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読書記録:この△ラブコメは幸せになる義務がある。2 (電撃文庫) 著 榛名 千紘

【完璧に取り繕おうとする、君の本心を聞かせてよ】


【あらすじ】
もっとも幸せな三角関係、麗良の猛アプローチで早くも波乱の展開に!?

「邪魔なんかじゃない。だって、私も麗良も、あなたのことが……」

幼馴染同士の凛華と麗良。その二人ともから好意を向けられているとも知らず、仲を取り持とうとする天馬。

そんな奇妙な三角関係が日常になっていた矢先、麗良が生徒会長選挙に出ることに。これは二人を近づけるチャンスだと、凛華を応援演説に推薦するが……。

「麗良の家、矢代と一緒にお邪魔するわ!」

「はぁん!?」

やっぱりポンコツ美少女・凛華は天馬を巻き込んで……!? そこで天馬は麗良にも、とある『秘密』があることを知り……。

ラノベ史上もっとも幸せなトライアングルラブコメ、早くも波乱の第2弾!

「……紳士協定、破っちゃったかもしれませんね」

Amazon引用
登場人物紹介

選挙を通じて麗良と天馬が進展する物語。


八方美人は周囲に敵を作らない分、ストレスが溜まる。
周りの期待に応える聖女の様な慈悲深さで、面倒事を引き受ける麗良。
そんな麗良が遂に生徒会選挙に立候補する事になり、応援演説を凛華が名乗り出る。
その他諸々の厄介事は天馬が引き受ける。
奇妙な関係ながら、何処か均整が取れた彼らの猛進。
誰もが皆幸せになる義務がある。
この三角関係は、文字通り、三人で幸せになるべきである。ではそこに関わってくる問題とは何であろうか?
この三角形における問題。
まずは、天馬の鈍感さ。
それは仕方のない事かもしれない。
何故ならば彼の始まりは凜華に巻き込まれて、その思いを手伝う事になったから。
彼にとっては麗良と凜華を結び付ける事が一番であり、自分は二人の間には不要であるから。
しかし二人から求められている事を知らぬからこそ、GWの中で少しだけ進展しても、肝心なところは進展しないのである。
そして、麗良の躊躇い。
生来、我慢してしまうからこそ始まらない
だが、今巻では確かに何かが始まっていくのである。

奇妙な三角関係が徐々に日常となり始めた頃。
巡ってくるのは生徒会選挙。
しかしそのままいけば、唯一立候補している麗良が無記名でそのまま当選する筈だった。
だが、そうはならなかった。
バスケ部エースの文武両道な好青年、辰巳も何故か立候補してきて。
麗良にどこか粘着した態度で接する彼が気に入らず、当然のように天馬も巻き込んで凜華の陣営として選挙に加わることになってしまったのである。

推薦人と言う事で別に関わる必要もなかった筈なのに、応援演説を任された凜華はやっぱり抜けていてで、天馬を当然のように巻き込んで。
麗良の家では住み込みのメイド、沖田の常軌を逸さたヤバさに振り回されたりしながら。
選挙に向けて対策を練る中、天馬は麗良が隠していた秘密を知っていく。


辰巳が指摘してきた麗良と現生徒会の狭間の問題。
ひょんな事から代わりに引き受ける事になった麗良の日々の業務。
その大変さを垣間見て、その辛さを痛感する事で。
今度は麗良を救うべく、天馬は必死に駆け抜けて彼女の心を救おうと奔走していく。

凜華が愛した自分を嫌いにならないで欲しい。
人間だから、たまには文句を言ったって構わない。
不器用だけれど、真っ直ぐに向き合う天馬の真摯な言葉が、麗良の心の壁を解きほぐして。



生徒会長としてのリーダーシップと本心では苦悩を抱える麗良。
そんな、麗良を慮った結果、逆に彼女を傷つけるも、真摯に言葉を紡いで彼女の抱えていた本音を引き出してみせた天馬。
その蓄積された不満の吐露を一身に天馬が受け止める事で。
やはり、彼らに必要だったのは素直な感情のやり取りであった事に気付かされる。

深堀された麗良の完璧さ故の苦悩が爆発して、そのやり場のない怒りをしっかりと受け止める事が出来た。
別に完璧を演じなくてもいい。
失敗してしまってもいい。
他人の顔色を伺わなくてもいい。
一番大事なのは、自分のなりたい自分を目指す事。
腹が立つなら怒りをちゃんとぶつける事。
嫌な事はちゃんとNOと断る事。
それこそが、人間らしさであって、それでこそ、我慢しない良好な人間関係を築いていける。

その心の叫びを聞き届ける事で、生徒会は大改革を果たす。
それでも尚、恋愛のベクトルは迷子になっていく、自分でも制御出来ない矛盾を抱えながらも。
辰巳の思いも明かされ新しい体制が始まる時。
麗良は肥大した恋心に導かれるかのように、最期の一歩を詰めて見せる。
それは波乱への序章。
否応なく始まる混乱の幕開け。

お互いの本心をぶつけあって、失敗を許し合って、紳士協定さえも破った先に幸福な未来は待ち受けるのか?

すれ違う想いに明確な意志が宿った事で変化の引き金のきっかけとなるのだ。






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