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師走の徒然。

思い出すのは遠い日の青。


***


忙しない12月。
心を亡くすとかいて「忙」なんだと国語の先生が言っていた。毎年思い出す。
相も変わらず12月の私の心は行方不明。
感動も安らぎも、私の心には無縁のように通り過ぎていく。


人と違うと気づいたのは大人になってからかもしれない。
特別な才があるとか、ずば抜けた美的感覚があるとかそういうことじゃなくて、私はいつもどこかが変で普通の外側を生きているみたい。
自分の過敏で緻密な性質は、きっと誰にも分かってもらえないんだろうなと感じることがよくあって、最近それを少し怖く思う。

分かってもらえなくて構わないと思えていた自分から、分かって欲しいと思うように変化してしまったみたいだ。



***



何年も同じ夢をみてた。
同じ夏を見てた。
飽きもせず、何度も足を運んだ海。
水平線の向こうへ沈んでいく一切を、生まれたままの純真な瞳で見つめていた。

あの時間。
最近よく思い出す。
海が恋しい。
私はよるの生き物で、水溶性の心を持っている。
今すぐにでもあの時間に会いに行きたいよ。


*** 



どこか、遠いところへ。

今までくぐってきた沢山の扉のその中身を、
すれ違っていった情景を、
音の余韻、滴るリズム、降ろされた幕の向こうへ消えてしまった、確かにここにあった幻。

私から乖離したまま、生きていけるかい?



***



板チョコレートを齧る。

〝お疲れさま、疲れてるでしょう〟とチョコレートドリンクと一緒にもらった。
今朝気にいっているショコラトリーのホットチョコレートが飲みたいなぁと通勤電車の中でぼんやり思った。

毎日がこんな風に特別じゃなくて、何気ない他愛もないものならいいのにな。



***



書くことは心を守ることなのかもしれない。
誰にも分かってもらえなかったとして、
つまらない人間だったとして、
仕事や労働に向いていなかったとして、
共存に向いていなかったとして、

それでも明日目が覚めたらまた生きていかなくてはいけない。

心のバランスを取るものが、守ってくれるものが音楽と言葉だった。
ただそれだけ。

気軽に本音を書けなくなった。
誰かを傷つけたり、不愉快にさせてしまう。
〝書くこと〟が私の選択肢から消えてしまって
どんな風にバランスをとったらいいのか分からなくなった。

私から言葉を取り上げないで。
誰かも分からない人に向かってずっとそう叫んでいる。なんて不毛なんだろう。



***


安心して眠れる場所がほしい。
夜に飲み込まれてしまわないように、
心地いい自分のまま眠れる部屋。

明日目が覚めたら何を思うだろう。
美しくてどうしようも無い世界。
変われないままの、同じ朝だったらどうしよう。

思い出した青と水平線へ沈む世界を見にいきたい。
変わらないまま美しいまま、そんな側面が私の中にだってあるはずだ。
誰にも理解されなくても、別にいいじゃ無いか。

そう思えるくらい聡明で、無垢な青の感性を。

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