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76.10:37 モネ展を見てタイムスリップした私

3月1日、アイリス・アプフェルが102歳で亡くなった。
大きなメガネが特徴的で、その人生についてはほぼ知らなかったのだが、ファッションアイコンとして認知していた。
その来歴を調べると、してきたことも素晴らしいが、より彼女の発した言葉にぐっときた。
「世界で一番年を取ったティーンエイジャー」と自らを称したり、「80代の新人なんて楽しいでしょ」と述べたり。
そうやって生き抜いた。
最高ではないか。
悔いなく死にたいけれど、それは無理なことだと分かっている。
けれど、楽しく生き抜くことはできるのではないかと思わせてくれて、アイリス、ありがとう!!


先日、アイリス同様に生き抜いた画家モネの展覧会に行った。

「モネ 連作の情景」
於:大阪中之島美術館

大阪では2月10日から開催されている。
私は2月末に行ったのだが、開催間もないのにも関わらず来場者が多かった。
モネの人気がすさまじい。
特にグッズ売り場はライブ会場かの如く押し合いへし合い。
図録を買うのも一苦労だった。
返す返すも、モネの人気はすさまじい。

今回の展覧会では時代を追って、モネの絵が展示されていた。
中でも「印象派」画家となったモネの絵を見ていると、どうしても連想するのが日本の田舎の風景だった。
自分が育った田舎町。
私が見た風景。
そしてそこに暮らす人々がいること。

これは、例えば『ジヴェルニーの積みわら』から農民が思い起こされて連想した、ということではない。
モネの絵からは、風景のこちら側にいるモネ自身と、ただそこにある当たり前の風景が、とても「自然」なことに感じられたのだ。
その風景は本当に「その場所」にあるのだ。
そして、「そこ」にモネや人々が生きているのだ。

タイムスリップしたかのように、それを感じた。

そして、「そこ」にある普通の情景が、自分自身と重なった。
風景を見る私、「そこ」にある日本の豊かな自然や田舎の風景。
当たり前に、「そこ」に生きる私たち。

とても不思議な感覚だった。

こんなに当たり前のことを描いているのに、どうして人々はモネに惹き付けられるのだろうか。

穿った見方をすると、私たちは、あの有名な「モネ」が描く「フランス」や「ヨーロッパ」という全く別の世界の風景だから、とても特別な素敵なものとして感じすぎているのかもしれない。

日本人が「日本」の片田舎の風景を切り取った作品は、日本人にとっては当たり前すぎて面白くないと感じるかもしれないが、見る目が変われば、私たちがモネの絵を見るように、特別で素敵に映るのではないだろうか。

などと意地悪なことを書いてしまったが、私はモネの絵がとても好きだ。
モネが最高の画家であることは、言うまでもない。
いつかモネの見た風景を訪れてみたい。
そして、自分が何を思うのか、ものすごく興味がある。

アートを見て考えたり感じたりすることの面白さが、ようやくわかってきた。
次はどんな展覧会に行こうかな。

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