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6.スタンレー・コレン

WIZ-DOGは全国でイヌのしつけ教室を運営しています。訪れるお客様のニーズは、主に2つ、しつけと訓練です。
しつけはイヌにヒト社会のルールを教えることで、右も左もわからないパピー(仔イヌ)や問題(とヒトが思う)行動を引き起こすイヌが対象になります。
訓練はイヌに飼い主が希望する行動を選択させることで、WIZ-DOGが得意とするドッグダンスの練習は「訓練」の要素が高い作業の連続です。
しつけと訓練の違いは、情操育成も重要な小学校教育と、純粋に学問伝授に徹する大学教育の違いのようなもので、似て非なるものと言えます。もちろん、しつけ教室の現場では、訓練としつけを同時並行して行わなければならない場面も多々出てきます。

訓練は行動を選択させるものですから、行動分析学が役に立つシーンは多いのですが、しつけはそういうわけにはいきません。しつけにも行動分析学の原理があてはまる、と勘違いすると、効果がほとんどないだけでなく、問題行動がさらに悪化することもあります。イヌのしつけは、「こうすればこうなる、ああすればああなる」という公式があてはまるほど単純なものではないのです。

しつけで重要なのはイヌの内観を探ることですが、イヌではないヒトにとっては、それが至難の業なんですね。イヌとヒトは知覚も感情も記憶も異質であり、その行動は、ヒトが考える規則性から大きく逸脱するアノマリー(変則、矛盾)で満ち満ちた世界でしょうから、その内観を探ることは公式化できない作業だと思うのです。ヒトも同じですね。

スタンレー・コレンは著書「How Dogs Think: 犬も平気でうそをつく?」で、イヌについて下記の事実を掲げています。

・ 犬は世界を感じとり、情報を取り込んでいる。
・ 犬は状況に適応するよう行動を学習したり、修正したりできる。
・ 犬には記憶力があり、ある種の問題を解決できる。
・ 子犬時代の経験が、成犬になってからの行動を形づくる。
・ 犬には感情がある。
・ 犬にはそれぞれ個性があり、犬種によって気質にちがいがあるようだ。
・ 遊びをふくむ仲間とのふれあいが、犬には非常に重要である。
・ 犬は犬仲間や人間と意思をかよわせることができる。

行動主義(行動分析において対象者の内心を排除し、客観的に観察できる行動だけを研究対象とする姿勢)に流されそうな心理学の世界で、イヌの行動について内観法(行動分析において対象者の内心も加味しながら研究する姿勢)を排除しようとしなかったスタンレー・コレンは、本当にイヌが好きなのだと思います。


科学的思考を育てるドッグトレーナースクール ウィズドッグアカデミー

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