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サル痘 - Monkeypox について

最近話題のサル痘ですが、感染研のホームページより

二本鎖DNAウイルスで、長径は300nmを終える大型のウイルスです。今流行りのコロナウイルスは一本鎖RNAウイルスで100nmぐらいなのでコロナの3倍もあることになります。エンベロープを持つウイルスということなのでアルコールで不活化できる、比較的弱いウイルスということになります。

このサル痘はオルソポックスウイルスというグループのウイルスです。

オルソポックスウイルス属には、サル痘ウイルス痘そうウイルス(天然痘ウイルス)ワクチニアウイルス(種痘に用いられるウイルス)牛痘ウイルス等が含まれる。

人と動物に感染する共通感染症として紹介されています(人獣共通感染症)。この紹介が2003年なので約20年前ということでこのときに紹介されているのがアメリカの事例です。この時はプレーリードック由来とされていました。

今回の感染経路としてはヒトからヒトへ感染が起きているようです。ヒトヒト感染といえば天然痘が思い出されますが、天然痘は撲滅されたということですので、サル痘がヒトに順化しているものかもしれません。形態的には見分けがつかないようなので困ったものです。

今回の特徴。

米各地で音楽フェスティバルやプールパーティー、温浴施設などを通じ、サル痘のクラスター(感染者集団)が急拡大している

 WHOが約1万人の患者を分析したところ、98・8%は男性で、とくに18~44歳の男性が症例の77%を占める。今回の感染者の多くは男性との性的接触のある男性という。

以前から言われている感染経路としては、

サル痘ウイルスの動物からヒトへの感染経路は、感染動物に咬まれること、あるいは感染動物の血液・体液・皮膚病変(発疹部位)との接触による感染が確認されている。自然界ではげっ歯類が宿主と考えられているが、自然界におけるサイクルは現時点では不明である。
 ヒトからヒトへの感染は稀であるが、濃厚接触者の感染や、リネン類を介した医療従事者の感染の報告があり(Aaron TF. 2005, Aisling V. 2020)、患者の飛沫・体液・皮膚病変(発疹部位)を介した飛沫感染や接触感染があると考えられている。

症状はというと

サル痘の潜伏期間は5~21日(通常7~14日)とされる(WHO, 2021)。潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が出現する。発疹は典型的には顔面から始まり、体幹部へと広がる。初期は平坦であるが、水疱、膿疱化し痂皮化した後、発症から2~4週間で治癒する(写真2)。発疹は皮膚だけではなく、口腔、陰部の粘膜、結膜や角膜にも生じることがあるが、特に初期においては水痘や麻しん、梅毒などのその他の発疹症との鑑別が困難なことがある。リンパ節腫脹を呈する頻度が高く、類似した皮膚病変を示す天然痘との鑑別に有用とされる(

サル痘は結構前からあるが今までさほど注目されたことはなく、症状も発疹が主な症状で接触感染により広がっていくことが多いようです。死亡例も少なく自然治癒する場合が多いということです。
天然痘と同じポックスウイルスということなのでちょっと注目してみました。世界で初めて撲滅できたウイルスとして天然痘は有名ですが、以下参考でも書いていますがその後の研究でも有用に使われています。

参考

今現在でも多くの研究で使われているワクシニアウイルスウイルスは天然痘を撲滅するときにワクチンとして使ったウイルスです。

近年は、ウイルス療法や、組換えワクチンのベースとして使われていて有用なウイルスの代表です。

天然痘の予防薬としてジェンナーが牛痘ウイルスを使いました。

初めてウイルス感染症についてそのウイルスをヒトの体に入れて、免疫の力で治してみようという試みができたわけです。

当時は賛否あったみたいですけが今、ワクチンとしていろんなウイルスがワクチンとして作られ、使用されていますがその最初の一歩です。

ジェンナーが使ったのは人に病原性のないウイルスを使って人に免疫をつけたということで今でいう生ワクチン該当しますね。

ジェンナーはワクチンという概念がない、ウイルスというものの存在がわかっていない時代に行ったということなので危険性のある中で試してみて、うまくいったケースです。今の時代であればこんな無茶なことは許されないことと思います。そういう時代だからこそ、偉大な発見があったということではないでしょうか。

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