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ぬらぬらした肌色

久しぶりにどえらくしんどい期間が続いた。

余りにも仕事が大変で、もはや休日は寝腐るのではなく、脳みそから記憶を追い出すアクティビティをしようと思った。

と、思い立ったが吉日でなんともおあつらえ向きの展覧会が開催されていたので東京ステーションギャラリーに赴いた。

かいのしょうただおと、という画家の展覧会が開催されていたからだ。

おそらく、1番有名なのは以下の表紙の「横櫛」という作品になると思う。

この作品を読んだ時は余りの怖さに、というか怖いを突き抜けた作品のパワーに、読み終わった後、乾いた笑いが出たのを鮮明に覚えている。
これぐらいのパワーに触れれば、ひと時色々忘れられるのではと考えた所存。

『ぼっけえ、きょうてえ』はこの表紙でなければ、怖さは2割ぐらい減ったように思え、以降機会が有れば甲斐荘楠音が展示されていると聞くと極力追うようにしていた。

展覧会はというと、圧倒的な迫力の絵画ばかりではなく、衣装監修としても抜群のセンスを発揮した甲斐荘楠音の功績が丁寧に、でもオーバーフローする一歩手前でまとまっていて、久しぶりにポカンとする時間を頂いた。

「横櫛」ももちろん飲み込まれそうだったのだが、1番長く見たのは「春宵(花びら)」という作品だった。

画像は貼らない。

人間の肌の、ちょっと湿った、健康的とはお世辞にも言えない、ぬらぬらとした光があった。

私もあと少し経てばあの光を帯びた肌になるのかな。

良い夏になりました。

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