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読書「親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる」の感想とまとめ

気になるタイトルの本があったので読みました。

前書の続きの位置づけのようですが、
前書は読んでません。


本書では、タイトルのとおり、
親が変われば子どもも変わっていきますというお話をしています。

単に意見を押し付けるだけでなく、
研究成果も交えて語っているので、
信憑性があるように感じました。

内容や感想にふれていきたいと思います。

主に
児童虐待による児童への影響、親の体験が子どもに連鎖すること、負の連鎖を断ち切るには、親の脳を変えるには
ということが書かれています。

本書では、「児童虐待」と言わず「マルトリートメント」
(mal(悪い)+treatment(扱い))という表現を用いています。

マルトリートメントによって脳が変化する

マルトリートメントによって脳が委縮したり、肥大したりするそうです。

またマルトリートメントの内容により、影響する脳の部位が異なるとのことでした。

・影響する脳の部位
体罰→前頭前野
DV目撃、性的マルトリートメント→視覚野
暴言→聴覚野
また、男児はネグレクト、女児は性的マルトリートメントで脳梁が委縮するという内容の記載もありました。


虐待は連鎖する

最大7割弱の確率で次世代へと連鎖することが述べられています。

動物にも同じことが言えるそうで、
研究の結果、遺伝ではないそうです。


愛着不足について

愛着(attachment)とは「こどもと特定の母性的人物(父可)とのあいだに築かれる情緒的な結びつき」を指しています。

適切な愛着形成こそが、子どもの健やかな成長を支える礎(いしずえ)になると述べています。

マルトリートメントを長期間受けると、良好な対人関係が結べない、うつ病などのこころの疾患にかかりやすいという「愛着障害」が生じるそうです。

発達障害と愛着障害についても述べています。

「障害」というとネガティブなイメージがつきまといますが、疾患自体に問題があるということではなく、疾患が社会生活を送る際に妨げ(障害)になるという意味でこの言葉を捉えてください。人間の発達には「定型」となる目安はあるものの、たいていの人は「定型」の枠からはみ出したり、少し寄り道をしたりして成長していきます。

発達障害が悪化しているようなケースは愛着障害を起こしている可能性を説いています。

体罰について

日本社会の体罰の認識について、6割が体罰容認だそうです。

軽度の体罰でも子どもの問題行動リスクが高まると警鐘しています。

「お尻をたたく」という行為でも成長段階にある子どもの問題行動につながるという結果が出ているそうです。

有害な結果
・規範や規則を守るこころが育ちにくい
・攻撃的になりやすい
・集団で行動しづらい
・認知能力が低下する
など

親への対処

親の自己肯定感を積み上げていくことが大切とのことです。
自分を褒めると、
褒めが子どもに連鎖していくそうです。

ペアレントトレーニングという取組みによって、
親の自己肯定感を築いていくことを紹介していました。

親の脳にポジティブな神経回路がつくられる効果として、

①親の育児ストレスが改善
②子どもの注意機能が向上
③子どもの問題行動が改善

という好循環が生まれるそうです。

そうなのかー。

スウェーデンの取組み

スウェーデンでは、1979年に親子法を改正し、世界で初めて子供に対するあらゆる体罰、心理的虐待を明確に禁止しました。
結果、1960年代には体罰を容認する人が5割を超え、実際に体罰を行っていた人は9割以上という状況であったのが、この法律の浸透により、2000年代には、それぞれ1割ほどまでに減っていたそうです。

日本でも2020年から法が施行されます。


子どもがいることで親の能力があがる

親になることで脳は劇的に変わる。
出産を機に記憶力・学習能力がアップ。
男性にも能力の変化はみられるようです。

学習能力、空間把握能力がアップとのこと。

へぇーって感じでした。

共同子育てが有用である

共同子育ての有用性についても言及していました。

共同子育ては、親以外の大人たちとかかわりながら育てることを指します。

親以外の大人たちとかかわり
・祖父母なども子育てに参加している
・幼い時から保育園で保育士ともかかわっている
・学童保育など、親以外の大人ともかかわっている

子どもたちの脳機能について調べたところ、
脳内の「上頭頂小葉」「前頭眼窩皮質」のはたらきが活発になったそうです。また子どもの社会性も発達したそうです。

心配される幼いころから保育園に預けることも危惧する必要ありませんとのことでした。


スウェーデンの取組みについてもう少し調べてみました

スウェーデンのお話が出たので調べてみました。

子どもに対する暴力のない社会をめざして
-体罰を廃止したスウェーデン35年のあゆみ-
より

法律には何と書いてあるのでしょう?
 1979年、スウェーデン国会は、子どもへの体罰と屈辱的な扱いの禁止を盛
り込んだ親子法改正案を可決しました。現在、この禁止規定は親子法第6章
第1条の中にあります。
「子どもは世話をされ、安全と、質のよいしつけを享受する権利を有する。子どもはその人格と個性を尊重されながら接せられなければならず、体罰に
も、その他のいかなる屈辱的な扱いにも、あわされてはならない」

体罰禁止法定化後のスウェーデンの取組より

スウェーデンによる啓発キャンペーンの特徴
• 1979年の法改正直後に最も大々的な啓発キャンペーンを実施したが、現在に至るまで継続的に啓発を行っている。
• 小さい人口規模のため、冊子の全世帯配布、全ての牛乳パックへの啓発広告掲載などが可能であった。
• 啓発の対象者は養育者、支援者(保健師、医師、保育士、教師等)のみならず、子どもである場合が数多くある。
• 妊娠期からの継続的な子育てに関する(出産に関する情報のみでない)情報提供がある。
→ 1981年 全スウェーデン家庭の90 % 以上は体罰禁止について認識していた

取り組みとしては以下が意識されているようです。
・叩く、蹴る、揺さぶる、つねる、傷付ける言葉を口にする…、すべて体罰
・昨年1年間で、子どもを1回以上叩いた親がたったの3%に減少
・子どもが言うことを聞いてくれるまで抱きしめる

具体的にはどうすればいいの?

体罰はだめ、暴言もだめ、無視もだめ、
愛情を注ぐのが大事
ということは理解したのですが、

いつも心に余裕があるわけではなく、
何度言っても聞いてくれないとイライラが募るわけで。

具体的にどうしたらいいのだろうというのが本書では
正直ピンとこなかったのですが下記のサイトで
推奨している取り組みが記載されていました。

「言わないこと」「代わりに言うべきということ」が記載されています。

言わないこととして「●●したら××あげないよ、□□禁止」
代わりに言うべきこととして「●●はダメです。なんでかわかる?」

一方的に禁止事項を作るのではなく、なぜダメなのかを説明し、子どもが納得できるようにするということのようです。

これはなかなか忍耐がいりそうです。

何回も同じことを言い続けても、一向になおらなかったりすると、
すぐに「コラーっ」とやってしまいがちな私。

本当に何がいいか、なかなか結論が出ないですが、
いろいろな意見や知識を知ると
冷静になれる気がします。

とりあえずですが、
根気強くやってみようと思います。

他にもいい方法があるか探してみよっと。

(追記)

こういうのもありました

体罰等によらない子育てのために(素案)(厚生労働省)

◎ こんなことしてしまっていませんか
・ 口で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた
・ 大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
・ 友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
・ 他人のものを盗んだので、罰としてお尻を叩いた
・ 宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
→ これらは全て体罰です。

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