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僕が放った「霹靂一閃」〜秒で通った思い出のプレゼン〜

この記事は「プレゼン上手になりたい」「話し上手になりたい」あなたのためのものです。放送作家としての経験に基づいて書いたので、参考にしてもらえると幸いです😉

✅プレゼンの極意は「善逸スタイル」にあり

漫画『鬼滅の刃』には、我妻善逸(あがつまぜんいつ)というキャラクターが登場します。彼は鬼殺隊の中でも「特殊な存在」といえるでしょう。

だって、技を一つしか使えない(最終的には違うけど)。

「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」

神速で突っ込んで、神速で斬る。この技だけで戦うんです。なんと、シンプルな一点突破 実は、この善逸のようなスタイルこそが、プレゼンをする上で大事なんです。

✅たった3行分のプレゼン

2011年、僕は「善逸スタイル」の威力を『報道ステーション』で実感しました。

ある打ち合わせで、プロデューサーさんから「なにかプロ野球で企画ない?」と振られたんです。僕の答えは確かこうでした。

「先月、オリックスの試合でとても印象的だった場面がありました。最終回、ベンチの最前列で若いバッテリーが祈りながら試合を見ている。実は2人には、どうしても勝ちたい理由があったんです」

それを聞いたプロデューサーさん、即答でした。

「いいね」

ナレーション3行分しか話していないけど、こんなに簡単でいいの?

そう思いましたね。でも、そんなに簡単でいいんです!

あれから僕はたくさんのプレゼンを聞いてきましたが、上手な方は「この企画はここを見せたい!」というポイントがシンプルかつ具体的なんです。全て説明しなくても、画や物語が想像できる。

一方、聞きにくいプレゼンは、最初に人物の肩書や経歴を事細かに教えてこようとする。まるで履歴書を読むように。あるいは時系列を順番に話そうとする。まるで年表を読むように。どの情報が重要かがわからず、画や物語がなかなか想像できません。

情報はなるべく断捨離して、推したいポイントだけを神速で放つ。プレゼンの呼吸は壱ノ型だけで十分なんです。

✅放送作家人生20年で唯一の経験

打ち合わせで僕の霹靂一閃が決まったあと、どんな企画ができあがったか。最後にざっくり書いておきます。

2011年4月17日、オリックスの先発・西勇輝投手はプロ入り初勝利を飾りました。その勝利は大きな苦難を乗り越えて掴んだものだったんです。

実はその前年、西投手は勝利投手まであと1人という状況から悪夢の5失点を喫し、マウンドを降ろされた経験があります。その後、ショックのあまり顔面神経麻痺になり、2010年は未勝利のまま終わってしまいました。

一方、西投手の初勝利を支えた伊藤光捕手にも、苦難がありました。

2009年、椎間板ヘルニアの除去手術。なかなか回復できず、引退を考えなくてはならないほど追い込まれたんです。それでも必死にリハビリを行い、奇跡の復活。2011年からは一軍に定着し始め、勝負をかけていました。

迎えた甲子園での楽天戦。当時、西投手が20歳で、光捕手が21歳。

試合は西投手が7回1失点の好投を見せます。オリックス3点リードという状況で、リリーフ陣に後を託しました。西投手とともに光捕手も交代し、ベンチへ。

そして、いよいよ9回、勝利まであと1人……。

カメラはそのとき、ベンチで必死に祈る2人の姿を捉えていました。

中継に映ったのは、10数秒ほどでしたが、僕には強烈なインパクトが残ったのです。

あれから10年、西投手は阪神に、光捕手はDeNAに移籍してしまいました。思い入れのある選手だけに、ずっとオリックスにいて欲しかったんですが……😢 活躍をいまも祈っています。

ちなみに、僕はこの20年でたくさんの競技、たくさんの選手を企画で担当してきましたが、オリックスを取り上げたのはこの1回だけです。



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