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237 「フジヤマコットントン」


はじめに

今日の教育コラムは、ある映画の完成について紹介したいと思います。その作品は、今日のタイトルにもあるように「フジヤマコットントン」という作品です。
この作品は、市川三郷町出身の青柳拓(あおやぎたく)監督が、昭和町の福祉施設で働く人々を撮ったドキュメンタリー映画です。まだ、私も観ていないのですが、数年前に起きた「相模原障害者施設殺傷事件」にたいするアンサー作品ということで大変に興味があります。

あの事件を振り返る

相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた大量殺傷事件から、8年が過ぎようとしています。2016年7月に起きたこの事件は、戦後最悪の事件の一つと言ってよいでしょう。
事件は、植松聖死刑囚の身勝手で残忍な思想により引き起こされました。「障がい者は生きている価値がない」といった優生思想にも近い傲慢な植松死刑囚の思想と行動は、多くの人々に衝撃を与えました。

入所者19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた植松死刑囚は、この施設に3年以上勤務した元職員でした。犯行動機について当時のニュースでは次のように伝えていました。
「意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべきだ」
「重度・重複障害者を養うには莫大なお金と時間が奪われる」
こういった、植松死刑囚のまったく身勝手な自説は、聞くに堪えない言葉の数々でした。

今回、青柳監督は、自身の母親の職場である山梨県の市川三郷にある障がい福祉サービス事業所で1年間かけて施設を利用する、さまざまな障がいを持つ方々の日常や感情の変化を撮影されました。私たちは、その映像から何を感じ、学ぶことができるのでしょうか。

優生思想という病

命に優劣をつけ選別する考え方を「優生思想」と呼びます。この考え方は、20世紀初頭に欧米諸国で盛んになりました。
その後、世界大戦時のドイツでは、障がいのある人に対し「断種法」に基づく強制的な不妊手術や、「T4作戦」と呼ばれる計画的な大量殺りくが行われていました。
当時の日本でも、そうした影響を受けて旧優生保護法が作られました。こうした優生思想は今でも、私たちの身の回りで完全になかったわけではないのです。歴史上、世界の様々な場所で繰り返されてきたのが、命の選別だったのです。
私たちは、命という量ることのできない重みを時に量ろうとします。その際どのように考え、行動するべきなのかは大変難しい課題なのです。歴史は、そうした過ちを再び犯さない方法をいつも教えてくれます。しかし、その教えを活かせないのが人間なのです。

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