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"赤と白とロイヤルブルー"の深層:愛とアイデンティティの葛藤を読み解く - メンターの「あんちょこ」シリーズ for Christmas🎄

ダイアリー式メンター Hara が主にメンタリングにまつわる話題をあれこれときどき発信するシリーズ。人を元気づける ”応援団・チアリーダー” への応援メッセージ。今回は映画「赤と白とロイヤルブルー」について1ケ月分の長編です。

映画「赤と白とロイヤルブルー」に隠された深い感情と葛藤を解き明かす本記事では、主人公たちの愛とアイデンティティの形成における感受性と理性の重要性に焦点を当てます。Prince HenryとAlexの物語を通じて、家族の愛情やサポートが心理状態や行動にどのように影響するかを、具体的な理論や研究を引用しながら掘り下げます。この映画に潜む感情と論理のダイナミクスを一緒に探り、愛とアイデンティティの探求について新たな理解を得ましょう。


"赤と白とロイヤルブルー"の深層:愛とアイデンティティの葛藤を読み解く






プロローグ




Red, White & Royal Blue/赤と白とロイヤルブルー』は、Casey McQuistonによる2019年小説で、アメリカの大統領の息子Alex Claremont-Diaz英国の王子Prince Henryロマンスを中心に描かれています。

この物語は、多くの社会的テーマ特に家族の関係や個人のアイデンティティ、そしてその環境がどのようにして人々の行動に影響を与えるかに焦点を当てています。

本記事は、Amazon Original Prime Video 2023年8月公開 映画「赤と白とロイヤルブルー」から深い感情と葛藤についての考察
(なぜ映画?それは私が今夏からハマった大好きなラブコメだからです‼)

職業病?から彼是書き連ねていますが皆さんはまず純粋にこの素敵な映画をお楽しみ下さい


※原作と映画では登場人物設定展開に異なる点があります



愛と理解のある家族


愛の物語は時として、私たち自身の内面にも触れるものです。映画「赤と白とロイヤルブルー」では、Prince HenryとAlexの関係感受性と理性の微妙なバランスを通じて描かれます。Henryの言葉君のような愛と理解のある家族もいない」は、このストーリーの核心に触れるものではないでしょうか。

王室の伝統の中で育ち、感受性を秘めたHenry(23歳)と、愛情深い家庭で育ち理性的なAlex(21歳)との対比は彼らのアイデンティティや愛の形成に深く影響を与えています。本記事では、感受性と理性がどのようにして彼らの人生と関係に影響を及ぼし、また我々自身のアイデンティティ形成にも関連しているかを彼らの言葉 (©Amazon Studios) と理論や研究を引用しながら探ります。


Henryの言葉I wasn't raised by a loving, supportive family like you were/君のような愛情深く支援してくれる家族に育てられなかった

Alexに向けて


John Bowlbyの愛着理論によれば、安全で愛情深い家庭環境は、子供の自尊心や自己信頼の形成に不可欠です。Henryの言葉からは、このような安定した愛着関係の不足が感じられ彼のアイデンティティや自己認識に影響を与えていることがわかります。


John Bowlbyの愛着理論(Attachment Theory)
愛着理論は子供が親や保護者との間に形成する感情的な絆に焦点を当てた理論。安全で愛情深い環境で育った子供は自己信頼と自立心を育むとされている。一方、不安定な愛着を持つ子供は将来的に関係や自己イメージに問題を抱えることがある。



「分別と多感」




 「Sense and Sensibility/分別と多感」は、ジェイン・オースティンによる古典的な小説で、そのタイトルは理性(sense)と感受性(sensibility)のバランスを主題としています。この視点から映画『赤と白とロイヤルブルー』の中のAlexとHenryのキャラクターを分析すると、面白い対比が見えてきます。
 
Henry:
彼はより「Sensibility」(感受性)に傾くキャラクターと言えるでしょう。Henryは感情豊かで内面的な葛藤や感情の深さが際立っています。彼は王室の期待や伝統に縛られており、自身の感情や欲求を抑える傾向があります。Henryのこの側面は、「感受性」の高い人物の特徴と一致します。

表面上は、Henryが持つ王室のメンバーとしての落ち着きや慎重さから、「分別」あるいは「理性」の象徴のように見えるかもしれません。しかし、彼の内面を深く掘り下げてみると、彼は実際には感情豊かで、内面的な葛藤や感受性が強いキャラクターです。彼は外見上は冷静さを保っているかもしれませんが、内面では感情や欲求との戦いを繰り広げています。


Henryの言葉「I'm reminded of one of my favorite quotes Sense and Sensibility.  "It isn't what we say of think that defines us but what we do." And I think that what you're doing is amazing/「『分別と多感』の一節。”言葉や思考でなく行動が人を決める” 君がやっていることは素晴らしいことだよ

Alexに向けて


Alex:
一方でAlexは「Sense」(理性)に近いキャラクターと言えます。彼は野心的で目標志向型であり、自己のアイデンティティや目的に対する自己受容が速い。彼の決断や行動は理性的で計画的であることが多く、これは「理性」の高い人物の特徴に合致します。

初めは、”悪ガキ?”って印象を受けましたが、皆さんはいかがでしたか?
 
このように、HenryとAlexのキャラクターは「感受性」と「理性」の対比として考えることができます。そして、そのバランスの違いが二人の間のダイナミクスや葛藤そして成長に影響を与える要因となっています。



Prince Henryの家族背景と感受性


Henryは王室の伝統や期待の中で育ちました。彼の外見は常に冷静であり、理性的な行動が期待されていましたが、その内面には深い感受性が潜んでいました。この環境は彼のアイデンティティや自己認識に複雑な影響を与えています。


Henryの言葉「I was four years old when I realized that everyone in my country knew my name, but… I would never knew theirs. Prince Henry belongs to Britain. Henry Fox has to belong to himself or else… he'll vanish./4歳の時に気づいた。全国民が僕の名を知っているのに僕は彼らを知らない。ヘンリー王子は国のものヘンリー・フォックス(個人としての名)は別だけどいずれ消える

Alexに向けて


Alexとの会話
Alex 「Have you ever had your heart broken?/傷心したことは?
Henry 「… …The day my dad died/… …父が死んだ日


Henryの言葉「I'm not like you. I can't afford to be reckless. I wasn't raised by a loving, supportive family like you were. I have centuries of history bearing on my shoulders/君とは違う無謀にはなれない君のような愛と理解のある家族もいない何世紀もの歴史を背負ってるんだ

Alexに向けて(魂の叫び ― 圧巻です)


エリク・エリクソンのアイデンティティ形成理論によると、青年期は自己のアイデンティティを探求し確立するための重要な時期です。Henryの王室という環境は、彼が自己のアイデンティティを自由に探求することを制限し、彼の心の中に深い葛藤を生じさせています。


エリク・エリクソンのアイデンティティ形成理論
エリクソンの理論は人生の異なる段階において個人が直面する心理社会的な危機を中心に展開される。特に青年期は「アイデンティティ対役割混乱」の段階であり、自己のアイデンティティを探求し、確立する重要な時期。



一番お気に入りのシーン💕 Dancing to ~Can't Help Falling in Love~♫ 
ヴィクトリア&アルバート博物館 ©Amazon Studios



Alexとの対比と理性


一方、Alexはよりオープンで愛情深い家族に育てられました。彼のアイデンティティ形成には家族のサポートが不可欠であり、彼の行動や決断は理性に基づいているように見えます。しかし、Henryとの関係を通じて、彼自身の感受性も明らかになります。


AlexとHenryの会話
Alex 「…I've been given a chance to be someone in the world that my father didn't see when he was grown up. …You can't know what that means/父が得られなかった機会を僕は得ている。…君には分からないよね」
Henry 「I'm learning/学んでいるよ」

米国での父親のような外見、名前にZがつき、なまりを話す移民が権力をもつ困難さを話しながら


AlexとHenryのテキストメール
Alex 「I'll admit this to you and no one else. For all my big talk and certainty, I'm secretly afraid I'm going to let my mother down/ヘンリー 君にだけ秘密を明かす。内心では母さんを失望させないか不安なんだ

自らの提案を両親から認められ大統領選挙キャンペーンのためテキサス州で独り奮闘中


AlexとHenryのテキストメール
Alex 「Well, I just came out to my mom. I was never afraid of her rejection.  I was afraid that she would see me differently than before. But I realized that's exactly the point/ヘンリー 母さんに話したよ。拒絶されなくても僕を見る目が変わると思ってた。その不安を乗り越えられたよ

セクシュアリティとHenryとの交際を母親に告白した後


Alexの言葉「you can live in your tower and protect yourself for the rest of your life, but Henry, nothing will ever happen to you/(殻)に閉じこもり続けていれば君は一生安泰。でも、Henry、永遠に何も変わらないよ

何も言わずに消えたHenry に向けて


Alexの言葉「I love you. I'll be as patient as you need/愛してる。君が必要なだけ辛抱強くいる(待つ)

何も言わずに消えたHenryの深い感情と葛藤を理解してから


ダニエル・ゴールマンの感情知能理論によると、高いEQは個人が感情を理解し、適切に反応する能力に関係しています。Alexは感情を理解し管理する能力に優れており、Henryとの関係においてもこの能力が彼らのコミュニケーションや理解を促進しています。
 

ダニエル・ゴールマンの感情知能理論(Emotional Intelligence Theory)
感情知能(EQ)は、自分自身や他人の感情を理解し、管理する能力。高いEQを持つ人は、ストレスに対処し、社会的な状況に適応し、対人関係をうまく築くことができる。 



理性的でありながら真っ直ぐな想いのスピーチ ©Amazon Studios



家族とアイデンティティの関連性



家族の愛情やサポートは、アイデンティティ形成や自尊心の発展に重要な役割を果たします。HenryとAlexの家族へのカミングアウトを通じて、家族環境の個人の心の状態や行動に与える影響が色濃く見えてきます。


HenryとAlexの会話
Henry 「Grandpa's a cold, hard realist. He sat me down on my 18th birthday and told me not to let any selfish desires I might be harboring reflect poorly on the crown/おじい様は厳格な人。18歳の誕生日に個人の願望で王室を汚すなとハッキリ言われた
Alex 「That's some bullshit/そんなの間違ってる
Henry 「It's my life/それが僕の人生
Alex 「Doesn't mean you have to accept it/変えようとは?


Alexと母親(米国大統領)の会話
Alex 「Cool it, Mom. I'm "bi"/バイセクシャルだよ」
母「Well. you know, the "B" in "LGBTQ" is not a silent letter/LGBTQのBにもちゃんと声があるわ
Alex 「Yes, thank you, Mon/ありがとう、母さん」
母「Can I give you some advice?/アドバイスをしても?
Alex 「Yeah, of course/もちろん」
母「You need to figure out if you feel forever about him before you take this any further. A relationship like this will define your life~~And you have to tell your father/彼が運命の相手かどうか考えてから進んで人生を左右する恋愛になる~~お父さんにも話して」
Alex  「I don't know. This is uncharted territory. for us/どうかな。この手の会話は初めてだ」
母「When you' re a parent, everyday is uncharted territory. And when your child is Alex Claremont-Diaz, you get used to the exceptional.  I love you/親になったら初めてだらけよ。アレックスC.D.の親なら驚き慣れてるわ愛してる

セクシュアリティとHenryとの交際を告白


Alexと父親(議員)の会話
父「You know, your mom and I were a stupid idea, too. We were just babies when we had you. Nobody thought we'd make it.  Look at us now. Sometimes you just got to jump, hope you're not standing on a cliff/私と母さんも無謀だった。先が見えない時におまえを授かった。でも今はどうだ。崖じゃないことを祈り飛ぶしかないんだ

セクシュアリティとHenryとの交際を告白


HenryとAlexの口論
Henry 「I can love you and I want you and…still not want that life. I'm allowed. It makes me a man with some infinitesimal shred of self-preservation/君を愛し求めていても離れる道を選んだ。責められる筋合いはない。ただほんのわずかな自衛本能を備えてるだけ
Alex 「We can figure out a way to love each other on our terms, no one else/僕たちなりに愛し合う方法を考えよう
Henry 「That is simply not possible, and you know it/不可能だと分かってるでしょ」

何も言わずに消えたHenryを追って


アルフレッド・アドラーの個人心理学に基づくと、家族内のダイナミクスは個人の性格や行動に深く影響を与えます。Henryの家族は伝統と形式に縛られており、彼にもその影響が見られます。一方で、Alexの家族はもっとオープンでサポートがあり、それが彼の自由な精神と自己表現に反映されています。
 

アルフレッド・アドラーの個人心理学(Individual Psychology)
アドラーの個人心理学は、個人の行動や性格が社会的な関係やライフスタイルによって形成されると考える。特に家族内の役割やダイナミクスが、個人の性格や行動に大きな影響を与えるとされている。



バッキンガム宮殿 祖父/国王陛下と兄と ©Amazon Studios



葛藤 期待 : ありのまま


Henryの言葉は、彼の内面的な葛藤と深い感情を反映しています。家族の役割や責任、そして子供たちが感じる痛みやプレッシャーについて考えさせられます。理性と感受性のバランスが個々の成長や幸福にどのように影響するか、物語の深い洞察が表れています。


Henryの言葉「For once, I wish you could see me for who I am and not who you want me to be/頼むから一度くらい君が望む僕じゃなく現実の僕を見て

Alexに向けて


Henryの言葉I wasn't raised by a loving, supportive family like you were/君のような愛と理解のある家族もいない

Alexに向けて(魂の叫び ― 圧巻です)


Henryの言葉「I will no longer be the prince of shame and of secrets. Starting today, the world will know me for who I am and not who you want me to be/もう恥の王子でも秘密の王子でもない。今日からはおじい様の望む僕じゃなく本当の自分を見せる

祖父に向けて(ここで私は目頭が熱くなる)


 カール・ロジャースによる自己実現理論によれば、個人が自己の可能性を最大限に発揮するためには、自己受容と自己理解が重要です。Henryは自分自身と彼が置かれている状況を受け入れ理解しようとすることで彼自身のアイデンティティと向き合い成長していく過程を見せています。 


カール・ロジャースの自己実現理論(Self-Actualization Theory)
ロジャースの自己実現理論は、個人が自己の潜在能力を最大限に発揮し、成長することを目指すという考えに基づいている。自己受容自己理解、そして環境からのポジティブなフィードバック自己実現に不可欠である。



理性と感受性のバランス


映画「赤と白とロイヤルブルー」はPrince HenryとAlexの間の理性と感受性の対比を通して、私たちに大切なメッセージを伝えます。それは、理性と感受性のバランスが個々の成長や幸福に極めて重要であるということです。

理性は私たちを論理的に導き冷静な判断を下すのを助けます。しかし、感受性は私たちに深い感情を体験させ他者に共感する力を与えます。Henryは自らを守るために感受性を鎧に隠していましたが、Alexとの出会いは彼に心を開かせ、本当の自分を受け入れる勇気を与えました。

一方、Alexは理性的で目的意識が強いが、Henryとの関係を通じて、感情の力とそれが人生や決断に与える影響を学びました。彼らの物語は、理性と感受性の両方が私たちの人生において重要な役割を果たすことを示しています。

私たちも、自分の中の理性と感受性のバランスを見つけることで、より充実した人生を送ることができます。時には論理的に考え時には心の声を聞くこと。それが、私たちを成長させ幸福へと導く鍵なのです。

この映画は、理性と感受性のバランスを見つけ、本当の自分を受け入れる勇気を持つことが、どれほど強力でポジティブな影響を私たちの人生にもたらすかを教えてくれます。理性と感受性を手に私たち一人一人が自分自身のストーリーを描き自分らしい幸福を見つけていきましょう



エピローグ


子どもとして、姉妹として、兄弟として、母親として、父親として、妻として、夫として、祖母として、祖父として… 私を含め誰でも何かしら背負うものがありますよね。この作品を観て、元気に前向きな温かい気持ちを、ぜひ素敵なクリスマスギフト🎁として、頑張っているあなたご自身へ



いかがでしたか? 何かヒントやきっかけになればうれしいです。

どうぞ素敵なクリスマスと良いお年をお迎えください💛


Wishing you a Merry Christmas and a Happy New Year 2024!





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