Dr.KID
記事一覧
メディアによる社会的ネットワークへの影響と公衆衛生
前回、人々の健康はそれぞれの社会的ネットワークを通して他の人々とつながっていることを説明した。 https://note.com/drkid/n/nc9cca64ff8c7 このことをマクロな視点で…
[まとめ]小児の麻疹(はしか)
こちらの記事では、小児の麻疹(はしか)の原因、症状、感染性、合併症、予防接種の有効性についてまとめました
◆ 麻疹(はしか)の原因と症状
麻疹は、麻疹ウイルスが鼻や喉の粘膜上皮に感染することで生じます 麻疹ウイルスに感染すると1週間前後の潜伏期間の後、 ・発熱(39°C〜40.5°C) ・咳、鼻汁、眼球の結膜炎 とともに始まります(カタル期) 2〜4日後に発疹が出現し、現れた場所から消退
線形計画法(Linear Programming、LP)
線形計画法とは?線形計画法(Linear Programming、LP)は、数理計画の一分野で、リソースの最適な割り当てを求めるために使用される数学的手法です。線形計画法は、線形の制約条件の下で線形目的関数を最適化する問題を扱います。線形計画法は、運用管理、生産計画、輸送問題、スケジューリングなど、多くの実用的な応用があります。
数理計画
数理計画は、最適化問題を扱う数学の一分野で、特定の制約
自然科学モデル:フラクタル
フラクタルについてマンデルブロのフラクタルは、ベノワ・マンデルブロ(Benoit Mandelbrot)というフランスの数学者が命名した幾何学の概念です。 彼は、数学について図形(フラクタル図形)を用いて視覚的に問題を解くと言うアプローチを実践し、これからフラクタルを導入しました。 マンデルブロのフラクタルは、数学、物理学、生物学など多くの分野で応用があります。特に、自然界の複雑な構造やパターンを
もっとみる小児の咳止めとしてのはちみつ(2022年度版)
2020年に書籍「そのエビデンス、妥当ですか? システマティック・レビューとメタ解析で読み解く小児のかぜの薬のエビデンス」にて「子どものかぜとハチミツ」について執筆しました。
その後、システマティック・レビューとメタ解析が2020年に、国内からのランダム化比較試験が2022年に報告されたため、知識のアップデートが必要となり、本記事を記載しました。
1. 要約:小児の咳止めとしてのハチミツ咳は小
メディアによる社会的ネットワークへの影響と公衆衛生
前回、人々の健康はそれぞれの社会的ネットワークを通して他の人々とつながっていることを説明した。
https://note.com/drkid/n/nc9cca64ff8c7
このことをマクロな視点で、つまり公衆衛生的な視点で考えることについて、もう一つの重要な点がある。
特に大きな社会的なネットワークを持つ場合、公衆衛生上の介入は、たとえ1人当たりへの効果が僅かであったとしても、集団としては非
社会的ネットワークで人々の健康はつながっている
医療機関に受診する人は、社会的ネットワークを通じて他の人々とつながっている。
このため、患者に行われる医療介入は、その人への健康影響とは別に、その人とつながっている他の人々の健康にも意図しない影響を与える可能性がある[1]。
例えば、保護者の精神疾患(例:うつ病や統合失調症)を治療することで、保護者が子どもを診療所に受診させることが可能となるケースはあるだろう。
これにより、その子供は必要な健診
乗り物酔いにショウガは効くのか?
ショウガ根(Zingiber officinale)は、漢方薬に調合される生薬です。西洋でもジンジャーという名前のハーブで親しまれ、吐き気や胃腸症状に対する伝統的な治療法としてよく知られているようです。
今回は、このショウガが乗り物酔いに有効か否かを検討した研究結果をまとめてみました。
ショウガと乗り物酔い
乗り物酔いに対するメカニズムは不明ですが、胃の不整運動の調整、バソプレッシン拮抗作用、
風邪などのウイルス感染を予防するには鼻毛は必要?
鼻毛は風邪やその他のウイルス性の感染症を予防するのに不可欠なのでしょうか?
鼻は気道の入り口にであり、有害な粒子やアレルゲンを捕らえ、気道への侵入を防ぐ重要な保護器官と考えられています。
小さな粒子は鼻から入り,3 μm以上である場合は、鼻の前部に溜まります。0.5〜3 μmの粒子は鼻粘膜でろ過され,繊毛によって鼻咽頭に運ばれ、嚥下されます。残りの0.5 μm以下の粒子は下気道へと容易に通過す
Interrupted Time Series Analyses②
今回は、2017年2月にInternational Journal of Epidemiologyに公表されたITSのガイドを中心に解説をしてみようと思います。Stata®︎とRのコードがsupplemental fileに格納されているのでおすすめの論文の1つです。
この論文では、研究デザインについて説明し、どのような場合にITSが適切なデザイン選択となるかを検討します。
さらに、事前にイン
Interrupted Time Series Analyses ①
今回はInterrupted Time Series Analyses(ITSA:分割時系列デザイン)についてStataでの実例を解説しようと思います。元となる論文は以下:
こちらの論文を再現したものになります。
データセットのダウンロードまずはデータセットのダウンロードです。
findit cigsales
コマンドを入力すると、以下の検索結果が出てきますので、赤字をクリックしましょう。
小児の便秘症は水分摂取量を増やせば改善しますか?
・子どもの便秘症を改善させる方法はありますか?
・便秘になったのは水分が足りていないのですか?
・水分を今よりしっかり摂らせれば、便秘症は治りますか?
便秘の治療の際に、ひょっとしたら医療者から「水分をしっかり摂取しましょう」と指導されることがあるかもしれません。
今回は、論文8本分のデータを元に、小児の便秘症と水分摂取の考え方についてまとめました。
なぜ便秘と水分摂取の関連が言われているの
小児の便秘症における食物繊維の考え方
・食物繊維の不足は便秘の原因ですか?
・食物繊維をきちんと摂取すれば、便秘は改善しますか?
・実際にどのくらい食物繊維を摂取すれば良いのでしょうか?
小児の5〜20%は便秘症を経験すると考えられています。このため、小児科外来ではよくみかける疾患の1つです。
食べたものが消化され、最終的には便になるわけですから、食事が便秘の原因の1つとして考えられるのは自然なことですし、また食生活を改善させれば
こどもは1日何回排便するのでしょうか?
・赤ちゃんって普通は何回くらい便をしますか?
・緑色の便が出てきました
・母乳の方が排便の回数が多いって本当ですか?
・便の回数が1日1回くらいになるのは、いつ頃?
など、様々な質問が小児科外来ではあります。今回は、これらの質問に対して、「こどもの正常な排便回数」に注目しながら解説していこうと思います。
特に、小児の排便回数に関して行われた国内外で研究は多数あり、
・新生児
・乳児(〜1歳)