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【ミクロ-05:不動産鑑定士試験のための経済学】 エンゲル曲線と需要曲線 をわかりやすく(消費者の行動)


1. エンゲル曲線

エンゲル曲線は、所得の変化が消費者の財の需要量にどのような影響を与えるかを示す曲線です。具体的には、家計の所得が増加すると、それに伴って特定の商品やサービスの需要量がどれだけ変わるかを示しています。

エンゲル曲線の傾きや形状は、財の種類によって大きく異なることがあります。この違いは、所得の変動がその商品の需要にどれだけ影響を及ぼすかに関連しています。

1.1. 所得の変化とエンゲル曲線の傾き

所得が増加したとき、ある商品の需要量が増加する場合、その商品は正常財と呼ばれます。逆に、所得が増加したときに需要量が減少する商品は劣等財と呼ばれます。

1.1.1. 正常財とは

正常財は、所得が増加するとその需要量も増加する商品やサービスのことを指します。これは、家計の所得が増加すると、消費者がその商品をより多く購入する傾向があるためです。

例えば、高級車や高級ブランドの服などは、所得が増えると購入する人が増加するため、正常財として挙げられます。これらの商品は、消費者の生活水準が向上すると求められることが多くなります。

1.1.2. 劣等財とは

劣等財は、所得が増加するとその需要量が減少する商品やサービスのことを指します。高所得者は劣等財を購入することが少なくなる傾向があります。

例えば、簡易な食材や低価格の衣服などは、所得が増えるとこれらの商品よりも高品質や高機能の商品を選ぶ消費者が増えて需要が減少するため、劣等財として挙げられます。

1.2. 需要の所得弾力性

需要の所得弾力性(η)は、消費者の所得の変化が商品の需要にどれだけの影響を与えるかを示す指標です。この弾力性は以下の式で示されます。
需要の変化率÷所得の変化率
ηが1より大きい場合、その商品は奢侈材とされ、1より小さい場合は必需材とされます。ηが負の場合、その商品は劣等財とされます。

1.2.1. 必需材

必需材は、所得が増加または減少してもその需要量が大きく変動しない商品やサービスのことを指します。必需材の需要の所得弾力性は、通常、ηが1より小さい値を持ちます。これは、所得の変動に対してその需要が比較的安定していることを意味します。

1.2.2. 奢侈材

奢侈材は、所得が増加するとその需要量が比例して増加する商品やサービスのことを指します。奢侈材の需要の所得弾力性はηが1よりも大きい値を持ちます。これは、所得の変動が奢侈材の需要に大きな影響を与えることを示しています。

1.2.3. 劣等財

劣等財の需要の所得弾力性は、ηが負の値を持ちます。これは、所得が増加するとその商品の需要が減少し、逆に所得が減少すると需要が増加することを示しています。

2. 需要曲線

需要曲線は、商品の価格が変動すると、その商品の需要量がどれだけ変動するかを示す曲線です。この曲線は、商品の種類や市場の状況によって、需要曲線の形状や傾きが異なることがあります。

2.1. 価格の変化と需要曲線の傾き

価格と需要量の関係を表す需要曲線の傾きは、その商品が正常財であるか、非ギッフェン財であるか、それともギッフェン財であるかによって異なります。一般に、正常財の需要曲線は下向き(価格上昇で需要減少)であり、非ギッフェン財も同様ですが、ギッフェン財の場合は上向き(価格上昇で需要増加)となることがあります。
この傾きは、価格弾力性(ε)と密接に関連しています。

2.2. 需要の価格弾力性

需要の価格弾力性(ε)は、商品の価格の変化が需要にどれだけの影響を与えるかを示す指標です。この弾力性は以下の式で示されます。
需要の変化率÷価格の変化率

2.2.1. 正常財

正常財は、価格が上昇するとその需要量が減少し、価格が下降すると需要量が増加する商品を指します。正常財の需要の価格弾力性は、通常、εが正の値を持ちます。これは、価格が上昇するとその商品の需要が減少し、価格が下降すると需要が増加することを示しています。

2.2.2. 非ギッフェン財

非ギッフェン財は、価格が上昇すると需要量が減少し、価格が下降すると需要量が増加する商品を指します。非ギッフェン財の需要の価格弾力性(ε)が正の値を持ちます。
これは、価格が上昇するとその商品の需要が減少し、価格が下降すると需要が増加することを示しています。

2.2.3. ギッフェン財

ギッフェン財は、価格が上昇するとその需要量も増加し、価格が下降するとその需要量も減少する商品を指します。ギッフェン財の需要の価格弾力性(ε)は負の値を持ちます。
これは、価格が上昇するとその商品の需要も増加し、価格が下降すると需要が減少することを示しています。このような特性を持つギッフェン財は、経済学でよく議論されますが、実際の市場で確認される例は非常に少ないとされています。


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