最近、ぴえんの減りが早くなった気がする。
悲しいニュースばかりで、使用量が増えているのだろう。
充電にも時間がかかるようになった。

これから、上司のご尊父さまの葬儀に行かなくてはならない。
急いでヘッドホン型のぴえん充電器を装着すると、
「充電完了まで3時間です。」
のアナウンス。
いかん、これでは間に合わない。

嫌われ者の上司とは言え、涙を流さなかったとなると、今後の昇進にも関わるかもしれない。
急速充電ボタンに切り替えると、目頭が熱くなってきた。
「充電完了まで30分です。」
なんとか間に合いそうだ。
30分後、「ぴえん」と一滴の涙が流れて充電が完了した。

急いで着替えを済ませ、ハンカチをポケットに押し込み葬儀場へ向かった。
しかし、葬儀場に到着したものの、上司の名字が見つからない。
受け付けで確認すると、
「その方の葬儀は、こちらでは予定されておりませんが？」
不思議そうな顔をされてしまった。

くそっ！フェイクだったのか。
悔し涙で残量が一気に‥‥