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【ガンマトレード③】ポジティブガンマの特徴

みなさん、こんにちは!いつも、こちらのnoteをご覧いただきましてありがとうございます。

前回は、建玉のガンマ(γ)の符号がマイナスになるネガティブガンマが、建玉の損益にどのような影響を与えるかについて説明しました。現在の株価から遠く離れているからと言って安易にオプションを売ると、予想に反する方向へ株価が大きく変動してしまうと、大きな損失を負ってしまうのでしたね。

今回は、前回と異なりポジティブな話をしていきましょう。前回の話が理解できていれば、今回の話はある程度想像がつくかもしれませんね。前回は大きく損失を負ったということは、反対の立場であれば大きな利益を獲得しているわけですから。

1)ポジティブガンマ

前回と逆で、建玉のガンマ(γ)がプラスになっている状態をポジティブガンマと呼びます。ガンマ(γ)がプラスなわけですから、要するに、コールもしくはプットを買えば、ポジティブガンマになるわけですね。

また、ネガティブガンマの相反する性質を持つわけですから、相場が変動した方が有利になることは想像がつきそうですよね。実際の取引で確認してみましょう。

2)FOTMのコールを買う

それでは、再びSPY(S&P500ETF)の取引例にて確認していきましょう。下記はSPYの日足チャートになります。

2022年12月28日に376.66ドルだった株価が、約6か月後、442.60ドルと大きく上昇した場面となります。

2022年12月28日 410Cを購入

それでは、2022年12月28日(株価376.66ドル)の時に、権利行使価格410ドルのコールオプションを買ってみましょう。満期は約7か月後(残日数:154日)とし、その他の条件は下記のとおりとします。

この時にプレミアムと建玉のグリークスは下記のとおりとなりました。

410Cは現在の株価から約9%OTMとなります。デルタ(δ)が約0.17ということなので、現物株を17株所有しているのと同じこととなりますね。

2023年4月18日 SPY株価:414.21ドル

約4か月後の2023年4月18日、SPYの株価は414.21ドルまで上昇しました。この時の410Cのプレミアムを建玉のグリークスは下記のとおりとなりました。

プレミアムが2.96ドルから11.59ドルと大きく上昇(3.92倍)しました。

410CがATMまで上昇してきましたので、デルタ(δ)が0.58まで上昇しております。最初は17株しか保有していなかったのに、いつの間にか58枚所有している状態になっているわけです。つまり、持ち株が増えつつ、株価も上昇していったわけです。

これを上昇させた理由はもちろんガンマ(γ)となります。ガンマ(γ)はATMに近づくにつれて最大化されていきますので。

2023年6月15日 SPY株価:442.60ドル

それでは、2023年6月15日(株価:442.60ドル)になった場合のプレミアムと建玉のグリークスを確認してみましょう。

プレミアムが32.79ドルまで上昇しました。上昇率は11.08倍となります。

デルタ(δ)を確認してみますと約0.97となってますので、当初17株を所有していたのに、いつの間にか97株を所有している状態です。しかも、株価が上昇しておりますので、利益が多くなるのも納得です。

ガンマ(γ)の値を確認してみましょう。最初に比べて0.45倍と大きく下落しております。これは、ガンマ(γ)の値は、FOTM、DITMではゼロに近くなるという性質によるものです。現在の株価は442.60ドルですので、410CはDITMになってますよね。

このようにポジティブガンマの場合は、自分の予想したとおりに株価が変動した場合、どんどん持ち株を増やしながら利益を増やしていくわけです。

3)ポジティブガンマの特徴

ポジティブガンマの特徴を纏めてみます。コールオプションを買った場合、これは現物株を所有していることと同じ意味となります。また、株価が上昇すれば所有している株は増加していくわけですね。

また、プットオプションを買った場合、これは現物株の売りをしていることと同じになります。株価が下落すれば所有している売り株が増えていくことになります。

また、ネガティブガンマの場合、損益図は山形(凸型)の形となりましたが、ポジティブガンマの場合は、下記グラフ(ロングストラドル)のとおりお椀型(凹型)のグラフになる特徴があります。

ロングストラドルの損益図

4)オプションの買い=ガンマ(γ)を得る

今回のテーマは「オプションの買い=ガンマ(γ)を得る」を理解することでした。

これまでの説明でわかったことは、オプションというのは、株価の変動により、持ち株が0株~100株(※米国株オプション取引の場合)まで変動する商品であるということです。そして、この持ち株を変動させている大きな要因としてガンマ(γ)が挙げられるということでした。

もし、株価が上昇すると予想した場合、一番簡単なのは現物株を購入することですが、SPYのような株価400ドルであった場合、100株で40,000ドル(約500万円)必要になります。

ただ、オプションであれば、今回のケースでは、296ドル(2.96ドル×100株)しか必要がありません。そして、今回のようにDITMまで上昇すれば、最初はわずか17株であった持ち株が97株(ほぼ100株)まで増加しているわけです。

つまり、「オプションの買い=ガンマ(γ)を得る」という意味は、このレバレジを獲得することを指しているわけです。

5)まとめ

今回は3回にわけて、ガンマ(γ)の特徴から、ネガティブガンマ、ポジティブガンマの説明をさせていただきました。理解できましたのでしょうか?

ガンマ(γ)って最初はとてもとっつきにくい印象がありますが、オプション取引において、とても重要な要素となっていることが理解できたのではないでしょうか。

本日も最後まで御覧いただきましてありがとうございました。次回の記事も御覧いただければ幸いでございます!

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