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創作の悩み 各章のタイトルについて

半獣人×人造人間のBL小説、「虹の制空権」。第二部連載が終わりました。
創作中に悩んだことをお伝えします。

第一部を書き上げて、さて連載投稿しようというときに、考え込んでしまったのが各章のタイトルです。

やっぱり「〇章」で終わるよりも、なにかタイトルがあった方がいい。でも熟考するにはもう力が尽きている…。そこで、火事場のやけっぱちのひらめきでつけています。以下に簡単に解説します。

第一部
1章「人外の森」
高橋留美子先生の「人魚の森」をもじってつけました。
ノイルとツァオレンが出会い、そして詩織が獣人十斗野くんの触手と戯れる幕開けの回です。猟奇的だけどメルヘンチックな響きを拝借したいと思いました。
2章「Mad Tea Party」
もちろんこれは「不思議の国のアリス」! ごちゃごちゃした翠玉荘の茶話会にはこれ、と考えました。
少女が異界で大冒険するストーリーは「オズの魔法使い」と似てるけど、アリスVSドロシーは、ドッジボール対決ならドロシー、勝ちそう。
3章「ぢっと目を見る」
石川啄木「はたらけど はたらけど猶 わが生活 楽にならざり ぢつと手を見る」から。ツァオレンがノイルの虹彩を読み取る場面であり、また、2人が内職に取り組む場面も出てくるので、労働と暮らしを歌ったこの有名な名句がぴったり、と思っています。
4章「カレーの泡」
ノイルとツァオレン、詩織が3人でカレーの試作。いやもう、何も出てこなくて苦しまぎれすぎるタイトル。
5章「荒野の呼び声」
ノイルが獣化する場面。これまた、そのまんまの苦し紛れすぎるタイトル。

第二部になると、さすがに、ちょっと考えるようになりました。

1章「朝日のあたらない部屋」
栗本薫先生の「朝日のあたる部屋」から。人外たちは部屋の日当たりなんか気にしません。
2章「屋根の上の人外」
場面は翠玉荘の屋根の上。そういえば「屋根の上のヴァイオリン弾き」という作品があった、と軽い気持ちでこのタイトルにしましたが、今、調べてみるとウクライナが舞台の作品でした。ちゃんと読んで勉強したいです。
3章「センベロ?」
「千円でべろべろに酔っぱらえる」安い居酒屋をこう呼びます。でも、人造人間も半獣人も酔っぱらいません。
4章「断崖のNarcissus」
ツァオレンの美形ぶりを描きたい!…という回。超絶美男子を表すなら、水面に映った自分の美しさに見とれて命を失ったギリシア神話のナルキッソスでしょう。
水仙と言えば淡路島の水仙郷。海を背景に斜面一面が水仙でいっぱいになります。素敵なところです。
5章「鉛の兵隊」
売春宿の裏に転がされている人造人間ツァオレンと魔子の出会いのシーン。「鉛の兵隊」はアンデルセンの悲しい恋の物語。片足に生まれたおもちゃの兵隊は、紙の踊り子に恋をします。
内戦で使われた兵器ツァオレンには「鉛の兵隊」のイメージがあてはまります。鉛の兵隊がほかの兵隊と少し違って片足であるように、彼も少しだけ人間と異なっているのです。
6章「運河に出でぬ」
近藤芳美「鉄を截る匂ひなまなまと立つ夕べ 心疲れて運河に出でぬ」から。労働と生活と、そして社会に、人の心は疲れます。
世の中にはじかれて運河のほとりに逃げてきたノイルとツァオレン、人外たちにふさわしいと感じて。
7章「愛の禁漁地」
渡辺淳一先生「愛の流刑地」から。第二部は5章あたりが重くなっちゃったので、そろそろ軽くしたいと思いました。愛欲におぼれるノイルとツァオレンには、「流刑地」よりも「禁漁地」の響きが合うかと。
8章「人外放浪記」
「オズの魔法使い」の他にも「西遊記」に「桃太郎」、「ブレーメンの音楽隊」など4人のパーティのみなさんって、暇なときは何をしているのでしょう。…そうです!きっと麻雀です!
「虹の制空権」を書こうとしたとき、絶対に入れたかったシーンが麻雀。
知力、精神力、相手の心理を読む力、運…人間と人外、それぞれの個性がいかんなく発揮されるはず。ですが、麻雀初心者のわたしでは4人の個性際立つ場面は到底描けず悔しい限り。
そして、麻雀といえば阿佐田哲也先生の「麻雀放浪記」の一択。

こんなことを考えながら、各章のタイトルをつけてきました。
楽しい作業でした。
「虹の制空権」は次の第三部で完結する予定です。こちらでも、ちょっとひねった、魅力あるタイトルをつけたいと考えています。



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