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愛がなんだ

2019年公開の映画、原作は角田光代さんの小説。

今日4/22、サブスクで配信されるということで楽しみにしていた。公開当時に気になっていて劇場に観にいこうと思っていたのだけど、結局行けなかったのでこのタイミングで見た。自分は恋愛モノを見ることが割と少なくて見てもハマれない事も多いけど、こういうリアルな生々しさや、それとなく漂う狂気は結構刺さった。


この映画は一方通行の恋愛、執着や依存をテーマとして描かれている。

気になったのは山田テルコの何も尖るものがない特徴のなさで、ここは塚越すみれとの大きな対比だと思う。好きなものが見えない、ファッションなどにも個性がなくて、趣味らしい趣味も描写されない。好きなものとか趣味って、その人を形づくるものだと思うけど、それが全くない。彼女はそこの空白を埋めるために恋をしているようで、なかなか厳しいことになっている。

なぜ厳しいのか考えてみると、恋人に影響を与えられるものを彼女自身がほとんど何も持っていないからだと思う。なので、お互いに高め合えるような健全な関係にはなれない。もちろんどっちつかずなスタンスで都合良く彼女を利用しているマモルも狡い。

田中マモルのようなクズ男の既視感はすごくて、身近でも何人か心当たりがある。怖いけれどこういう男性って結構多いと思う。

テルコとマモルに対して坂本葉子と仲原は、一方通行だった関係が後半に相補的な関係になりつつある場面があって、その点はこの映画の示唆的な部分であり救いでもあると感じた。このような描写があることでより恋愛の本質に迫れるような作品になっていると思う。


Homecomingsの主題歌や、全体通してキャストの自然な演技も素晴らしかった。原作は未読なので今度読みたいと思う。


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冒頭4分くらいの映像があったので気になった方はぜひ。



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