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敵塾(適塾)レッスン!

他愛もないケンカの仲裁のお話。

この話は2013年10月☆日(日)深夜に起きた出来事です。最終的には警察のお世話になっていたから、大阪府警には調書が残ってると思う。
(※なんとなく日付だけ☆にしましたが、深い意味はありません)

当時は介護士としてガイドヘルパーをしており、その日は知的障がいのある利用者さんと一緒に室内プールで泳いでから、その後、道場で総合のスパーをして疲れたな~と思いながら、自転車で家に向かって走っていました。

そして、ちょうど大阪北浜にある緒方洪庵適塾の前を差し掛かったところで

「オラ~!コラァ~!殺す気ぃでこんかい~!」

と、大声で叫びながら、口元と顎に少し武将ヒゲを生やしたエグザイル風のイケメンの若い男性が、眼鏡をかけたインテリ風の若い男性の髪の毛を掴んで引きずり回していました。(゚Д゚;)
(※というわけで、以下、イケメンくんと眼鏡くんと記載することにします)

夜中でしたので周囲には誰もいません。

 目の前で起こっていることで、見てしまったものは仕方ないため、仲裁に入るしかないか…と思い、その前に証拠を撮っておこうと、素早く携帯を取り出し写真を撮ろうとしたら充電切れ…(;´Д`)
(※過去の体験から仲裁のときは写真、動画、音声録音などをできるだけ残すことを心がけています)

「はぁ~、こんなときに…」と溜息をついてから、放置はできないので仲裁に入る。


 男性達の側面から、

「え~っと…どうされたんですかぁ~」

と声のトーンを落としながら声かけ。

 すると髪の毛を掴まれている眼鏡くんが

「た、助けてぇ~!この人おかしいんです~!殺される~!」

と目と声でSOSを出されていました。

「なんや人来たら態度変えやがって!コイツがケンカ売ってきたんじゃ~!」

といって尚も髪の毛を掴んで、眼鏡くんの頭を下に押さえつけようとするイケメンくん。

取りあえず、

「まぁまぁ…」

といってイケメンくんの両手首をやんわり掴んで錬成力で一体化。

 一瞬、腕が動かなくなったイケメンくんが呆気にとられた瞬間、相手の力を抜きながら髪の毛の生えている方向へパッと腕を動かすと掴んでいる手が外れる。

こうしたことは発達障害のある方々のパニック時の髪の毛掴みの対応で慣れているので、むしろヘルパー業務と比べると簡単でした。

 しかし、何故、外れたかわかっていないイケメンくんは、なんとなく自分で力を緩めて解放してやったという風に錯覚している感じでした。

 その後、取りあえず道路の真ん中にいたので歩道に移動するように、やんわりと促しながら、2人を誘導。

歩道に移動した後、二人の口論…というか怒鳴りあいが再び続く。
 周囲を見ると自転車が2台、倒れた状態で転がっていました。

二人の言い分をまとめて経緯を要約すると…

まず眼鏡くんは酔っており、自転車で蛇行運転をして走っていた。

そこへイケメンくんが自転車で差し掛かった。
イケメンくんは危ないと感じて、すれ違いざまに「チっ」と舌打ちしながら自転車をかわす。

 すると自転車で行き過ぎた眼鏡くんが戻ってきて

「今の舌打ちはなんだ~!」

と言い出して、売り言葉に買い言葉で2人とも自転車を乗り捨て、口論になった。

 その際、眼鏡くんは、間合いをズンズン詰めながら、イケメンくんの方に接近して文句を言いだす。

そこでイケメンくん曰く、「怖くなったので動きを止めようとした」らしい。

ただ、イケメンくんの対応は、眼鏡くんの左の中指を掴むと関節の曲がらない方向に向けて思いっきり指を曲げながら、空いている左手で相手の髪の毛を掴んで後ろに引き倒そうとするものだった。

眼鏡くんは右手で髪の毛を掴まれている手を抑えながら倒されないように抵抗。

するとイケメンくんは相手の指を持っていた右手を離して、両手で髪の毛を掴んで引きづり回す行動に出た。 

眼鏡くんも両手を掴んで応戦し、膠着状態に…。

そこに私が通りかかった…ということらしい。

 そんな経緯を訴えながら、眼鏡くんは携帯電話を取り出して110番通報をしていた。

その行動に対してイケメンくんは

「メンドクサイ!」

といって立ち去ろうとする。

「逃げるな!」

と叫ぶ眼鏡くん。

イケメンくん(以下、イ):「あほか!お前がケンカ売ってきたんやろ!ほんなら警察よべや!」

眼鏡くん(以下、眼):「今よんどるわ!」

イ:「なんやと人きたからって調子に乗んなよ!」

眼:「あ~あ~可愛そうに。俺は手ぇ~出してへんからな~。お前は警察が来たら終わりやな~!」

嫌みを込めた言い方をする眼鏡くんに対して、イケメンくんが私の方を見ながら

イ:「ほら、これですよ!見てわかりませんか?コイツ変なんですよ!警察来たら証人になってください」

 私:「ん~…いいけど私は見たことしか言わんよ…」

眼:「証人はこっちのセリフじゃ~!お前の方が悪いことを証明してもらわんと!」

私:「ん~…どちらが悪いかは警察が判断するやろうから、やっぱり見たままのことしか言わんよ」

 眼:「あぁ~今めっちゃ指が痛いわ~!全くなんでそんなことすんじゃ~ボケ~!」

イ:「お前、調子のんなよ!しばいたろか!」

眼:「やってみろや!」

私:「まぁまぁ、ちょっと離れて…」

…とここまでは単なる仲裁だったが、この後のイケメンくんのセリフが私のオタク心を揺さぶることになる。

イ:「お前よ~人を見た目で判断しとるやろ!俺はな~武術をやっとるんじゃ!本気でやっとったらお前今頃、だだでは、すまんことなっとるぞ!!」

私:「えっ?!なんか武術やってんの?それは日本の古武術?海外のやつ?格闘技じゃなくて護身術ですか?」

イ:「そこいらの護身術とちゃう」

私:「え?!マジで!団体名とか流派名とかありますか?」

イ:「・・・教えん」

私:「・・・」

何だろう?指を曲げて髪の毛を掴んで振り回す護身術なんてあったっけ?と思いつつ、ここでふと我にかえる

私:「あ、でも武術やってるんやったら人を傷つけたらあかんような気がするけど?」

イ:「いや、コイツが、こうやって迫ってきたわけですよ!こうやって?!だから身を守っただけですよ」

私:「でも、武術家なら、ケガさせない方法とかもないの?」

イ:「じゃあ、どないせぇいうんですか?相手は刃物とか何もってるかわからんでしょ?だから、即対応して動き止めなあかんでしょ!」

私:「いやぁ…例えば手を取るとかは?」

イ:「はぁ~?お兄さん、ごめんやけど、そんなん無理やで。いや~甘いわ~」

私:「そ…そうかなぁ…できへんかなぁ~。何もってるかわからんからこそ、先に手を取らないとって思うけどなぁ…」 

その意見に、何故かイライラしているイケメンくん…

イ:「こうやって間合いを詰めてくんねやで!!お兄さんやったらどないすんねん…」

…といいながら、ここでイケメンくんが実際に迫ってきたので「護道構え」から、パッと手を取って背後に回り、「諸手封じ」を反射的に行う私。

一瞬、固まるイケメンくん。

まさにジョジョ的(※1)に言うと

「ザ・ワールド!時は止まる…」

(※1:例えがわからない方は、ジョジョの奇妙な冒険・第三部をご参照ください)

そして、少しの間をおいてから

イ:「それで!動きを封じたつもりやろうけどなぁ~」

…といいつつ、イケメンくんが後ろ蹴りを繰り出す!
 
…が、これは完全に想定内だったので、足が上がった瞬間に相手の軸足側に移動する私。

「ビシャーン!!」

と勢いよくバランスを崩して地面に倒れるイケメンくん。

ジョジョ的に言うと

「そして、再び動き出す…」

本来ならば、諸手封じで背面に回った段階で、仙骨を押して踵に重心を集めておくと蹴りも出せなかったのですが、それをあえてしなかったのは自称武術家であるイケメンくんの反応を試した部分もありましたので、これについては謝ります。

イケメンくん、ごめん。

しかし、それはイケメンくんへの天国の蓮の池から垂らされたクモの糸(※2)でもあったのですよ。
残念ながら糸はプッツリと切れましたけども…。

(※2:喩えがわからない方は、芥川龍之介「蜘蛛の糸」をご参照ください)

かくして地面に倒れたまま、私に取り押さえられている状態のイケメンくんは

イ:「俺は本気出してないのに!今、ワザと投げたでしょ!」 

と怒っておられましたので、

私:「いやぁ~ごめん!ごめん!私が投げたわけじゃなくて、おもいっきり後ろに足あげるから、自分でバランスを崩されたんじゃないですか?!それに武術やってるって聞いていたから、私も怖くてビックリしてよけたんですよ~。あ、でも、ほら転んでも支えていたからケガとかはないでしょ?」

…といってイケメンくんを解放し、ヘルパーモードで丁重に立ち上がり介助を行う。

眼鏡くんは、その様子を唖然とした表情で見ていました。

すると、グッドタイミングで、続々とパトカーが到着。

それぞれに警察の職務質問を受ける私たち。

その場で警察を交えて眼鏡くんとイケメンくんが再びエキサイトしながら口論を再開。(;^_^A

「証人として事情聴取を後日聞きにくるかもしれないので話し合いが終わるまで待っていてもらえますか?」と言われる私。

少し離れた場所で寒い中、外で待ち続ける。その冷えのおかげで膝が痛くなってくる。
(当時、格闘技のトレーニングや試合の後遺症で膝を痛めていた。今は自力で完治させて全く問題ない)

警察との話し合いの後、眼鏡くんが

「正当な意見を主張した被害者が、なんで泣き寝入りをしなければならないんだぁ~!」

と叫んだあと

「訴えてやる!」

といっていました。 (-_-;)

私は取りあえず、一緒に警察署まで行く必要はなくなり、そのまま帰れることになったので自転車にまたがって立ち去ろうとすると、眼鏡くんが駆け寄ってきて

眼:「ほんと助かりました!名刺とかないですか?お礼をしたいので名前を教えてください」という。

私:「ありがとう。悪いけどお礼とかいらないので」

眼:「いや…でも…」

 私:「あのさぁ…それより正当な意見を主張するのはいいけど、もう少し言葉遣いには気をつけたほうがトラブルは減ると思うよ。次は誰かが通りかかるとはかぎらないし…」

…と少しアニメ「名探偵コナン」の声優:高山みなみさん風のイントネーションを意識しながら、諭すようにお伝えする。 

その言葉を傍で聞いていたイケメンくんも話しかけてきた。

イ:「あ・・・お世話になりました…」

私:「えっと…お兄さんは武術家でしたっけ?その自分のやった対処が本当にベストだったかをよ~く考えてもらえたらいいな~って思ったりします」

ここは何故か江戸川コナンではなく、工藤新一(声優:山口勝平さん)のような感じで話していました。

それを聞いていたお巡りさんからも声をかけられました。

お巡りさん:「すいません、ご苦労様でした」

私:「いえいえ、失礼いたします」

そして、急いで自転車で走り去る私。
帰宅後、すぐに風呂で膝を温めながら

「あ、やっぱ写メとか撮りたかったなぁ…」

と呟いて風呂上りに時計をみたら、時刻は早朝の4時でしたとさ。

 やれやれだぜ! ┐(´-`;)┌
(↑ここはジョジョの空条承太郎のイントネーションでヨロシク!)

さて、余談になりますが、皆様は今回の舞台(?)となった緒方洪庵(おがたこうあん)適塾(てきじゅく)をご存知でしょうか?

江戸時代後期の武士(足守藩士)で蘭学者・医者として知られる緒方洪庵(文化7年7月14日(1810年8月13日) - 文久3年6月10日( 1863年7月25日))が、江戸時代後期に大坂・船場に開いた蘭学の私塾で正式名称は適々斎塾(てきてきさいじゅく)といいます。

福沢諭吉、大鳥圭介、橋本左内、大村益次郎、長与専斎、佐野常民、高松凌雲など幕末から明治維新にかけて活躍した人材を多く輩出したことで有名な塾で、明治新政府の教育制度の整備と共に、その後は大阪医学校、府立医科大学、大阪大学へと発展したといわれています。

大阪市内において数少ない歴史を感じることができる場所です。

大阪在住で、まだ行ったことのない歴史好きな方は散歩コースとして、また地方から大阪に来られた方は観光としてオススメいたします。

適塾
大阪府大阪市中央区北浜三丁目3-8
アクセス:Osaka Metro御堂筋線・京阪電車「淀屋橋駅」または「北浜駅」より徒歩5分
料金:大人260円、学生140円
(その他、詳細は適塾のHPをご参照ください)

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