ミーハー読書

 ノーベル文学賞をとったカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』(邦訳版)を読んだ。
 少し言い訳するとノーベル賞を取ってから本を買ったんじゃない。僕の本棚には買ったけど読んでない本が10冊以上あって、その中に『わたしを離さないで』があったので読む順番を繰り上げただけで・・・だからなんだと言う話ですね。
 さて、作品についてですが。この作品は、臓器提供のためにクローン技術で産まれた子どもたちの一人であり、現在はその『提供者』達の『介護人』をしている女性の独白という形で綴られています。
 この絶望的な設定にもかかわらず、悲痛さや混沌とした感じが強調されておらず、どことなく白昼夢のような美しさの漂う感じがあります。
 中心はしっかりと描かれているのに周囲は余白をとっている絵を思わせます。ジブリの『かぐや姫の物語』の絵の感じです(と言っても共感が得られるかはわかりませんが)。
 あまり、物語に触れるとネタばれになるのでやめときますが、おすすめするかしないかと聞かれればオススメします。
 最近、本は読んでいても小説は読んでなかったのでより新鮮さが増したのかもしれませんが、それを差し引いても良い作品だと思います。
 クローンや遺伝子、医療について考える視点も増やしてくれると思います。(小川)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?