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入れ子式 × 部屋[空想惑星探査記8日目]

私の名前は、イマミ・テルージャン。
宇宙冒険家だ。

現在、未知の惑星にて、絶賛遭難中。

だが、幸い水も食糧も十分に残っているため、せっかくなので、この惑星を気ままに散歩してみることにした。

これは、私が未知の星を気の向くままに冒険した記録である。

8日目

今日、宇宙船で目を覚ますと、枕元にプレゼントBOXが置かれていた。

片手に収まるくらいの、派手な箱。
紙製……なのだろうか? あるいは、この惑星に存在する、紙に似た素材だとも考えられるが……。

私の母星では「クリスマス」といって、ある期日になると、子どもたちにプレゼントを配る文化がある。

歴史をさかのぼると、もともとは偉い人の誕生を祝うための行事だったらしいが……残念ながら、詳しい内容は伝わっていない。

この惑星にも、クリスマスの文化があるのだろうか?

いや……だとしても、私はプレゼントをもらうような年齢ではない。

この惑星の親切な誰かさんが、お近づきの印に贈り物をしてくれたのだろうか?

それにしても、枕元にプレゼントだけ置いて去る、というのは、なかなか珍しいコミュニケーションだが……。

せっかくなので、私はプレゼントを開けてみることにした。

箱を開けると——その中には、見慣れた光景が広がっていた。

私の宇宙船、その寝室。
見慣れた、どころではない。
まさに今、私がいる場所だ。
私の寝室を上から俯瞰した光景が、箱の中に存在していた。

そこには——私がいる。
箱の中を覗いている。

その箱の中にも、寝室がある。
そこにも——私がいる。
箱の中を覗いている。

その箱の中にも、寝室がある。
そこにも——私がいる。
箱の中を覗いている。

その箱の中にも、寝室がある。
そこにも——私がいる。
箱の中を覗いている。

その箱の中にも——

——箱を閉じた。
そして、宇宙船の外へと放り投げた。

私は、うつ伏せになり、もう一度眠ることにした。

少し、上を見るのが怖かったのだ。

もしも……もしも万が一、上から、私が見下ろしていたら。

頭上に、私自身がいたら……。

一体、私は、何を思えばいいのだろう?

私はあの箱を『入れ子部屋(いれこべや)』と名付け、再び眠りに落ちていった。

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