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「出会うこと。また出会い直すこと。」

友人のオフィスの屋上で野宿させてもらった朝。思い立って茨城県の友人宅を目指すことにした。


「あのぉ、自転車で旅してらっしゃるんですよね?」
と吉野家で隣の席から、声がかかったらぎょっとする。コーヒーのお返しでいただいた商品券。それを使って牛丼だ!とお店に入った途端に、僕のあとに来たカップルから声がかかったのだ。

「え、えぇ!どうして知っておられるんですか?」いつもは出ないよそよそしい対応になってしまった。けど彼女さんの返答に思わず吹き出してしまった。

「日本一周コーヒーっていう看板を見て、なにか応援しようとちょっと先で待ち伏せてたんです!けどお兄さんいきなり吉野家に入っちゃうから!私達ごはん食べちゃったんだけど、追いかけてきたんです!」

これまで旅でいろんな出会い方をしてきたけれど、今回のは僕にもびっくり。こんな人がいるからおもしろい。と僕もいきなり出会ったこのおふたりに「どこかいいコーヒー淹れるとこないっすかねぇ?」と聞いて、みんなで作戦会議となった。

この先にある、廃線となった線路跡のサイクリングロードの休憩所なら自転車乗りも通るはず!ということで、昔の駅のホームだったところでコーヒーを淹れることに。こういうイレギュラーが旅の楽しいところだ。

そしたら自転車に乗り換えてきますからぁ!というふたりを見送り、サイクリングロードでまた合流。駅のホームでコーヒーを淹れはじめた。

夕方カップルのおふたりに見送ってもらって、そこから僕はまた柿岡のなおみちくんとゆきちゃんのところへ。そこでもご近所さんに声をかけてもらっていて、日が暮れた頃に着いてそのままコーヒー&夕食タイムとなった。

気心の知れた仲間が声をかけてくださったそのまたお仲間さんとの時間。ちょっとよそ行きになりがちな、会話をぜんぶすっ飛ばしていつものように会話しながら、それがすぅーっと伝わっていくような感覚を感じながら、お話をできるのが嬉しいしありがたい。気づいたらあっという間に夜が更けていた。まだまだしゃべり足りないくらいだけれど、100km走ってきた疲れからくる眠気に勝てずに眠りに落ちた。


翌朝。早起きしたけれど、暑さでカフェに避難しているというなおみちくん宅は朝からギラギラと太陽が照りつける。あちー!あちー!と言いながら、彼は僕のためにラオスの旅から持ち帰ってきたというコーヒー豆を焙煎してくれた。これでまた新しい物語とともにコーヒーを淹れせていただくことができる。

こうして旅していると、自分がなにかを「持つ」という感覚から、「預かる」という感覚に近くなってきているような気がしてくる。モノだけじゃなくお金も。お金のやりとりではないけれども、自分がいただいた気持ちや、気持ちのこもったモノ(お金も含めて)を自分がいったん預かって、それをまた誰かにお届けする。思いの配達人みたいなものだろうか。

こうして日々あたらしい出会いをいただき、すでに出会っている仲間と「新たな旅」を通して出会い直す。同じ自転車旅のようで、今までとまた違った何かを見つめ、受け取っている。



自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!