洞窟の奥はお子様ランチ #毎週ショートショートnote
チーン
「さっ、解凍が終わったらお料理しなくっちゃ!」
そう言うや否や台所へと立ち上がった妻。
手際よく食器棚から息子が使っていたお子様ランチ用のプレートを取り出し、
電子レンジの扉を開いた。
「なぜ?何も入ってない。」
彼女は、庫内に手を入れ見えない材料を探し続ける。
十三年前
私は妻と一人息子の昇を連れて、ある有名なキャンプ場に来ていた。
傍には川が流れ、山々は新緑の眩しい季節。
余りの好天に心が緩んでいたのかもしれない。
「遠くに行っちゃだめだよ。」
と川に向かう息子