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昭和30年代男 日本経済を愚痴る(4)


 私がこれまでの学生生活からサラリーマン生活の間に知り合った友人、同僚たちの中には「勝ち組」と呼べるような人もいます。大学時代の友人の中には東証上場企業に就職して重役になった人がいますし、転職後に入った会社で大出世した人もいれば、それほど出世しなくても会社が大化けしてホクホクになった人もいます。
 私は・・・と言えば、会社に残ろうが転職しようが、おそらく大出世はしなかったでしょう。1990年代から約30年在職していれば年功序列でそれらしい肩書はついたかもしれませんが、重役にはなれなかったと思います。そんな人間が新天地で大出世できたとは思えません。さすがに管理職にもなれないとは思いませんでしたが、まぁ人事は本人が憤るほど不公平ではないと言いますので、50歳前後の人事異動で昇格せずに配置替えになったところで諦めました。今にして思えば、おそらく入社直後から選別されて管理職になる目は無かったのでしょうが、当時の私はまだそれに気づかず、毎年春の人事異動の発令をドキドキしながら待ったものです。ちょうどその頃は故・安倍晋三首相が主導したアベノミクスが始まったか始まる直前だったかという時期でしたが、アベノミクスが発表されたときには、今度こそ日本経済復活か!・・・と期待しました。
 ウィキペティアで調べてみると、「2012年11月14日、衆議院が解散されて衆議院議員総選挙を行うことが決まったため、自由民主党の政権復帰が視野に入ると共に円安・株高現象が起こった。安倍が11月15日、デフレ脱却・無制限の量的金融緩和政策を打ち出した・・・」とあり、この日の日経平均株価は8829円72銭で終わっています。これがアベノミクス相場の正式なスタートだとされているようです。ここから日経平均株価は今年(2024年)2月22日に最高値を更新し、3月4日に4万円を超え、日銀が金融政策を変更しても今日3月23日は4万0888円43銭で終わるくらいまで上昇したのだから、大したものです。
 でも、私はそれ以前に定年になり、退職金ももらっています。賃上げの「風潮」は今後の時給や年金額に多少は反映するでしょうが、現役世代にしてみれば、自分たち以上に定年後の高齢者の収入が増えるようでは困ってしまうでしょう。つまり、現時点で還暦すぎた元サラリーマンのうち賃金面で日経平均4万円時代の恩恵を感じることができるのは、本社または子会社の役員になって一般社員とは別の報酬規程で収入を得ているとか、きちんとした天下り先から理事・役員として迎えられている元公務員とか、恵まれた環境を築いた人々に限られます。もちろん定年後の再雇用でも会社の信頼が厚くて現役社員並みかそれ以上の待遇を打診されている方や、現役時代のノウハウを活かして自営業でも活躍されている方もおられるでしょうが、私はあいにくそうした立場に立つことはできませんでした。
 したがって今にして思えば、やはり日本にいる限り、私が失われた30年から逃れるのはむずかしかったのだろう・・・と思います。

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