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「ドクター・キッド〜小児科医が解説する子供の健康・病気〜」という小児医療ブログ(dr-…

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「ドクター・キッド〜小児科医が解説する子供の健康・病気〜」という小児医療ブログ(dr-kid.net)を書いてる小児科医・疫学者。 小児医療の疫学研究をメインにしてます。 Noteでは、ブログの記事をまとめて、読みやすくしてお届けします。

マガジン

  • Pythonの解析コード

    Pythonの分析コードの学習帳です。私自身は疫学が専門で、Stata®︎を第一言語としています。

  • かぜ薬とホームケアの科学的根拠【一般の方と医療者対象】

    かぜや胃腸炎ではさまざまな薬が処方されています。よく処方される薬だからこそ、有効性や安全性・副作用についてきちんと把握しておいた方がよいと考えています。当ブログ(dr-kid.net)では臨床研究や系統的レビュー・メタ解析の論文をざっくばらんに紹介してきましたが、こちらではもう少し噛み砕いて解説したり、情報を整理したり、付け加えたりしながら、わかりやすく解説していきます。

  • 「小児疫学者のつぶやき」という名の雑記

    [無料]こちらは単なる雑記です。小児医療について思ったこと、研究について感じたこと、疫学について考えていることを、好き勝手に、ざっくばらんに、気ままに記載していきます。

  • 保護者からの素朴な質問に科学的根拠をもって答える

    こちらのマガジンでは、小児科外来で保護者からよく質問されることに対して、科学的根拠をもってお答えしていこうと思います。

  • Stata®︎の解析コード

    こちらでは、Stata®︎の解析コードを載せていきます

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    • かぜ薬とホームケアの科学的根拠【一般の方と医療者対象】

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最近の記事

線形計画法(Linear Programming、LP)

線形計画法とは?線形計画法(Linear Programming、LP)は、数理計画の一分野で、リソースの最適な割り当てを求めるために使用される数学的手法です。線形計画法は、線形の制約条件の下で線形目的関数を最適化する問題を扱います。線形計画法は、運用管理、生産計画、輸送問題、スケジューリングなど、多くの実用的な応用があります。 数理計画 数理計画は、最適化問題を扱う数学の一分野で、特定の制約条件の下で目的関数を最小化または最大化する解を見つけることを目的としています。線

    • 音と周波数

      音と周波数について音は、空気や他の媒体(水や固体など)中の圧力変化によって伝わる振動です。音は波形で表現され、周波数、振幅、位相などの特性を持ちます。 周波数は、波形が1秒間に繰り返される回数を表す指標で、単位はヘルツ(Hz)です。周波数が高いほど、音のピッチが高くなります。例えば、人間の可聴範囲はおおよそ20 Hzから20,000 Hzまでで、この範囲内の周波数の音を聞くことができます。 音楽では、特定の周波数の音を音階(ド、レ、ミなど)に割り当てて、メロディーやハーモ

      • カオス理論

        カオス理論についてカオスは、初期条件に対して非常に敏感であり、そのために長期的な予測が困難となる現象を指します カオス理論は、非線形動力学系が示す複雑で予測困難な挙動を研究する数学的および物理的理論です。 カオス理論は、気象学、生物学、物理学、化学、社会科学、経済学など、多くの学術分野で応用されています。 カオス理論の主要な特徴 カオス理論の主要な特徴は以下の通りです。 初期条件の感度(バタフライ効果) カオス的なシステムは、初期条件に非常に敏感であり、わずかな違い

        • 自然科学モデル:フラクタル

          フラクタルについてマンデルブロのフラクタルは、ベノワ・マンデルブロ(Benoit Mandelbrot)というフランスの数学者が命名した幾何学の概念です。 彼は、数学について図形(フラクタル図形)を用いて視覚的に問題を解くと言うアプローチを実践し、これからフラクタルを導入しました。 マンデルブロのフラクタルは、数学、物理学、生物学など多くの分野で応用があります。特に、自然界の複雑な構造やパターンを理解するためのモデルとして、フラクタル幾何学は広く利用されています。ここから、C

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        記事

          小児の咳止めとしてのはちみつ(2022年度版)

          2020年に書籍「そのエビデンス、妥当ですか? システマティック・レビューとメタ解析で読み解く小児のかぜの薬のエビデンス」にて「子どものかぜとハチミツ」について執筆しました。 その後、システマティック・レビューとメタ解析が2020年に、国内からのランダム化比較試験が2022年に報告されたため、知識のアップデートが必要となり、本記事を記載しました。 1. 要約:小児の咳止めとしてのハチミツ咳は小児のかぜ診療において、非常によく見られる症状です。 子どもの咳は、本人や保護者に

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          小児の咳止めとしてのはちみつ(2022年度版)

          メディアによる社会的ネットワークへの影響と公衆衛生

          前回、人々の健康はそれぞれの社会的ネットワークを通して他の人々とつながっていることを説明した。 https://note.com/drkid/n/nc9cca64ff8c7 このことをマクロな視点で、つまり公衆衛生的な視点で考えることについて、もう一つの重要な点がある。 特に大きな社会的なネットワークを持つ場合、公衆衛生上の介入は、たとえ1人当たりへの効果が僅かであったとしても、集団としては非常に大きくなる可能性がある、ということである。 現代のメディアは,大規模なアウ

          メディアによる社会的ネットワークへの影響と公衆衛生

          社会的ネットワークで人々の健康はつながっている

          医療機関に受診する人は、社会的ネットワークを通じて他の人々とつながっている。 このため、患者に行われる医療介入は、その人への健康影響とは別に、その人とつながっている他の人々の健康にも意図しない影響を与える可能性がある[1]。 例えば、保護者の精神疾患(例:うつ病や統合失調症)を治療することで、保護者が子どもを診療所に受診させることが可能となるケースはあるだろう。 これにより、その子供は必要な健診やワクチン接種をうけられるようになる。その結果、子どもの発達や成長における問題を

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          乗り物酔いにショウガは効くのか?

          ショウガ根(Zingiber officinale)は、漢方薬に調合される生薬です。西洋でもジンジャーという名前のハーブで親しまれ、吐き気や胃腸症状に対する伝統的な治療法としてよく知られているようです。 今回は、このショウガが乗り物酔いに有効か否かを検討した研究結果をまとめてみました。 ショウガと乗り物酔い 乗り物酔いに対するメカニズムは不明ですが、胃の不整運動の調整、バソプレッシン拮抗作用、5-HT3受容体拮抗作用などが考えられているようです[1]。抗ヒスタミン薬など乗

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          風邪などのウイルス感染を予防するには鼻毛は必要?

          鼻毛は風邪やその他のウイルス性の感染症を予防するのに不可欠なのでしょうか? 鼻は気道の入り口にであり、有害な粒子やアレルゲンを捕らえ、気道への侵入を防ぐ重要な保護器官と考えられています。 小さな粒子は鼻から入り,3 μm以上である場合は、鼻の前部に溜まります。0.5〜3 μmの粒子は鼻粘膜でろ過され,繊毛によって鼻咽頭に運ばれ、嚥下されます。残りの0.5 μm以下の粒子は下気道へと容易に通過することが分かっています[1]。 鼻の入り口には鼻毛が存在し,5 μm以上の粒子

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          風邪などのウイルス感染を予防するには鼻毛は必要?

          Interrupted Time Series Analyses②

          今回は、2017年2月にInternational Journal of Epidemiologyに公表されたITSのガイドを中心に解説をしてみようと思います。Stata®︎とRのコードがsupplemental fileに格納されているのでおすすめの論文の1つです。 この論文では、研究デザインについて説明し、どのような場合にITSが適切なデザイン選択となるかを検討します。 さらに、事前にインパクトモデルを提案するという、重要でありながらも省略されがちなステップについて説

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          Interrupted Time Series Analyses ①

          今回はInterrupted Time Series Analyses(ITSA:分割時系列デザイン)についてStataでの実例を解説しようと思います。元となる論文は以下: こちらの論文を再現したものになります。 データセットのダウンロードまずはデータセットのダウンロードです。 findit cigsales コマンドを入力すると、以下の検索結果が出てきますので、赤字をクリックしましょう。 そこをクリックすると、以下の画面が出てきます。 "itsa"のコマンドをイ

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          小児の便秘症は水分摂取量を増やせば改善しますか?

          ・子どもの便秘症を改善させる方法はありますか? ・便秘になったのは水分が足りていないのですか? ・水分を今よりしっかり摂らせれば、便秘症は治りますか? 便秘の治療の際に、ひょっとしたら医療者から「水分をしっかり摂取しましょう」と指導されることがあるかもしれません。 今回は、論文8本分のデータを元に、小児の便秘症と水分摂取の考え方についてまとめました。 なぜ便秘と水分摂取の関連が言われているのか?便秘症のあるお子さんの便は硬く小さいことが多いため、「水分が不足しているので

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          小児の便秘症は水分摂取量を増やせば改善しますか?

          小児の便秘症における食物繊維の考え方

          ・食物繊維の不足は便秘の原因ですか? ・食物繊維をきちんと摂取すれば、便秘は改善しますか? ・実際にどのくらい食物繊維を摂取すれば良いのでしょうか? 小児の5〜20%は便秘症を経験すると考えられています。このため、小児科外来ではよくみかける疾患の1つです。 食べたものが消化され、最終的には便になるわけですから、食事が便秘の原因の1つとして考えられるのは自然なことですし、また食生活を改善させれば便秘症が改善してくれるかもしれないと期待されるのでしょう。 一方で、小児の便秘

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          予防接種後の解熱薬使用のメリット・デメリットと考え方

          ・予防接種後の発熱に解熱薬を使用して良いですか? ・発熱するのが怖いので、あらかじめ解熱薬を予防的に使用したいです ・予防接種後に解熱薬を使用すると抗体獲得率が下がる(免疫がつきにくくなる)って本当ですか? 予防接種後に発熱や局所反応(接種した部位の腫れなど)が生じることは非常に多くあります。 このため、発熱してから解熱薬を使用したり、あらかじめ発熱しないように解熱薬を予防的に使用することがあるようです。 また、「予防接種後に解熱薬を使用すると抗体獲得率が下がる(免疫がつ

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          予防接種後の解熱薬使用のメリット・デメリットと考え方

          こどもは1日何回排便するのでしょうか?

          ・赤ちゃんって普通は何回くらい便をしますか? ・緑色の便が出てきました ・母乳の方が排便の回数が多いって本当ですか? ・便の回数が1日1回くらいになるのは、いつ頃? など、様々な質問が小児科外来ではあります。今回は、これらの質問に対して、「こどもの正常な排便回数」に注目しながら解説していこうと思います。 特に、小児の排便回数に関して行われた国内外で研究は多数あり、 ・新生児 ・乳児(〜1歳) ・幼児(1〜4歳+α) のデータを重点的にピックアップしています。文字数は400

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          こどもは1日何回排便するのでしょうか?

          12. 科学的根拠からみたエキナセア(ハーブ)と子供のかぜ

          インフルエンザや風邪ウィルスが流行する時期に、「エキナセア(ムラサキバレンギク)が、かぜやインフルエンザに有効」といった文言を見かけることがあります。 エキナセアは米国や欧州(特にドイツ)で広く使用されています。 現に、エキナセアを含むハーブ療法(Herbal medicine)は、国内外で非常によく使用されており、欧州では60億ドル、アメリカ・カナダでは15億ドルと推定され、巨大なマーケットを有しています。 今回は、このエキナセアが小児(特に12歳未満)において、かぜの

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