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それでも米国にいる理由 2023 ver.

これまでさんざんとアメリカで起きたイライラする出来事を書いてきました。

私が感じているこれらの不満だけでなく、「アメリカに住むべきでない理由」は世間にもあふれていると思います。物価高は止まらないし、銃の事件は怖いし、銃規制は一向に始まらないし、、、数え始めたらキリがありません。

今回は、それでもなおアメリカに居住しつづけている理由を考察してみようと思います。おそらく年月を経るごとに変わっていくと思うので、2023年版ということにしたいと思います。


とりあえずの結論:アメリカにいたほうが、総合的に見て「良い」

ま、当たり前の話ですが。アメリカに住む、日本に住む、両者ともに良い点、悪い点があるわけです。それで、それぞれを比べた時にアメリカに住んだほうが「良い」と判断して、今に至っているわけです。それでは、どのような点を評価しているのか、考えていきたいと思います。

アメリカでいいところ

成長している国にいられる

日本に居た頃って、「日本はもう駄目だ」「失われた30年」的な言説が嫌でも耳に入ってきて、どうしてもそれに囚われてしまうような感覚があったのですが、アメリカにいると基本的にはそういうことはないです。政治的には、「アメリカは終わった」みたいな話はあると思う(例えば、銃規制や世界で起きている戦争等)のですが、少なくとも経済的には長期的に成長が見込まれているので、経済的な面で不安はないですね。
「そんな自分にあんまり関係ないことで…」と思う方もいるかもしれないですが、思いのほか、ずっと聞いていることって自分のマインドに影響してくると思うんですよね。なので、そういう雑音から解放されたっていうのが、良かったなと思います。これは生活スタイルの変化からニュースを目にする機会が減っただけではないか?という反論もあると思いますが、自分が暮らしている国の将来に対する経済的なもやっとした不安は少なくとも今はないです。

子供の将来

1点目と関係しているのですが、やはり将来的な成長の期待がある国にいれるというのは子供にとってもいいと思います。
もう1点、教育に関してですが、私は日本の学校教育は改善できることが多いとは言え、個別に見ると悪いとは思っていません。
子供の平均の学力はアメリカのそれより上回っていると思いますし、学力だけではなく、家庭科だったり学校の掃除で生活力を向上させてくれるところなんかは素晴らしいなと思います。
ただ、良くも悪くもアメリカでのスタンダードが世界のスタンダードみたいなところはあると思っています(例えば議論の進め方とかリーダーシップとか)。なので、アメリカ式を指向したほうが将来的にはいいのかなと思っています。

自由さ

自分が社会的マイノリティであることも関係していると思いますが、基本的に何をしても自由という空気で、他人のことに干渉しない、でもフレンドリーという距離感が程よいですね。服装も誰も気にしないし(ただ通りすがりに人に服をほめてもらったりすることもあります)、外見に対して何か言われることはありません。そういえば、私は結構禿げているのですが、日本だと久しぶりに会った人に「禿げたなー」とか「太ったなー」と言われるのですが、アメリカでは一切そういうことはありません。なので、自分が禿げていることを認識することがほぼないですね。禿げている人は海外に行きましょう。

アメリカでいやなところ

言葉の不自由さ

やはり言葉の不自由さにまつわる様々な不利益はあります。私は8年アメリカにいて、仕事も英語で行っていますが、英語の上手さはアメリカ人に圧倒的に叶いません(なんで彼らはあんなに喋るのが上手いのか)。それで、(日本人も同じだと思いますが)アメリカ人は英語がぎこちない人を知性が高いと見做さない傾向があると思います。つまりは舐められます。そういう時にふがいなさを感じることは未だにあります。
逆バージョンを考えればわかると思うのですが、日本企業で日本出身でない人が社長になるのは難しい(以前、SONYの社長がそうでした)のと同じで、リーダーになるにはやっぱり言葉の力というのが非常の重要だと感じています。

自分達がマジョリティになれない

これは「言葉の不自由さ」とも関係するのですが、やっぱり自分達がマジョリティではないんですよね。同僚が周りでカレッジフットボールの話をしているときや近所の人達が昔懐かしい駄菓子の話で盛り上がっているとき、まったく会話に入れない自分を発見します。こういう時に、「ああ、自分は彼らとの共通のものがないんだな」と感じます。
フットボールは好きになれたらいいのにと思いますが、やはり興味がわかないものはそんなに好きになれないですね。

自分個人の経済的なシュリンク

アメリカのいいところで挙げた「成長している国にいられる」と逆なんですが、周りが成長していても、自分が成長の波に乗れないと相対的に自分は後退しているわけです。なので、自分がその成長の波に乗れるか?というのは重要だと思います(アメリカはインフレが起きたら価格に転嫁されるのがめちゃくちゃ早いです)。
しかも「アメリカでいやなところ」に挙げた2点が、逆風としてある中で、個人的にも上を目指していかないといけないというつらさはあると思います。要は、「マクロ環境が悪いけど、ゲームのルールを知っている日本とマクロ環境はいいけど、ゲームのルールを知らないアメリカで戦うのは、どちらがいいか?」ということかなと。
日本に居る知人たちは割と「勝ち方」を知っていて、経済的に素晴らしく成功している人達が何人もいます。マクロが悪いと言っても戦い方次第で個人は勝てる可能性は全然あると思います。

日本にいなかったことによる逸失利益

一方で、日本にいたら得られたであろう(かもしれない)こともあると思います。それはお金・名誉・社会的成功や友達・仲間・家族といったものです。これはあくまでも可能性なのですが、当時の同僚の今と比べたりすると、「自分もそこに残っていたらああなっていたのかな」と一瞬思ってしまうのも事実です(一瞬だけですが)。

とりあえずの結論

結局のところ、私個人として考えれば日本にいることが良いが、子供・孫のことを考えたらアメリカにいることが良いという風に判断しています。これが2023年度の結論でした。

アメリカに来る前に思っていた幻想

ところで、アメリカに来る前に勝手に思っていた幻想があります。それは、「アメリカに来たらキラキラした何かが始まる」、「グローバルな環境」、「日本とアメリカの橋渡し」といったものです。
「キラキラした何か」については未だに始まっていないし、今後も始まらないでしょう(笑)。今の私にとっては日本(というか東京)での生活のほうがよっぽどキラキラに見えます。
「グローバルな環境」というのも憧れていましたが、アメリカにいるとアメリカ国内の仕事が大きくて、「グローバル」にはならないんですよね。そして、アメリカで9-5時のスケジュールになれてしまうと時差がきついという。。。
「日本とアメリカの橋渡し」は誰も望んでません(笑)。というかアメリカ側は少なくとも意識してないです。


以上になります。

なんだかんだ書いてきましたが、人生の中で一度位、海外で働いてみるのは良いことなんじゃないかと思います。自国の良いところも悪いところもよりわかります。そこに留まるか帰るかは、また別の判断になると思いますし、それぞれの選択があってしかるべきですね。
「アメリカで働きたい!」とか「アメリカで働いてみてどう?」みたいな質問あれば気軽にお声掛けください。