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「自分の思いを話してみよう」と思う場所 #入社半年エントリ

こんにちは。発達障害をはじめ「学校生活に特別なニーズがある子どもたち」を対象にした学習教室・スタジオplus+で学習支援員をしている渡部です。スタジオplus+で働き始めて半年経った9月末、学習支援事業部・アウトリーチ事業部合宿がありました。

支援について考える「合宿」って何?

4月に入職した頃から、9月末には学習支援についてスタッフ間で考えを深める「合宿」の日があることは知っていましたが、まだまだ先と思っていました。この半年は、新しい仕事を覚えてこなしていくことに必死で、あっという間でした。「もう入職して半年が経ったのか」と時の流れる早さに驚きながら迎えた当日でした。

総勢30名以上が対面で話せる場所をお借りして集合!

合宿について具体的なことはわからないけれど、きっと人とたくさん話すことになるぞ、ということはわかりました。話すことが得意ではない私は、話すことについて良いイメージばかりがあるわけではありません。自分の思いが伝わらない、誤解されると警戒して、「こんなこともわかっていないのか」「そんなあまいことを考えているのか」、そう思われることが怖いから、自分が思っていることをそのまま話すことに抵抗を感じていました。

対話をして思い出した、自分のやりたかったこと

迎えた当日、合宿のメインパートには、スタジオplus+の事例を聞いて対話する時間がありました。テーマは、子ども本人の気持ちが学習や進路のことなどに向かわないときに支援者や周囲の大人が「待つ」ことの意味について考える「待つ支援」と「支援の成果を出せないことへの焦り」でした。

待つ支援についてはこちらのnoteで詳しく公開しています。

どちらのテーマも、日々支援について頭を悩ませている私にとって切実なものでした。生徒の気持ちを優先、大事にしたいという思いと、ここまではやらせたい、やってほしいという思いが、毎日揺れ動いています。どんなに周囲に相談してアドバイスをもらったとしても、授業は1対1で、最後はまさに支援者である自分がどうするのかを決めていかなければいけません。

話し合いの中では、
「学習への支援だけが支援なのか」「生徒本人が納得しないと進まない」
「個別支援が合わない生徒もいるのでは?」「成果って誰が出すの?」
「年齢や心の成長とともに、成長のタイミングがくる」
「強制されるって誰でも嫌」
「どんな風に生きていったら幸せなのか?どんな人でも事故にあったり病気になったりして先のことなんてわからないよね」

という様々な意見が出ていました。

生徒の今の姿だけを見るのではなく、その姿をもっと広い視野で見て話し合っている。そんな風に感じました。

以前は学校で働いていたのですが、こんなに自由に正直に話し合いが行われていたことはなかったように思います。学校には「こういうものでしょ」「集団の中で個々の希望を聞くことには限界がある」という雰囲気があり、ある程度枠組みが決まっていたからです。

「学習への支援ってそんなに大事なの?」「それって生徒は喜んでやっているの?」「どんな風に生きていったら幸せなの?」という思いを、声に出して話したこともありませんでした。それは言ったところでどうにかなるものではないと諦めていたからです。学校でやらなければいけないことはたくさんあるし、自分のできる範囲で思いを実現する方法を探すことの方に可能性があると考えて、思いを話すことに労力を使うことはありませんでした。でも、ここでは普通に話されている。

他のスタッフの意見を聞いていると、かつての自分が考えていたことが、言葉になって聞こえてきました。そんな対話の中で、私が大切にしたかったことは「生徒が自分で考えて選んでいく」ということだった、そして「自分で考えて選ぶことは楽しいということを味わってほしい」ということだったのを思い出しました。いつ忘れてしまったのかわからないけれど、本当に思い出したという言葉がぴったりでした。

一方で、対話を通して今後の課題も明確になりました。生徒が行動するのをただ待っているだけではいけない、支援者は見通しを持ち、その都度働きかけ、生徒が最良の選択をしていけるように準備をしていかなければいけないということです。また、保護者と協働することの重要性も改めて認識しました。

話し合いを終えて、肩の力が抜ける

合宿が終わった後、とても気楽な気持ちになりました。それは、自分の考えていたことがおかしいことではないと感じられたからです。実際に支援の質を向上させていくためには、まだまだ知識も経験も足りません。それでも明日が楽しみと感じられるのは、似たような思いや悩みを抱えながら、それぞれの場所で仕事をしている人がいるなら、自分もやってみようと思えるからです。

そして、合宿や日常的に行われている面談や会議を通して、聞いてもらうことへの安心感が生まれ、自分の思いを話してみようと思い始めています。次の合宿までは、もう少し率直に話ができる自分になれるように練習していきます。

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