な経営を行いたい。しかし、現実を考えると二の足を踏むという人たちです。

 「家庭があるから稼がなければならない。月々いくら稼ぐということを家族に保証しなければならない。」

 これをやりながらだとなかなか前には進みません。そうなると、次のアクションとしては、つい自分の手を動かしたり、休みの時に活動したりするようになります。結果、週末起業からなかなか出られない、変わらないという声となります。

PL脳とファイナンス思考

 4つの起業業態を挙げましたが、どの形態が良い悪いということはありません。ただし、基本的な考え方は三笠書房から出版されている『ファイナンス思考』という本に即しています。

 PL脳とは、売上や利益といった損益計算書(PL)を見て損益を月々ベースの収支で考え黒字をきちんと保つ思考です。短期的な売り上げや利益を求めているのが特長です。黒字経営こそが優良企業であり、赤字になるということを怖がります。

 それに対し、ファイナンス思考とは会社の企業価値を最大化するために長期的な目線に立ち、事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方で、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)の経営手法が該当します。

 GAFAが急成長した要因はこのファイナンス思考から生まれている一方で、日本企業の多くが高度経済成長期には有効であったPL脳にいまだに洗脳されているのが現状です。例えば、前職で給料を50万円稼いでいたとします。すると、まずは独立した後も毎月50万円の利益を出したいという経営の目標向きをします。60万円利益がでたところで本来稼いでいた利益の50万を差し引いた10万円を元手に11万、20万と増やしていくのがPL脳の考え方です。

 起業家としては月給という考え方を捨てないと一生成功できません。フリーランスとして月60万、100万で構いません、という考えであればそれも考えの一つとしてありますが、あなたがもし事業を大きくしていきたいと考えているのであれば、どこかで勝負をかけなければならないのです。投資に対するリターンはリスクの大きさに比例します。「お金を集めて時間を買う」という意識が重要です。

いつかは会社を大きくしたい!という方へ


 「いつかは会社大きくしたい!」という方がよくいますが、その「いつか」というのはいつのことを指していますか?「いつか」という概念での成功を実現するのは難しく、成功の為には投資をしなければなりません。お小遣い帳の概念で収支を常に気にしている感覚では投資は出来ません。黒字に拘るのではなく、赤字を恐れないでキャッシュを回しながら投資を行うことが重要です。勿論、無謀な投資は論外ですが。

 時代の流れ、移り変わりはとても激しくなってきています。今、自分が構想していた案件が一年後にはあっという間に時代遅れになってしまう。そうするとせっかくのビジネスチャンスが逃げてしまいます。勝機を感じたら、借り入れを起こしてお金を集めるのです。

 500万の先行投資が必要な案件を例えば10個連続して作ろうと決めたら、どのように進めますか?最初の500万を集めたとして、その500万円で設備投資を試みる。その設備が次の500万円を生み出してから追加投資を行う。このようなやり方を行っていては、10個目が出来上がった時には何年経過しているでしょうか?それでは勝機を逃してしまいます。

 極論をいえば賭けに出て1億くらい資金調達をして、今勝機のある投資を次々と実現していくことではないでしょうか。賭けをして走らせるくらいのことをしないと目の前のチャンスが逃げていきます。サラリーマン感覚の「安定の収入」ではなく、投資的見地に立った「資産の運用」へと発想を転換することで道が拓けていきます。勇気を持って、一歩踏み込んだ人生を歩むのも良いかもしれません。

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