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くたびれもうけ

 時間がある。来月からはまた忙しくなるのだが、今は余暇を楽しんでいる。多忙な時期は「いっぱい時間が出来たら英語の勉強をするんだ!」とか「筋トレしまくるんだ!」とか思っていたのに、いざそうなると怠惰に過ごしてしまう。嫁の弁当作り、洗濯、多少の掃除を仕方なくやるだけ。誰かの生み出したコンテンツを消費する日々。オレは生きてない。死んでないだけ。『クロノ・トリガー』やりたい。

 そんな毎日、自然とSNSパトロールの時間が増える。しかしながら、徘徊していると昔と全然違うことに気付く。あの頃仲良かった人たちが、誰も発信していないのだ。インスタやtiktokは知らない若者だらけ。ブログやnoteは数回の更新で頓挫しているページばかり。おそらくコロナ禍に勢いで始めて、すぐ飽きてしまったんだろう。頼みの綱のツイッターも、エッチな女の子の写真しか流れて来ない。前までは鼻の下を伸ばしていたのに、最近は供給過多で恐怖すら抱く。こわい。小学校低学年でヤンマガを読んだ時ぐらいこわい。

 多分、同じ時代を生きた全員の発信先が、自身の半径数メートル以内で収まったのだ。確かに、自分も忙しい時はSNSから離れていた。日常の些細なことを、嫁と共有するだけで満たされたからだ。過去の嫁との日記を読み返すと、パブロンSの効きの良さで盛り上がっていた。すごい角度だ。

 もうあの頃とは違うことを痛感した。それと同時に、現在の暇をこのまま過ごすと、寂寥感に飲み込まれて死んでしまう気がした。そうだ、嫁に見せるだけでいいから、何かコンテンツを生産してみよう。と言うことで、なんとなくZORNっぽいラップの練習をした。韻を固くする、地元の悪そうな友達の名前を入れる、生活に密着した育児っぽいワードで落とす、これでリリックを書いてフローを真似ればそこそこ似る。

 そして、満を持して嫁に披露したら「誰それ知らない」と言われた。骨折りZORN。

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