この世は大海賊のセカイ

いつの日か、この世は逆光していた。
中世ヨーロッパ、江戸時代、ヤッたもん勝ちの大海賊のセカイ!!

メイン狩り場はSNSだ。なんでもありだ。目立って目立ち、過激な言葉。目立ちまくりの色使い。ド派手なサムネ。過剰なコトバを並べ立てて見世物小屋に自分を立たせる。フォローしてください、フォローバックしますよ! 約束するだけ、くちやくそくにして、コッチが万単位のフォロワーがついたらもう勝ち確だった。

でも、そんな海賊はこつぶなもの。何千人、何万人いるんだか、わかったものじゃない。
本当に目立つのは、実力のある、コンテンツを持っているひとたち。つまり海賊とは無縁のひとたち。そこも、かつての大海賊と同じだね。海賊はしょせん、海賊版にすぎないのだった。

しかして大海賊たちはユメを見る。ユメを見て今日もド派手サムネにフォロバ絶対にしますよとコメントして耳目を集める。むなしいことだけれど、かつての海賊の最後はみんな、ろくでもない死に方だったから、言うに及ばず、そんなセカイでも大海賊の時代はあったのだ。

世は大海賊時代。狂乱の時代。海賊たちのなかから、黒ひげやらナニやら有名な海賊が出世したなら、儲けもの。夢を見る者がまた増える。セカイはこうしてひび割れていく、その過程に今、私たちは直面している。

新たな人類のセカイか?
破滅への序曲か?

まだ、それは、ほんのひとにぎりの賢人にしか判らない。


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。