【短歌】にせんにじゅうふゆ

コンビニに行こうと言われダウン着てつめたい小指たちがほどけぬ

ひとひらの初雪ふればさむいのが苦手なきみのちぢんだ首に

ベランダへつれる口実 ほらあそこ 流星群ははやいからいい

ささくれと毛玉のニット/よせ鍋と湯気でくもった眼鏡/ゆたんぽ

冷えた部屋に置かれたままのジーパン履くこれだから冬はいやなの

できあいのものばかり食う毎日はこころも誰かの作りもので

スキップのリズムに合わせて揺れるつゆ 袋の中で踊るおでんよ

雪が降るしかししんみり降るもんだ待ち望んでない人々のもと

白湯がうまい 世に溢れる味たちに酔う人々へ 白湯はうまいぞ

出番待つ一張羅たちが夢みるクローゼットで夜間飛行へ

自販機のコーンポタージュ一粒も残さず飲めたので許します