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婚活に迷い、惑わされる

久々にどっぷりハマりました。
辻村深月さんの「傲慢と善良」

まず、あらすじを簡単に。

主人公の架は学生時代から恋人を欠かしたことがないが、結婚となると腰がひけていた。結婚適齢期には恋人がいたが、結婚を渋っているうちに愛想をつかされ、それ以降はアプリで婚活をするようになる。しかし、昔の恋人を忘れられないたまに、真実という恋人ができても結婚には踏み切れない。しかしある日、真実が行方不明になる。以前からストーカーの被害を訴えていた真実を心配し、架は真実の実家や職場なに出向き、調査を始める。

ara-suji.comより

すごいのは最初の1ページを読んでから、スーッと本の中に没頭してしまうような、久々の読書体験でした。久しぶりに、お昼休みも読みたい!と思うくらいに、没頭できるストーリーで、500ページくらいあるのに、ページが軽かった〜。

この本はじっくり振り返りたいと思い、面白かったポイントをまとめてみました。(ネタバレ含む)

タイトルの意味がすごい!

そのまんまの意味ですが。基本的には善良な人でも、どこか傲慢なところあるよね、とか。自分のこと棚にあげちゃったり、自分は許されるって思ってたり、自分でもあるんだけど、辛辣にぐさっと書かれています。
自信がないのに自己愛が強いとか。よくあるよね、私もあるある!
きっと人間の本性で、傷つかないように自分を守るようになってるんだと思う。しかし、真美ちゃんがどんどん苦手になっていくんだ。特に真美ちゃんの母親は、無理すぎるタイプ。でも後半の真美目線でのストーリーで、真美ちゃんの考え方が変わっていく過程が気持ちいい!!

現代の婚活市場について

実はミステリー系かと思いきや、思いっきり婚活の話。結婚相談所やマッチングアプリの苦悩をしっかり書いている。女性だと、35歳は高齢出産に定義されるわけで、だからその前に結婚しておきたいと、焦るのはわかる。けどね、男性も焦るんだね。架は元カノ引きずりながらも30後半になる。周りは既婚者だらけで、気楽な恋愛だけでは済まない疲れとか、孤独を感じたりするんだよね。
男女ともに、どこかで社会的な圧を感じてしまうんだよね。

マッチングアプリで婚活って、なんか楽しそうじゃない?って思っていたわけだけど、実際は疲れるらしい。
初めまして〜。趣味は〜、休みの日は〜、仕事は〜とかテンプレを繰り返すのもしんどいし、そんなこんなで会っても、なんか合わない。らしい。
私はアプリ使ったことないけど、なんか会う時緊張しそうだな〜とは思う。やり取りも最初は楽しそうだな〜と思う。うん、すべて想像なんだけど。

なんか合わない、ピンとこないってなんなんだろう

婚活市場で自分がなぜ選ばれないのか、なぜ相手を選ぶことができないのか、ピンとこないって何なのか…

本の中では、結婚相談所の小野里さんがこう話していました。

相手を見ながら鏡を見るように自分に見合うかなと点数をつけている、自己評価と同じくらいの人を相手に選ぶとピンとくる。

だとしたら怖すぎる〜。
なんか就活みたいだなって思うことはあって。会社のことを調べるはずが、マッチするために自己分析を進めるような…相手を見ながら自分を探すような。不思議なことが起こることはあると思う。

本の中では、鳥肌立つような論理がつらつら語られてて、それも面白さの一つです。

大人になって出会ってよかった

あとは、架と真美が全然タイプの違うというか、学校にいたら交わらないような世界線の人達なんだけど、同じ婚活という荒波で出会ったり、共感したり。
大人になると出会う人の幅が広がって、昔は苦手だった陽キャとか、多少ギャルとか、多少ヤンキーとも普通に話せるようになる不思議ってあるよね。学校卒業してからのが、俺たちよく遊んでるよな、みたいな。

なんなんだろうね、年齢重ねたせいかな。人付き合いに慣れ始めたのかな。
急にコミュニケーション力高まったのかなと誤解しちゃうけど、そんなことなくて、何かの殻が破れた感じ、怖くなくなった。思春期とか、男子女子とかどうでもいい、図太いおばちゃんになったような、そんな境地だと思っている。

騙されたい願望が叶う

ラストどんでん返されたいよね、ミステリーとか。これはミステリーではないんだけど、途中にびっくりする展開があって、しっかり騙されちゃいました。これが楽しい。


本の感想をまとめるのって、小学生の夏休みから課題に出されてるのに、未だに難しい。次は箇条書きとかにしようかな、簡単に。今回はすごく語りたい気分だったので、拙い文章で長々と書いてしまいました。
ここまで読んでくれている人がいたら、それは嬉しいことです。今、話題作なのでぜひ興味を持って頂けたら嬉しいです。

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