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【マクロ-04:不動産鑑定士試験のための経済学】 貨幣需要 をわかりやすく(IS-LM分析)


1. 貨幣の取引需要

1.1. 貨幣の取引需要とは

貨幣の取引需要とは、日常の取引のために人々が保有する貨幣の需要のことを指します。例えば、生活必需品の購入やサービスの利用、または企業が原材料を購入するときに必要となる貨幣の量です。貨幣は取引の媒体としての役割があり、取引が発生する度に貨幣が必要とされます。
この取引需要は、経済の活動の規模や頻度に応じて変動します。経済が活発であればあるほど、取引の頻度も増えるため、貨幣の取引需要も増加すると考えられます。

1.2. 貨幣の取引需要と国民所得の関係

貨幣の取引需要は国民所得の増加関数です。これは、国民所得が増加すると、貨幣の取引需要も増加するという関係を意味します。
国民所得が増えると消費や投資の活動が活発になり、それに伴い貨幣の取引が増加するため、その需要も増加します。 逆に、国民所得が減少すると、消費や投資の活動が減少するため、貨幣の取引需要も減少します。

2. 貨幣の投機的需要

2.1. 貨幣の投機的需要とは

貨幣の投機的需要とは、将来の利子率の変動を予測して、利益を得るために保有する貨幣の需要のことを指します。この需要は、利子率と密接な関わりがあります。

2.2. コンソル財の価格

コンソル財とは、永久に固定された額の利息を支払う債券のことを指します。ここでは債権=コンソル財と仮定します。このような債券の収益価格は、収益価格 = 年間の利息 / 利子率の式で計算されます。たとえば、年間の利息が1000円、利子率が5%の場合、収益価格は20000円となります。 利子率が下がればコンソル財の価格は上がり、利子率が上がれば価格は下がるという関係にあります。

2.3. 貨幣の投機的需要と利子率の関係

投機家はコンソル財と貨幣のどちらを保有するかを常に検討しています。利子率の変動予測に基づき、投機家は貨幣やコンソル財の保有を増減させ、これが貨幣の投機的需要の増減を引き起こします。利子率が上昇すると、コンソル財の価格は下がるため、投機的需要は減少します。逆に、利子率が低下すると、コンソル財の価格は上昇し、投機的需要は増加します。 貨幣の投機的需要は利子率の減少関数です。

3. 貨幣供給

3.1. 名目貨幣供給

名目貨幣供給とは、経済において供給される貨幣の総量を指します。この「名目」という用語は、実際の通貨の額や数量を示すもので、物価の変動や購買力の変化を考慮しない数値を指します。

3.2. 実質貨幣供給と貨幣需要曲線

実質貨幣供給は、名目貨幣供給に実質貨幣供給が物価の変動や通貨の購買力を考慮したものです。貨幣市場の均衡点は、貨幣の需要と供給が一致する点です。この点における利子率は、経済全体での貨幣の需要と供給が一致する点での利子率を示します。

4. 貨幣需要曲線のシフト

貨幣需要曲線のシフトは、取引需要や投機的需要の変動によって引き起こされる現象です。たとえば、取引需要が増加すると、貨幣需要曲線は右にシフトします。これは、国民所得の増加や取引の活発化によって、より多くの貨幣が需要されるためです。同様に、投機的需要が増加すると、貨幣の需要曲線は右にシフトします。

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