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328 子どもと一緒に


はじめに

先日こんなニュースを目にしました。セルフ式うどん店で、保護者が目を離したすき、熱々のうどんをひっくり返してしまい、幼児が火傷をしてしまったというニュースです。親が目を離した瞬間に起きたこの出来事について皆さんはどのように考えるでしょうか。
因みに、保護者の方は店側にもこうしたことが起きた責任の一端があるという立場をとっていることも合わせて話題となっています。
今日の教育コラムでは、子どもと一緒に何かをしようとする時に心がけることなどについて少しお話してみたいと思います。

責任のとらえ方

今回話題になったのは、セルフうどん店でのことでした。子どもを連れてセルフうどん店に行った場合、おそらく、商品を選んで会計の前に行き済ませたら商品を席まで自分で持っていき食べるわけです。
子どもと自分の分が一つのトレイにのらなければ、2回に分けて運ぶことだって必要になります。子どもの手をとってトレイをもつことは難しいですから、子どもについてくるように言って運ぶわけです。
ところが、ついてこず2つのトレイになったため、1つうどんのトレイをカウンターに残して、もう1つのトレイを席に持っていきました。お子さんがそばにいると思って、一瞬目を離したところ事故が起きました。お子さんがカウンターに残っていたトレイを運ぼうと手伝った時に熱々の釜揚げうどんがひっくり返り熱湯を浴びてしまったのです。すぐに救急搬送されましたが火傷痕が残る可能性が高い状態でした。

さて、ここまでが事故の全容ですが、皆さんはどのように考えますか。目を離した親がいけないと考えますか。それとも、店側が子どもがそのようにひっくり返してしまう可能性があるので、お会計付近のテーブル部分には転落防止のガードをつけるべき、または、「お子様連れの場合は、目を離さないようにしてください。」などといった注意喚起をレジ付近に目につくようにしておくべきだと考えるでしょうか。

安全配慮義務

セルフ式の食事やその他のサービスでは、保護者の監督責任が大きくなりやすいわけですが、一方で飲食店にもお客さんが安全に食事をとれるようにする責任と義務があります。こうしたことを安全配慮義務と言います。
セルフのお店ですから、基本的には客がその趣旨を理解して責任ある行動をとって食事をするわけです。そのうえで、レジ付近に「お子様連れの場合は、目を離さないようにしてください」といった注意書きを店が設置した場合、問題は解決するでしょうか。
注意喚起というものは意外と曲者で、「注意はしたので後は自分の責任です。」という側面があります。セルフ式のうどん店でもしも子連れのお客を見かけたら、「お子様には持たせないようお願いします。」と商品の引き渡しの時に声をかけるようにはできなかったのだろうか、または、人手の問題はありますが、品物を運ぶ手伝いはできなかっただろうか。子どもが持とうとしていたら声を掛けれなかっただろうか。などと、安全配慮義務を果たすために何ができるかを思考するプロセスが停滞してしまうのです。

問題が起きた時

問題を解決するために、または、再発を防ぐためにどのような考え方が必要なのでしょうか。
責任の所在を店と保護者で押し付け合っていても始まらないわけで、もしかすると周囲のお客さんも含めて、子どもを連れている人に協力するであるとか、子どもが危なかったら声をかける等、社会的な意識や構造そのものに問題があるのではないかという視点にまで目を向けてみることが大切です。
互いの言い分を守ろうとするバイアスが強すぎると問題の本質にはたどり着けません。
セルフサービスのお店で、子どもから目を離してしまった親の意識と目を話すかもしれない、目を盗んで行動するかもしれないと考えていなかったお店その双方の落ち度の違いはさほどないように思うのです。
むしろ、子どもずれの親がもっと安心して楽しめるような社会や施設、サービスの在り方を追及していくことにこそ大きな課題があることを今回の出来事は示しているように思うのです。

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