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読書感想:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん5 (角川スニーカー文庫) 著燦々SUN

【君の小悪魔のような悪戯が、僕の心に波紋を呼び寄せる】


【あらすじ】
大人気青春ラブコメ第5弾! 波乱の学園祭編、スタート!
「……わたしだよ。さーくん」遂に訪れた初恋の人との再会。
マリヤが"あの子"であると認識した政近は、彼女への思いを巡らせる。
そんな思い出いっぱいな夏休みも明け、征嶺学園は二学期へ突入!
会長選に多大な影響を与えるという学園祭に向け政近はアーリャさんをフォローしようとするのだが、クラスメートと自ら距離を詰める彼女の姿に心を掻き乱される。
「もしかして……妬いちゃった?」
そう言って悪戯っぽく笑うアリサに、更に心は掻き乱されて──。
大人気ロシアンJKとの青春ラブコメ、恋模様が揺れ動く中、
会長選にも新たな動きが!? 波乱の学園祭編、スタート!

Amazon引用

怒涛の学園祭が開始する物語。


初恋の記憶とは切なくて何処か特別な物。
そんな最初の恋をくれた人はなんとマリヤだった。その事実に戸惑いながらも、時の流れは待ってはくれず。
会長選に多大な影響を与える学園祭が始まる。
アーリャのフォローを全力で行う政近だったが、級友達と積極的に歩み寄る彼女に何処か心は妬いていて。
再会と決別、意地と矜持が、目まぐるしく行き交いながら。
アーリャのあからさまになった露出的愛語によって、心は甘い痺れを伴いながらも。

恋心を目の前にして自分の振る舞い方を定めきれない政近と、不穏な気配を孕んだまま進行する学園祭。

アーリャとマリヤの想いに板挟みになる政近は、容赦ない選択を迫られる中で、自分なりの誠意として答えを模索していく。
今後の生徒会長選挙を有利に進める中で、外す事が出来ないターニングポイントとなる学園祭。

会長選挙の新たな動きに備えて準備をするだけではなく、政近の元に持ち込まれたのは友人である毅からの相談。
色恋沙汰で崩壊してしまった軽音部を学園祭に出演させる為に、アーリャにも協力してもらって、更には彼の伝手で新たなメンバーを集めていくマルチタスク。
新生のバンドで、慌ただしくも充実した学園祭に向けて準備を進めていく。

しかし、そんな目まぐるしい日々の中で。
自分が依頼した事とは言え、自分の見ている前で周囲と積極的にコミュニケーションをはかり、距離を詰めていくアーリャを見てしまうと。
悪戯をされたみたいに、政近の中で言いしれぬ独占欲と嫉妬心がフツフツと淀むように沸き上がる。
自分だけの特別だったアーリャとの関係性が失われていく現状を見て、心がバランスを崩して、平衡を保てなくなっていく。

それでも、そんな歪んでいく彼を案じたアーリャの真心の込もった本音に、心は蘇るように平衡を取り戻す。
自分らしい本来のメンタルで学園祭へと臨み。
そして、会長選挙の新たなラウンドであるクイズ大会、政近が諸事情により加勢できない戦いの場で。
鍛えてきた頭脳と今までの経験をフル動員させながら。
政近の応援を受けてアーリャは意地と気合を発揮して、絶望的に流れかけた苦境をひっくり返す。

一つの対決が決着を見せる中で、苦難を乗り越える為に育まれた絆と想いを、これからの依り代にして。
人間関係をロジカルに考えすぎず、好きだというシンプルな気持ちに身を任せて、大胆に行動してみるのも若い内だからこそ可能な、青春の特権だ。
相手を大切に想う気持ちに貴賤はなく、その心が無尽蔵に溢れる強い力を引き出してくれる。

迫りくる危惧を払拭して乗り切った前半の学園祭。次なる試練はバンドライブ。
そこで、どのような成長を遂げて、どんな風に輝いて行くのだろうか?

一つの節目に区切りをつけて、青春は佳境を迎えるのだ。














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