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リフレクターがほめ言葉をプレゼント

イラスト:ムツナナツ

今夜はclubhouseの医療部屋で自分のことを10分間話す機会がありました。 そのために原稿を作ったので、せっかくなので、こちらのnoteに転載したいと思います。


こんばんは、つよぽんと言います。
僕がどんな人間か、自己紹介したいと思います。 僕の人生のテーマは、弱さの情報公開です。

僕は子どもの頃は内気で人前で話すことも苦手でした。 そんな自分が中学、高校、大学と進むなかで人づきあいが楽しくなり、大学時代には旅行会社の添乗員をするまでになりました。
そういう意味では人は変われる、と強く実感しました。
だから、対人関係が苦手な人が対話できる機会をつくることで、人生を輝かせることのお手伝いをしたい。そう思いました。
そのために2003年に居場所を自宅を開放して始めました。
対人関係の苦手な人が集い、鍋を囲みながら対話をしてきました。  

少し自虐めいた言い方をするなら、ぼくは自分のことを「対話バカ」だと思っています。 三度の飯より対話が好きで、なんなら昨日も夜9時にスタートした対話の集まりで朝5時まで対話していました。
徹夜マージャンならぬ、徹夜ダイアローグです。
毎週土曜日が徹夜という日々が1年以上続いています。
年齢も50を過ぎたので、そろそろ徹夜は2、3日にこたえるのでやめたいのですが、どうもやめられずにいます。
それくらい対話は楽しいのです。

ちなみにダイアローグとは対話のことです。お互いの理解を深めるためのコミュニケーション方法です。
ぼくにはいくつかの顔があります。
ある時は、障害者施設で利用者さんの生活をサポートする介護福祉士。
ある時は、自己理解ワークショップでみなさんの生きづらさが軽くなるワークの司会進行。いわゆるファシリテーター。
そして、ある時は、clubhouseという音声SNSでオープンダイアローグ的な対話の場を週に2度、開いています。

僕がいま、一番チカラを入れている社会的役割は「ほめ言葉をプレゼントすること」です。 その名称は、リフレクターです。 あまり知られていない名称だと思います。

リフレクターという名前、ご存知ですか? おそらくどなたもご存知ないと思います。 というのは、僕が勝手に名乗り始めた肩書きですから(笑) そういう意味では僕は世界で最初のリフレクターです。
こないだ「リフレクター」でグーグル検索しましたが、ひとつも検索結果が出てきませんでしたから。 どうか、みなさん僕より先に使わないでくださいね(笑)

では、リフレクターとは、なにか?
これは、「リフレクティングを行う人」のことです。
僕はそう定義しています。

では、リフレクティングってなんですか? となるのですが、ここはちゃんと定義があります。
リフレクティングは、ノルウェーの精神科医トム・アンデルセンたちが1980年代に開発した対話の手法のことです。具体的には「人の話しをじっくりと聞いて、考えを巡らして、そして、考えたことを丁寧に相手に返すこと」を意味しています。

リフレクティングにおいては、「話す」ことを「他者との対話」、「聴く」ことを「自分との対話」と考え、「話す」ことと「聴く」ことをきっちりと分けて、その2つの間を行ったり来たりしていきます。
いわゆる反復運動です。
対話は、議論(ディスカッション)や討論(ディベート)とは違って、あくまでも対話の参加者それぞれの主観で感じていることについて、お互いに安心して話すことができ、他者が話してくれたことに積極的な関心を持って聴き合うことを目指す方法です。

特に、自分が考えたことや、思ったことを、ぱっと言葉にすることが得意な人もいますが、一方で苦手な人もいます。

そういう人にとっては、「話すこと」と「聴くこと」が明確に分けられていることは助けられる場合も多いでしょう
また、人の話をじっくり聴くことがなかなかできず、人の話しを奪ってしまいすぐに自分の考えを話したくなってしまう人、これは昔の僕そのものなのですが、そういう人にとっては、話す時間と聴く時間が明確に分けることでじっくりと人の話しを聴く練習にもなります。

今日は「リフレクティング」のことを中心に話していこうと思います。
なんだ、こいつ「リフレクティングの伝道師」か、と言われたら、「そうです、僕が伝道師です」と答えていこうと思っています。
だってリフレクティングに恋をしているからです。
別の言い方をするならリフレクティングの可能性を信じているからです。
そんなふうにリフレクティングに対して浮かれた男に僕はなぜなったのでしょうか? それには理由があります。
そこを紐解いてみたいと思います。

たとえば、コロナの流行のあと、オンラインで友人たちのお誕生会を毎月開いていました。 そこでこの「リフレクティング」を取り入れていました。 なぜ取り入れたかと言えば、5年前ほど前から行っている「自己理解のワークショップ」でリフレクティングを実施したら、すごく評判が良かったからです。
Zoomでやっていたのですが、やり方は簡単。
集まってみんなから誕生会の主役に一つずつ質問していきます。
「趣味はなんですか?」
「出身はどちらですか?」といった軽い質問から始まり、「仕事で大変なことは何ですか?」「人生で後悔していることはなんですか?」など、ディープな質問に移っていったりします。
初対面の人も多く、5人から10人くらいの男女入りまじりです。 主役にひとつひとつの質問に答えてもらいます。 だいたい3人くらいの質問に答えてもらったあたりで、参加者に僕から質問します。
「ところで、いままでAさんの答えを聞いていて、Aさんってどんな人だなと感じましたか? 本人はいないという体でうわさ話を僕らで繰り広げます。悪口は無しでお話しを、お願いできますか?」
こんなふうに水を向けます。
ここからがリフレクティングタイムです。
こうするとなんだか演劇的な空間がそこに広がり、ワクワクした空気が流れます。
すると「そうですね〜。仕事で大変なことを話されているのを聞いていて、Aさんは、とても我慢強い方だなって感じました。だってあんなに厳しい指導を先輩から受けてるのにそれを我慢しながら仕事を続けている。もうそれだけで表彰ものです。私だったら絶対耐えられないですから」
みたいなフィードバックをしてくれたりします。 それらのフィードバックを受けて、主役も感じたことを返していきます。
このようなやりとりを参加者全員が順番にやっていきます。
時間にして全体で1時間半から2時間です。
リフレクティングは、目の前で自分のいい噂話をされる、ほめ言葉を複数の人たちから受け取れる。 「生まれて初めての経験でした」と言う人が続出しました。 なかには苦労へのねぎらいの言葉に涙を浮かべる方もいらっしゃいました。
こういう瞬間にたくさん立ち会ってきて、ぼくはリフレクティングにやみつきになってきたのだろうと思います。
最後に、みなさん「対話」は足りてますか?
自分の心の声を聞いてあげていますか?
その声を誰かに聞いてもらっていますか?
これが僕が「対話の場」を作る理由です。 僕は、現代人にはほめ言葉が足りていない、のではないかと思っています。 あるがままの自分を受け止めてもらい、感じたことを返してもらう。 そういう経験が足りていないから、もっと経験してもらいたいのです。
それが、あるがままの自分を受け止めることにつながります。
自分を否定ばかりしている人を減らしたいのです。
自分へのダメ出しはもういいんじゃないかと思います。
対話の場をいくつかの場所で開いて、コトコトと煮込んでいます。
また、新しい対話の場づくりを一緒にしませんか?というお誘いを頂いています。 自分の経験がどなたかのお役に立てるのなら、ぜひお手伝いさせて頂きたいと思っていますので、どうぞお気軽にお声がけもらえると喜びます。 今日はご清聴ありがとうございました。
(2023年1月29日に書いた記事です)

イラスト:ムツナナツ

=============☆彡 いつもこの場を訪れていただき、ありがとうございます。*この記事は、約2ヶ月前につよぽんが書いた文章をひろっちが編集して投稿しています。

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