見出し画像

やさしい眼差し

 我が家の長男を始めとした子どもたちは、揃って同じ保育園に通っていますが、長男と次男はそれまでに通っていた保育園から別の保育園へ転園する形になったわけです。

 理由は、父親であるぼくと母親である妻の理由でしかないため、彼らに何かがあったわけではありませんし、ぼくたちの生活基盤が移りそうだから...って身勝手なものです。

 彼らぐらいの年代は集団生活を送る場所が社会なので、そこからあぶれるようだと社会的な「死」を意味するぐらいに重要な場所なのだと、ぼくは認識しています。

 つまり、新しい環境に適応するにも、その新しい環境にいる同じような年代の子たちに受け入れられるのか。受け入れてもらえるためには、どんな振る舞いをしたらいいのか。彼らなりに必死になって行動をするのだと思いますが、そんな生活から早2ヶ月が経過し、無事に運動会を終えるに至りました。

 転園前の保育園では規模が大きかったのもあり、小学校の体育館を利用して開催していたのですが、転園先の保育園は比較すると小さい保育園なのもあり、園庭で開催。幸いにして天候も良かったため、気持ちよく参加できましたし、長男も次男もそれぞれに「頑張る姿」を見せてくれたので、両親揃って満足なのでした。

 前段が長くなってしまいましたが、長男・次男が通っていた転園前の保育園での運動会に「行きたい」と長男が熱望したのもあり、家族揃って観戦に行ってきたのですが、その際に長男が見せた表情と言葉がすごく印象的だったんですね。

 飛び立つひな鳥を見守る親鳥のよう、といったらおかしい気もしますが、物理的な距離ではなく心理的な距離が離れてるような表情で、かつてのクラスメイトたちの「頑張る姿」を見つめていたんです。

 ちょっと意地悪な質問だとは思いながらも「一緒に走ったり、踊ったりしてみたい?」と聞いてみました。

 すると彼は、かつてのクラスメイトたちの頑張る姿をしっかりと見つめながら、ぼくに視線を移さずにこう述べたんです。

 「みんな、しっかり練習してきたんだろうな、頑張ってる。すごくカッコいい。オレはあんな風に練習してないからできないけど、こうやって観れて嬉しい。」

 自分も参加したい、みたいな子どもっぽいといったら失礼かもしれませんが、そんな具合に、ちょっと歯に噛んだ表情を期待してたもんだから、腰が抜けてしまいました。

 そんな風に語れてしまうのか、と。

 ぼくは、また長男をバカにしていたのかもしれません。もちろん、合間合間にみせる子ども同士の馴れ合いは年齢相応のものだし、可愛げのある仕草たちのオンパレードでしたから、それだけではなかったのですが、あまりにもその光景と、先ほどの発言とのギャップが凄まじすぎて、中年のおじさんは、ちょっと意地悪な質問をしてしまったのを思い切り後悔する羽目になりました。

 自分は転園し、別の保育園に通っているのもあり、彼らの「普段」を知ってるけど、いまは想像するしかないからこそ、こうやって「普段がんばってきた姿」を想像した上で見れるんだろうなぁ、なんて思うんですね。

 でも、それって、転園する前に何年も一緒に生活をしてきて、共に頑張ってきた経験があるからこそ、肌感覚的に、顔を見ながら「あの子は」「あの子は」と、一人一人がどんな風に努力をしたんだろう、と想像ができたわけです。

 転園が必ずしも良かったのかどうかはわかりませんが、彼の中で、コミュニティが一つ増えたのだと考えると、少しは良かったのかなとも思います。

 また、父親を超えた瞬間を目の当たりにしたわけですが、やっぱり目の当たりにするたびに嬉しさがこみ上げてくるな、と思った次第でした。


ぼく:遠藤 涼介/Endo-san (@ryosuke_endo

#スポみら (元 #スポーツの未来に僕たちができること )オーガナイザー。 第一弾、新潟経営大学イベントの資金調達を目的に行ったクラウドファンディングは3サイトで募集し、すべて目標達成(総合達成率140%)#新潟 を #前向きな空気の溢れるエリア にすべく活動中。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。 お読みいただき、それについてコメントつきで各SNSへ投稿していただけたら即座に反応の上でお礼を申し上げます!