【翻訳】詩人ロード・ダンセイニ ~古びた鐘~
古びた鐘
The Old Bells
見えぬは終わり。さらに見えぬは
勝利の時と勝利に至る道。
さりとて進もう、
その終わりが幾月、幾年先かは分からずとも。
我らの無音の鐘が勝利のために鳴るなら
ヒトラーの打倒を喜ぶ、祝賀の焚火が煌めく前に
銃声を最後に轟かせるのは
貴方か、この私であろうか。
思いを馳せよ――暴政が猛威をふるい
食糧が乏しく、不屈の精神が弱るような日に。
思いを馳せよ――我らの古びた鐘が待ち焦がれる日に。
フェリペ2世の艦隊が嵐に吹き流された時に、
ワーテルローの勝利に、ヒンデンブルクの退場に、
鳴った鐘が響くだろう、やがて来るヒトラーの凋落に。
今回、紹介しましたのはアイルランドを代表する幻想作家ロード・ダンセイニ(1878-1957)が詠んだ詩の翻訳になります。1941年の詩集War Poemsに収められた原文はこちらのリンクよりご確認いただけます。https://allpoetry.com/The-Old-Bells
作者であるロード・ダンセイニについては、東洋とのつながりに焦点をおいて一度まとめております。関心を抱かれた方はぜひ次の記事もご覧くださいませ。
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