アンデルセンの進化論

何もないところには何も生まれない。しかし、ほんの少し、宇宙から粉砂塵のつぶが舞い落ちただけで、人間からしたら数え切れないほどの那由多の時を超えて、それは産まれた。

霊能者にはこれを予言した者がいた。童話作家を未来を描いた。アンデルセンと呼ばれる彼は、おかしな格好の人間を好んで描いたとされる。

しかし、それは、未来の預言書であった。やがて人類は枝分かれして進化し、あるいは退化して、ヒレのある子どもなどが産まれる。それが増えてきて、やがて彼女らは海でも呼吸ができうることを知るのだ。

人間は大小も激しくなって、生物学的に同じ生きものと見なすのも難しくなった。
奇天烈な姿カタチ、だけれど人間っぽさを残している奇怪なる新人類。それらのひとつが人魚姫で、アンデルセン童話の登場人物たちは次々に未来にて出現しはじめた。

人間を、宇宙から得た砂塵のようにして。

星はこうして進化する。地上の生き物を刷新して進化しつづける。次に置いていかれる者たちは人類だった。

地球は、進化しつづける。
童話作家のような預言書が、ときたま、その進化を夢に視るから、地球は人間を少しだけ残したまま、次の進化のステージに進ませることにしたようだ。

ついてこれないものは、沈没する。
まさに、星は進化し、それでいながら方舟であって沈没船であって難破船である。

深く、深く、旧人類は、沈められていこうとしていった。
自然淘汰である。


END.

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