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部活動の是非〜現場での問題点は別にある〜

 部活動を地域に委託し、教育現場の負担を軽減させようとする動きがあります。その一方で、未だに部活動は教育現場で担うべきであるという意見もあります。教育現場が疲弊している状況では、部活動の地域への委託はやむを得ない(推進すべき?)ことのように思います。部活動の地域委託に関する問題も重要なことだとは認識していますが、今回は教育現場におけるもっと大きな問題について提起しようと思っています。

 教育現場におけるもっと大きな問題とは何か?

 それは教育現場が疲弊しているにも関わらず、教育現場の内部で未だに部活動の指導に力を注ごうとする教員がいるということです。・・・若干わかりにくいですね。もっと端的にいうと、様々な業務に終われて多忙な教員がいる一方で、部活動の指導に力を入れられるほど余裕のある教員がいるということです。このことは思いのほか現場の業務配分という点で問題であると考えられます。少し踏み込んでみましょう。

 A先生は授業の準備も余念がなく、授業以外の時間もあらゆる業務に追われています。会議や学年での分掌業務などやらなければならないことは盛り沢山で、正直なところ部活動の指導に時間を割いている余裕はありません。部活が終わった後も職員室に戻り、残った業務に向き合います。

 B先生は会議や学年での分掌業務はありますが、授業準備はほどほどで、比較的時間に余裕を持って行動しているように見受けられます。そして、放課後になると熱心に部活動指導をし、生徒の下校時間直前までみっちり指導をします。部活が終わるとやることがないようで、職員室で少し雑談した後帰宅します。

 さて、皆さんはどちらの先生を支持しますか?

 かなり恣意的な例になったので弁解しますが、実はどちらかの先生に是非を突きつけるのではなく、なぜこのような違いが生じるのかを考えてみてほしいのです。

 2人の教員の違いはどこにあるのでしょうか?それは“本来すべき業務に割くべき時間の違い”です。おそらくA先生はあまりにも多くの業務を抱え過ぎている状況にあると言えます。もちろん授業準備に割く時間もあらかじめ想定できることが望ましいので、全ての点でA先生が正しいとは言い切れません。しかしその反面、B先生はどうでしょうか?人によってはサボっていると見なす人もいるかもしれませんね。でもやるべきことはやっており、部活動も熱心という点では生徒からの評価も高い可能性があります。

 この記事を通して読者の皆さんに考えてほしいことはここにあります。それは部活動を地域に委託する云々の前に、部活動を教員が指導できるだけの業務配分が、学校内部でなされているのかどうかということです。あまりにも多忙で部活指導をする余裕が無いと主張する先生がいる一方で、部活動は学校でできると主張する、時間的に余裕がある先生たち。これだけの業務配分の違いは直ちに見直される必要があると感じています。

 実際の経験ですが、一部の先生方はワードやエクセルすら満足に使いこなすことができません。そのような先生は、期限が設けられる成績処理や出欠管理、文書作成といった平日に時間を追われるような業務に携わることのない方々と言えます。この能力の差は、“できる人”の時間を搾取します。期限のある、かつ膨大な仕事というのは“できる人”に集中してしまうのです。

 さて、今回は部活動を誰が請け負うのかという問題からさらに現場内部に踏み込んで話を進めてきました。その本質として「業務の適正な配分がなされているのかどうか」ということを今一度皆さんに知っていただきたく思います。部活動をしている場合ではないと主張する先生ほど様々な業務に追われている可能性があると。そして、批判を覚悟で言うと、部活動を優先している先生は業務過多で苦しんでいる先生方の負担を分散させることができていないということです。

 教育現場は今、あまりにも多くの仕事を抱えているということはこれまでの投稿でも述べたとおりです。やはり学校の業務整理や業務の配分は見直されるべきでしょう。部活動の是非もこの問題と無関係ではありません。より広い視野を持ち、かつ細部にも目の行き届いた打開策が講じられることを期待します。


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