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どうやら黒い苦い水ではない

 コーヒーにハマっている。今年で33歳になるくせに、コーヒーの美味さをこれまで知らなかった。飲めないことも無いけど、能動的に飲んだことはない。出されたら渋々飲む程度。学生の頃は、同じコーヒー嫌いの友達と「黒い苦い水」なんて揶揄するぐらいだった。カフェで頼むのもいつも紅茶。ちなみに、そいつは紅茶のことも「香りのする茶色いお湯」と言っていた。世界の解像度が低い。

 あと、去年まで喫煙者だったので、あえて避けていたフシもある。タバコとコーヒーが合わさると口臭がうんこと化す。あれはおそろしい、地獄のマリアージュだ。このコンビネーションを味わった人とうんこを食った人を並べ、チキチキきき口臭をしたらおそらく間違える。オレのキンタマはパンチングマシーンの餌食だ。

 そんなうんことかキンタマみたいな下品な話がしたいわけではない。コーヒーについてだ。昔はあれだけ苦いと思っていたのに、その苦味がクセになってきた。なぜ、大人になるにつれコーヒーを美味く感じられるのか検索してみると「味蕾が減り、苦味を感じづらくなるから」とか「何度も飲むとコーヒーの苦味が毒じゃないと分かるから」とか書いてある。……ううううるせえ! そんなことは分かっている。こう言う調べ物の時にいつも思うが、回答が手前過ぎる。こっちはその先が知りたいのだ。例えば、日常で不足したホニャララを補うためにホニャララと言う成分が欲しくなるとか、交感神経と副交感神経を入れ替える中毒性があるとか。分かり切った知識を得意げに書く感じは、SNSで聞き齧った知識を飲み会で披露するおじさんみたいだ。オレです。

 と言うような興奮状態も落ち着かせてくれるからコーヒーはすごい。世界中で好む人が多いのも頷ける。今ではすっかりコーヒー党に寝返ってしまった。しかしながら、冒頭に書いた旧友と久々に会ったら、裏切り者扱いされるかもしれない。ブルータス、お前モカ。

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