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297 天皇誕生日

はじめに

今日は、国民の祝日ということで、お休みだった人も多いかと思います。
2月23日は、「天皇誕生日」という祝日になります。国民の祝日は祝日法という法律で制定されています。昭和23年ですから今から76年前の1948年に制定されたこの決まりのなかにも、天皇誕生日は「天皇の誕生日を祝う」ことを趣旨としている祝日であると記されています。

変遷(へんせん)

2024年2月23日、本日ですが天皇陛下は64歳の誕生日を迎えられました。
平成の時代は、1989年から2018年まで続きましたが、生前退位され現在、上皇となられた、第125代天皇の誕生日は、12月23日でした。
2019年という年は、異例で平成31年でもあり令和元年でもあるわけですが、この年は、1948年の祝日法施行以来初めて天皇誕生日という祝日が無い年でした。
2020年(令和2年)からは、第126代天皇の誕生日が2月23日であるため、天皇誕生日が、2月23日となり国民の祝日となりました。
国民を挙げて天皇陛下の誕生日を祝うありようは、昭和初期の頃と現在では、違った形になってきていますが、その本質的な物は変わっていないように思います。国家国民の象徴としての天皇陛下の存在は、世界でも類をみない歴史と伝統を持ち合わせています。
1933年12月23日は先程も述べたように、現在の上皇様が誕生された日です。当時、国内の人々は新たな後継者の誕生を祝い、東京ではご誕生を国民に知らせるサイレンが鳴り響きました。また、多くの人々が旗や提灯を手に沿道に集まり、国家の繁栄を願いました。新聞各社から号外が出るなど、国を挙げての祝い事だったわけです。

習わし

「天長節(てんちょうせつ)」という言葉があります。
戦前の日本では、天皇誕生日とは言わず、「天長節」という祝祭日で親しまれていました。この天長節は、祝祭日の中でも重要なもので「四大節(しだいせつ)」の一つとされていました。
ちなみに四大節とは、特に大切な4つ祝日といったもので、「新年節」「紀元節」「天長節」「明治節」が四大節に当たります。

〇新年節:1月1日 
〇紀元節:2月11日 神武天皇の即位に因んだもの
〇天長節:天皇誕生日(現在は2月23日)
〇明治節:11月3日 明治時代の天長節(天皇誕生日)
         ※戦後、日本国憲法が公布されたため「文化の日」へ

このように、日本国の祝日は宮中の行事、特に天皇陛下の誕生日を大変に重要視していることがわかります。宮中、皇室では天皇誕生日においては、天皇の住居である皇居内の宮中においていくつもの儀が行われます。儀とは、作法に従って進退する礼式を意味します。
例えば、祝賀の儀、宴会の儀、茶会の儀、一般参賀といった儀が行われるわけです。それぞれの儀には、決められた作法や礼節がありそれもまた大切な意味を持っているのです。
今日は、そうした意味でも日本の伝統や文化について考えることのできる機会でもあるわけです。例えば伊勢神宮を始め、各地の神道神社では天長祭が行なわれています。また、海上自衛隊では港湾等に停泊している自衛艦において満船飾(まんせんしょく)が行われています。
満船飾とは、写真のように船でお祝いのときに国際信号旗を掲揚することをいいます。こうした装飾は、他の祝日でも行われますが、同時に天長祭のがいかに重要な祝日であるかを物語っているとも言えます。

海上自衛隊の満船飾(まんせんしょく)

老子道徳経

天長節は、奈良時代に初めて行われた行事で、「天長」とは、老子の記した「道徳経」の一説に由来します。老子道徳経の冒頭には、次のような言葉があります。
「天は長く、地は久しい。天地は自ら永らえようとしない故に永遠であり続ける」この一節を「天長地久(てんちょうちきゅう)」といいます。この言葉の意味は、天地が永遠に変わらないように、物事がいつまでも続くことなわけですが、天皇の2600年を超える継承の歴史そのものに重要な価値があることを意味していると言えるわけです。
祝日には歴史があり、その歴史にも歴史があります。

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