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詩: 『夏部屋』

畳の部屋
八畳の間
落ち着きの匂い

南側に続く縁側の廊下

大きなガラスは両脇に
網戸の先にはよしず
味わい深い色を持つ

通り抜けるそよ風
時折揺れるレースのカーテン

よしずから溢れる光
垣間見える紺碧の空
白い雲は生き生きと
太陽は南から西へ
景色は流れる

よしずの向こう

規則正しく肌に触れる扇風機の風
柱に掛かる風鈴
チリンと揺れる

聴こえてくるセミの音
畑の脇の柚の木から
夏の終わりのセミが鳴く
山鳩が静かに唱える声

聴こえる
よしずの向こう

水分を含んだ空気
暑く温く
私の体を纏う

夏の終わりの暦

感じる時節
未だ迎える暑く輝く日



2020.8.28 夏部屋より

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