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【ごっこ遊びとは】 アラバール 「建築家とアッシリア皇帝」

人間は、本心を語るとは限らない。虚構ばかりを口にすることなんて、そう稀なことではない。

「嘘をつくのは人間の特殊能力」とは、フランケンシュタインの怪物の言であり、実際人はいともたやすく嘘をつく。時には、無意識のうちに。

そして、人間は「ごっこ遊び」もする。子供の頃だけではない。大人になっても、ごっこ遊びは色んな形で存在する。

でも、虚構と、嘘と、ごっこ遊びとの狭間には、真実が見え隠れする。虚構と虚構の間に開いた、わずかな隙間から、「本当」や「実態」が滲み出てしまう。

「ごっこ」に縁取られたど真ん中に「現実」が立ち現れてくることも。

どこかの島に流れ着いた「アッシリア皇帝」は、何年もの間、島の住民を相手に「ごっこ遊び」を繰り返している。もう何度も演じているから、島の住民も阿吽の呼吸でその芝居に付き合っていく。その芝居の中で、彼は「建築家」としての役割を得ている。

本心を言わないはずの「アッシリア皇帝」の「罪の意識」みたいなものが、少しずつ少しずつ、滲み出てくる。

シュールな虚構の入れ子状態がずっと続くのに、ふと気づいたら、現実がそこに立ち現れていた。世の中って確かにこんなもんかも知れない。

成河さんのフィジカルが、意味わからない。何あの滞空時間。何あの脚さばき。

岡本健一さんの裸体も、意味がわからない。え?50代?嘘でしょ?何がどうしたらああ仕上がるの?

脳内処理が追いつかなくてハングしてしまうほどの怒涛の如き言葉のるつぼに翻弄されて、頭が何度か真っ白になりました。終わった後暫く、放熱状態が続きました。

もう1回観たい。配信してくれないかしら。そして、生田さんの戯曲も読みたいのだけれど、どこかでどうにか手に入らだろうか。

いつから彼らの真実のカケラが、私の中に侵食していたのか、それを追体験してみたい。

明日も良い日に。

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