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コーヒー焙煎の話

最近、コーヒーの焙煎にハマってる。
ハマっていると言っても、何か専門的に学んだりしているのではなく、ただ単に焙煎という行為にハマっていて、何度もやっているということだ。

僕はもともとコーヒーが好きなわけではない。むしろ飲むのが苦手な方だった。でも、ある時、知り合いのデザイナーさんからコーヒーを自家焙煎している話を聞いてやってみたくなった。

コーヒーの焙煎といっても何も難しいことはない。
コーヒーの生豆を買ってきて(ネットで簡単に買える)、焙煎器(網のようなもの)を使ってコンロの上でシャカシャカ振るだけだ。しばらくすると豆の色がほんのり変わってきて匂いがしてくる。
そのうち、色がかなりついてくると「パチパチ」と豆の弾ける音が聞こえてくる。これがいわゆる「1ハゼ」というやつだ。

1ハゼは結構いい音がして気持ちがいい。
焙煎をしている気持ちが満たされる。
浅煎りが好きな人はここらへんで火を止めて冷やすのだが、もう少し焙煎を続けていくと、今度はさっきよりも小さな音でもっとしっかりとしたパチパチが聞こえてくる。これは「2ハゼ」と呼ばれる。2ハゼが始まってからその最中くらいが中煎りというやつで、多くのコーヒーはここらへんが一番好まれる焙煎具合いだ。2ハゼもしばらくすると音が止む。そこが深煎りの目安となる。

焙煎の面白いところは、焙煎具合いによってコーヒーの味が全く変わるということだ。コーヒーは浅煎りであればあるほど、酸味や香りが強く出て、深煎りにすればするほど香りが飛んで、代わりに苦味が強くなってくる。
普通、シナモンローストや浅煎りのような豆はまるでお茶のような味がしたり、苦いのが好きな人は深煎りにすればするほど苦味が増していく。色々楽しんで、結局中煎りに落ち着くのだが(笑)、それでもその変化は楽しい。

あと、いろいろな生豆を試してみてはっきりとわかるのは、コーヒーの味というのは豆によってまったく違うということだ。
ケニアやエチオピアに豆は酸味や香りが強く、飲んだ時の最初にふわっと香り、果実のジューシーさがはっきりわかる。
ブラジルやグアテマラの豆はマイルドで、ほどよい苦味と香りが、まさに期待通りの美味しいコーヒーという感じで応えてくれる。

我が家では、たまにこうやってコーヒーの味比べをしている。妻もこの遊びを楽しんでくれている。味を比べてみるとはっきり違いがわかるが面白い。

ここで「酸味」という言葉が何度か登場したので少し説明を加えておこうと思う。
よくコーヒーの酸味が苦手という人がいるが、そういう人が言っている酸味は、ほぼ100%古い豆が酸化した味で、嫌な酸味のことだ。
新鮮なコーヒーは、コーヒーの果実としての酸味が口に含んだ最初から中盤の方ではっきりと感じられる。それはフレッシュで、ジューシーで、ある種ワインのような余韻さえあるものだ。
酸化したコーヒーの酸味が味の中盤から後半にかけて起こり、後味にも引くのとは全く別物である。もしも、コーヒーの酸味が苦手という人がいたら、是非フレッシュなコーヒーを味わってもらいたい。

さて、ここまで書いてきてコーヒー焙煎に興味をもった人のためにAmazonで自分が初めて焙煎に使った焙煎機とおすすめのコーヒー豆を紹介しておこうと思う。はっきり言って、どこのサイトでどれを買ってきてもなんでもいい気がするが、よかったら参考にしてみてほしい。

ちなみに焙煎の仕方はネットで検索したり、Youtubeで見たりしてみると、たくさん出てくる。それらを参考にした方がいいのはいうまでもないが、あんまり難しく考える必要はない。(自分は面倒で最初はハンドピック(不良豆の選別)さえしてなかった。これはある程度しといた方が良いが。。)

要は、生豆をコンロの火で温めて焦がすだけだ。焦がす時間の目安は豆の量によって異なる。僕の最初期の失敗を思い出して言えば、火に近すぎて振るのを止めたらすぐ焦げる。また、火が弱すぎて時間をかけすぎると香りがなくなる。

イメージとしては最初は気持ち遠火で全体をゆっくり温め(火は中火か弱火で焦げなきゃいい)、ほんのり色づくとことまでいきたい。そんなに時間はかけたくない。そして、途中から火にかなり近づけて振りまくって焦がしていくみたいな感じだ。振り続けていれば一気には焦げないので、そんなに心配はいらない。

そうそう、家で焙煎をする時にトラブルになるのはチャフというコーヒー豆の皮みたいのが大量発生した後の掃除だ。これをすぐに自分がやればいいのだが、何かの理由でパートナーがやることになるとトラブルになりやすい(笑)。チャフの片付けはかなり面倒なので、まだチャフがふわふわしているうちに済ませたい。ちなみに僕は家のコンロで焙煎していたこともあったが、今はカセットコンロで庭先で焙煎してる。外で焙煎できる環境がある人は外の方が無難だ。煙も結構出るし。

***

僕は人生の豊かさとはこういう時間のことだと思っている。
あらゆるものが商品化し、商業化されている現代では、ともすれば日常は「消費」という受け身で埋め尽くされてしまう。
これは危機だと思っている。

受け身になると人生は楽しくなくなる。やらされている、やらなければいけない、みたいなワードで自分の人生を埋め尽くすことになっていく。

日常の中でいかに能動的な時間を作るか。
自分の手で何かをしたり、作ったり、プロセスを楽しんだりーーー。
こういう時間が人生豊かさであり、その中で自分のペースで生きるリズムを取り戻せたりしたら、そこに自分が幸せを生きるヒントもあるのではと思っている。

それが例えば、コーヒーの焙煎、DIY、料理、作曲、絵を描くことなのかもしれない。

何かのプロセスを自分の手で行うこと。
これは失敗も含めてその過程を楽しむことであり、人生が誰かが用意してくれた商品やサービスなのではなく、自分が主体的に紡いでいくものだという感覚の縮図でもある。

仕事のみならず、婚活や結婚生活の忙しい中でも、自分が自分らしくいられるための能動の時間をーーー。
そして、その能動の時間を通して、人間関係も用意されたものではなく、双方が色々試しながら、工夫しながら紡いでいくものだということを確認し続けていけたらと思っている。

チャイ

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