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「3年間、失敗し続けたら作家になっていた話」はたらくたぬきち

 今後自分はどうなるのだろう、と考えるとあまり眠れなくなり、睡眠薬をもらって飲んでいるのにも関わらず、夜中に何度も目が覚めた。主治医にその話をすると「先のことを考えても仕方ないので、現在に向き合いましょう」といったことを言われる。先日読んだ、セネカ「人生の短さについて」に書いてあったようなことだ。その時に「セネカも似たようなことを言ってました」とかっこよくは返せなかった。いや、返せていてもかっこよくはないか。

 入院生活9日目。入院中に読んだ本20冊目。昨日の吉村萬壱「臣女」のように、時々感想を書いていこうと思う。


 タイトル通り、筆者のたぬきちさんが様々なものに手を出し、そして失敗し、noteにたどり着き、Kindle出版に至るまでの経緯が記されています。ささやかに続けていたブログをそっと閉鎖したり、怪しげな詐欺に引っかかりそうになったり。常人なら「なかったこと」にしたり、恨みつらみを吐き出しそうなことを、さらりと笑い飛ばして書いています。

 私は今後、職場復帰できる身体か分からず、復帰できたとしても以前のような働き方はできない可能性があります(もちろん、この病気としては軽症で、無事元通り働けるようになった! という可能性もあります)。たぬきちさんが様々に試しているような、在宅で稼げる副業に挑戦していかなければならないかもしれません。あらかじめその道筋を示してくれた、ともいえます。

 先日、投げ銭設定で投稿した記事を、お見舞い金代わりもあってか、幾人かの方が購入してくださいました。嬉しい反面、有料記事だけで生活費を稼ぐ、治療費を賄う、といったことは厳しいことも実感しました。元々今年は、有料記事を試してみようと思っていました。思わぬ病気と入院で獲得した時間に背中を押され、踏み出してみましたが、今後はより本格的に挑戦していくかもしれません。

 本作を読みながら「失敗してもいいじゃないか」と思えるようにもなりました。もちろんこれまで読んでくれている方々を裏切るようなことはせず、今後読んでくれるかもしれない方々の顔を思い浮かべながら、書き続けようかと思います。

 リハビリの運動量が増えたためか、腹が減るようになってきた。話を引き出そうとリハビリ担当の方が子どもの話をする。会えないつらさが倍加されてしまう。

(了)


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