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【第12回】ボラティリティの基礎を理解しよう!

みなさん、こんにちは!いつも、こちらのnoteをご覧いただきましてありがとうございます。

今回はオプショントレードとは切っても切り離せない関係であるボラティリティについて説明したいと思います。

正直、このあたりの知識はなくても、ホイール戦略には全く影響がありません。ただ、知識として知っておくとプラスにもなりますので「いつか理解できる時がくるだろう」くらいの気持ちで気楽にお読みいただければと思います。

1)前回までのおさらい

以前、プレミアムの変化させる要因として、以下のような6つの要因があることを説明しましたが、覚えていますでしょうか?

そして、オプション価格(プレミアム)を変化させる要因の一つとしてボラティリティがあることをお伝えしました。

また、ボラティリティは原資産価格の変動の度合い表す指数であり、下記のような関係があることをお伝えしました。

ボラティリティ(大) ⇒ プレミアム増加
ボラティリティ(小) ⇒ プレミアム減少

今回はもう少しボラティリティについて掘り下げていきたいと思います。

2)ボラティリティが20%の意味は?

いきなりですが、ボラティリティが20%であるとはどういう意味でしょうか?正解は以下の通りとなります。

ある株価のボラティリティが20%というのは、今後1年間にその株価は±20%に収まる可能性が68.3%ということです。

もっと言えば、以下になります。

ある株価のボラティリティが40%というのは、今後1年間にその株価は±40%に収まる可能性が95.5%ということです。

この68.3%、95.5%という数字に見覚えありませんか?現物株取引をすでにやっている方はボリンジャーバンドというインジケーターをご存じの方もいると思います。このボリンジャーバンドの±1σが68.8%、±2σが95.5%に相当します。

ボリンジャーバンドについて簡単に説明すると、下図のように、ロウソク足の上下に7本の線でが引かれております。この中央の線(紫)から上下の線(青)がそれぞれ+1σ(シグマ)、-1σになります。また、過去の株価の統計により、±1σの間に株価が存在する確率が68.8%になると考えられております。

また、±1σのさらに外側の線(緑)が±2σとなり、±2σの間に株価が存在する確率が95.5%になると考えられております。

つまり、ボラティリティはこのボリンジャーバンドのσと同じ意味になるのです。

このσ(シグマ)のことを標準偏差と呼んでおります。つまり、ボラティリティというのは、このσ(標準偏差)のことなんです。

ボラティリティとは原資産の価格(株価)の標準偏差のこと

ファイナンス理論的には、このボラティリティの事をリスクと表現しております。ボラティリティが大きい(つまり、標準偏差が大きい、株価の変動が大きいと同意)ことはリスクが大きいことと同意なんですね。

これまで、なんとなくボラティリティの意味を捉えていたと思いますが、ボラティリティが10%と聞いたら、「今後1年間に±10の間に収まる可能性が68.8%になる!」と意味を置き換えて考えるようにしてください。

結構、SNSなんか見ているとプロの投資顧問でも、株価の値幅のことをボラティリティと勘違いしている人もおりますので注意してくださいね。

3)ボラティリティの種類

ボラティリティと言っても、実は色々な種類のボラティリティが存在しております。その中でも、オプション取引を実施していて、よく聞くのはヒストリカル・ボラティリティ(HV)インプライド・ボラティリティ(IV)の2つでしょう。

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)は、過去のデータから計算される標準偏差のことであり、まさに、ボリンジャーバンドで使われているものがHVと言えますね。

インプライド・ボラティリティ(IV)は、実際に取引されているプレミアムから計算される標準偏差のことです。オプション取引では、特にIVが良く使われます。なぜなら、HVは将来を予測したボラティリティとは不一致だと言われているからです。

4)インプライド・ボラティリティ(IV)とは

IVは実際に取引されているプレミアムから計算されるということでした。このことについて少し掘り下げてみましょう。

もう一度、冒頭の画像を思い出して下さい。プレミアムはこの6つの要因で決定されると説明しました。

この6つの要因を一個ずつ確認をしていくと、あるオプションを取引しようとした際、原資産の価格は相場を見ればわかります。権利行使価格も自分が選択するのでわかります。残日数も計算できますね。金利、配当についても情報の入手が可能なのですが、ボラティリティだけは過去のものはわかりますが、現在のものはわかりません。

一方、オプションの価格(プレミアム)については、自分が取引を行えば約定した価格が、その時にプレミアムになりますよね。つまり、6つの要因とプレミアムの内、ボラティリティの情報だけが入手できないのです。

ボラティリティ以外の要因はわかっているのであれば、逆にIVを逆算することができませんかね?下図のように、ボラティリティとIVを交換してみるとIVが計算できそうではないですか?

つまり、IVとは、約定したプレミアムから、残りの5つの要因を基に逆算してはじき出した値になるのです。

インプライドという意味は「示唆するという」という意味がありますが、要するに、市場で取引されたプレミアムから示唆されたボラティリティ、つまり、現時点の市場から計算されたリスクのことなのです。

IVを決定させる以下の6つの要因のうち、プレミアムだけは市場参加者の思惑(実際の取引データ)で決定されます。

他の5つの要因が一定である仮定すると、高いプレミアムを売買すればIVは高くなり、低いプレミアムを入れるとIVは低くなる関係が成り立ちます。

つまり、プレミアムとIVは強い相関関係があり、乱暴に言えば、IVはプレミアムと同義と考えることができます。よって、IVが増加するとプレミアムが増加し、IVが減少するとプレミアムは減少するのです。

5)ホイール戦略におけるボラティリティの利用

ホイール戦略を行う上では、あまりボラティリティを気にせず、プット売りを仕掛けて現物株を取得したらコール売りと機械的にトレードすることも可能ですが、せっかくですので、ボラティリティの知識も取り入れたいですよね!

ホイール戦略で用いるトレードはプット売りとコール売りであり、いずれもオプションの売りとなります。

オプションの売りは、獲得したプレミアムの額が最大利益になりますので、より多くのプレミアムを獲得するためには、ボラティリティ(IV)が大きい時に取引をすると、より利益が増えることになりますね。なぜなら、IVが大きいとプレミアムも大きくなるので。

6)IVの確認方法

それでは、IVをどうやって確認するの?ということですが、一番有名なIVはVIX指数と呼ばれるものがあります。

VIX指数(恐怖指数):S&P500指数オプション(SPX)を基準の算出されるインプライド・ボラティリティであり、一般的に米国の株式市場全体のボラティリティを図る指数として有名。

ただ、VIX指数はS&P500のIVであるので、相場全体のボラティリティを判断することには使えるのですが、例えば、個別株(P&G)のIVを知ることには使えません。なぜなら、IVは個別銘柄ごと、権利行使価格ごとに個別の数値をもつので。

よって、個別株のIVを調べるには、別途個別のツールを利用する必要があります。簡単なのは、前回ご紹介したSaxoTradersGoにおいて、オプションチェーンで確認することです。ただ、この手のツールは、外部の有料サイトで入手している方が多いのが現状です。米国株オプション取引は海外で多く取引されるので、そのような有料サイトも海外のサイト(英語)に多いのが現状です。

ちなみに、私はMarket Chameleonというサイトを利用しております。英語のサイトになりますが、無料登録でも個別銘柄のIVを確認することができます。

7)まとめ

今回は、ボラティリティについて説明しました。途中、ちょっと難しい話になりましたが、結論は簡単ですので、まずは結論だけを覚えてしまって下さい。

そして、今後、オプション取引に深く取り組んでいく中で、再度、勉強していただければと思います。(私もまだまだ勉強中の身です💦)

次回はいよいよ、オプション取引のラスボスであるギリシャ文字(グリークス)について説明したいと思います!

本日も最後まで御覧いただきましてありがとうございました。次回の記事も御覧いただければ幸いでございます!

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ありがとうございました!