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【赦しとは】 NT Live 「フリーバッグ」

人は間違える。だから、消しゴムつきの鉛筆があるんだ

のっけから、やりたい放題、言いたい放題が大炸裂の1人芝居。いきなりこんなトップギアで始めちゃって、大丈夫?!なんて心配は全くもって杞憂に終わった70分ノンストップの芝居体験でありました。

でも、1人語りに終始するわけではない。

複数日に跨って、彼女の自己内対話に沿って、物語は進んでいく。その中で、少しずつ彼女の中の闇と、懺悔と、孤独と、優しさと、矛盾などが現れては消えていく。

こう書くと、すんごい真面目な一人芝居に聞こえてしまうかも知れないけれども、さにあらず。

9割、猥談ですwww

でもその性に奔放な女性、なんならセックス依存症ではと思わせる様々な言動から、少しずつ彼女の内面が浮き彫りになっていく。

誰しも複数の仮面を持っていると思うけれど、それらがだんだん剥がれていく様が、痛々しかった。それはきっと、自分にも当てはまるからだ。

何度も何度も繰り返しフリーバッグが口にする「親友の死」。それがトラウマなのだということが、何の説明もなく、感じられる。そしてそのトラウマの理由が笑いの最中で明らかになる後半に鳥肌が立った。

日本でも昔は「クリスマスケーキ」なんて言葉があった。今はもうあまり聞かないが、25を過ぎると女性の価値はドン下がりという嫌な言葉だ。

フリーバッグの悩みの1つにも、これがある。自分の価値はこの若い身体だけかも知れない、それがなくなってしまったら、誰も自分を愛してくれないかも知れない。

愛情確認をしたくて、誰彼とでも寝る。自分は生きていてもいい、という許可を求めるように。

泥酔した若い女の子を、終電に乗せてウチまで見守って帰ってあげる優しさを、どうか自分にも向けてあげて、と願った。

こう言葉にすると、作品自体がとてもウェットな印象を持たれるかも知れないので繰り返し言っておくが、9割猥談!そのバランスもすごい。

ズドンと効かせるところを散りばめつつも、それ以外の99%は毒舌と風刺と、スケベ話。しかも普段ここまで赤裸々には話さないよねってところまでガンガンついてくる。それが爽快で、スカッとする。

でも、刺さる。これを1人でってまじですごい。何役やったんだろう。10役くらい?

Amazonプライムで、ドラマ版が配信されているので、そちらもぜひ。

https://www.amazon.co.jp/フリーバッグ-シーズン1/dp/B089XTK4J1

明日も良い日に。


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