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まずは知ること! ストレスの仕組みを心理学的に解説

日常の中で変化があり、負担感を感じた場合などに「あー、ストレスだ」などと口にすることがあります。

「ストレス」という言葉は広く知られ、日常的に使われています。しかし、「ストレス」という言葉を使う時には、ストレスの原因となる出来事、ストレスの結果として生じる不調など、いくつかの要素が含まれています。今回の記事では、ストレスとなる出来事が不調に至るまでのプロセスについて解説いたします。「ストレス」の仕組みを理解することで適切な対処方法を知るきっかけとすることができます。

この記事を読むことで心理学の専門家である心理士の使い方を理解すると同時に、部下を持つ管理職が部下にどのように振る舞うことでメンタルヘルス不調を予防できるのかを理解できます。


ストレスのプロセス理解

上の図は、きっかけとなる出来事(ストレッサーと呼びます)がメンタルヘルス不調を引き起こすまでの過程を図に示したものです。

まずは、ストレス源であるストレッサーを認識します。例えば、上司が変わったことなどを例にします。そして、そのストレッサーに対して、評価をします。評価とは、快・不快や、自分にとっての意味づけです。この例では、上司は私のことを無能だと思っているなどと捉えている場合には苦悩を強く感じるはずです。そして、対処を講じます。例えば、上司に気に入られるように献身的に働く、仕事のことは忘れてプライベートでの活動で不快感を軽減するなどの対処行動を行います。対処が上手く働き処理されれば、ストレス源となる出来事の影響は心身の反応に現れないこともありますが、そうした対処により処理し切れない場合には、「不眠」「食欲減退」「気分の落ち込み」などの心身の不調が生じます。そうした不調の状態が続く場合には、「うつ病」などのメンタルヘルスの問題へと陥ってしまいます。以下では、こうしたプロセスの中で介入することにより不調に陥る前に予防することができる方法などをご紹介いたします。

認知的評価の段階に対しての介入

ストレッサーの認知的評価の段階では、どのように状況、出来事を認知しているかには個人差があります。そして、その評価は無意識的に行なっている場合があり、事実以上に自分に不都合な捉え方をしていることがあります。その捉え方を改めて、客観的に吟味することなどにより、そうではないかもしれないと気づくことがあります。

こうした働きかけをカウンセラーはカウンセリングの中で質問していく形で客観化し、修正をしていきます。本人がそう思うに至ったきっかけ、そう考えた根拠、別の可能性の検討などをセッションの中で行います。

こうした関わりは専門家との間で落ち着き、安心できる場所、時間を使ってできることが好ましいですが、簡易的には管理職の上司などが行うことも可能です。

カウンセリングのご依頼、上司の方の部下の方への関わりについてご相談されたい場合には、是非、お気軽にお問い合わせください。

対処の段階に対しての介入

自身でストレッサーを認知、評価した後は、何かしらの対処行動を取ります。この対処行動は「コーピング」などとも呼ばれます。

そして、コーピングは大きく「問題解決焦点型」と「情動焦点型」に分類されます。

「問題解決焦点型」はストレスの原因となっている問題を解決することでストレス源を取り除くというアプローチです。先に例に出した上司との関係がストレスになっている場合には、どうやって関係を良化させるかといった方向で考えるのは「問題解決焦点型」の対処アプローチです。

「情動焦点型」は問題そのものにアプローチするのではなく、自分の気持ち、感情面を整えようという方法です。先に出した例だと、上司との関係は変わらないとある意味では諦めて、プライベートの活動を充実させていく方向で考えるのが「情動焦点型」の対処アプローチです。

カウンセリング場面では、何が問題になっているのかを共有した後、どう対処するのかをクライエントと一緒に検討していきます。例えば、問題がどの程度解決可能か、問題を解決することにクライエントが積極的か、そのエネルギーがあるか、といった観点などです。

ストレス対処が上手くいかないと感じた場合や、上手く機能していないと思われる部下の方がいらっしゃる場合には、カウンセリングのご依頼等、お気軽にお問合せください。

ストレス反応が生じてきたときには?

ここまで、ストレス源の発生(認知)から対処の過程を経て、心身に反応が生じるまでの仕組みをお伝えして、各段階でできる介入アプローチをご紹介いたしました。

しかしながら、途中の段階へのアプローチが間に合わずに不眠、食欲減退、気分の落ち込みなどが生じてしまっている場合や、途中の段階へのアプローチを試みたものの上手く機能的な改善がなさらずに症状が生じてくる場合もあります。

そのような場合には、遠慮せずに1度、心療内科、精神科などの医療機関を受診をすることを検討してみてください。比較的、症状が軽症の場合や、回復の過程ではカウンセリングも有効なアプローチですが、症状が重症化していたり、慢性化している場合には医療機関の受診をすることができると安心です。現在は、心療内科、精神科の予約は1ヶ月など待つことが多いことが少なくありませんので、心配な時にはお早めに予約だけでも入れてみるということもオススメです。

DILでできること

・ストレスマネジメント・セルフケア研修


この記事で紹介した内容をより詳しく、実践的に解説するようなストレスマネジメント、セルフケアの研修を実施することが可能です。

・カウンセリング


上記でご紹介しています通り、認知的評価、対処の段階でカウンセリングを行うことで機能的なストレス対処が行えるようになります。従業員の方のカウンセリングを外注して頂くことなどが可能です。カウンセリングを受けることで、ストレスを上手く処理できることが期待でき、重大なメンタルヘルス上の問題に至ることを予防できます。

・上司の方へのコンサルテーション


部下を持つ上司の方に対して、最近、様子がおかしく、心配な部下の方への対応の仕方、関わり方のご相談に乗ることができます。そうすることで、重大なメンタルヘルス上の問題へと至ることを未然に防ぐことが可能です。

・職場環境の改善


ここまでは個人のストレスの対処過程に焦点を当ててきましたが、個人のストレス源への認知、対処過程の工夫などを行なっても改善できない場合もございます。例えば、メンタルヘルス不調による休職者が相次ぐ職場環境、繰り返し、同じ問題で休職に至る職員がいる職場環境などであれば、職場環境そのものを改善するためのアプローチへ取り組む必要があるかもしれません。当社では、従業員の性格特性をアセスメントして、職務内容、従業員同士のマッチングなどについてのコンサルティングを行うことなどが可能です。

上記のサービスにご関心がありましたら、お気軽にお問合せください。


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