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女の生き方と働き方はサウナで学んだ

高校時代に新宿のサウナに通う

私は約45年前。都立高校3年のときに一人暮らしをしていました。高円寺中野地区には高校生でさえ一人住めるアパートや下宿がたくさんありました。私の部屋は風呂無しだったので近所のお風呂屋さんに通っていました。お風呂屋さんの営業時間大体24時まで。全盛期だったので新宿のディスコに行ったりして、お風呂屋さんが間に合わないときは、西武新宿のアメリカンブルバードの近くのサウナを利用していました。今から約半世紀前の新宿歌舞伎町の入り口は、カルチャーがあり混沌としてワクワクと面白かったのです。

銀座のクラブーオーナーママがサウナ友

当時は女性サウナに来られる方はほとんどが銀座の高級クラブのオーナーママたち。当時のサウナには着物を着付けをするスタッフと部屋がありました。夕方、出勤前。ママたちはサウナにきっちりと姿勢よく入ったあとに畳の着付けの部屋に移動します。長時間座っていても着崩れがしないように着付けの男性がキリリと帯を締めながらママが和装になりプロに変身するのをうっとりと眺めていました。さらに日本髪を作る別の男性の方がいます。逆毛を立てたアップ髪。七宝焼きのかんざしと美しいうなじを芸術品をみるように見惚れていました。

ママから働く女のカッコよさを教えてもらう

顔見知りのママとはサウナでよく会話しました「ヒトからお金を貰うためにはそれなりのカタチが必要よ。それが相手への敬意よ。あなたがサービス業としていつか仕事をするようになったらプロに髪を洗ってもらい、そしてプロの車に乗りなさいと。プロの凄さを知ることが自分がプロでいるためには大切」と教えてくれました。名前も知らないママとの会話が私のそれからの人生と職業観のベースになっています。

女は戦場に行くときに1人で馬に乗る

ママたちの銀座は戦場。戦場に行くとき、1日の段取りを考えるために1人になることが重要だそう。だからタクシーではなくハイヤーで仕事場に行くそうです。彼女たちは下に待たせた車で着物姿で颯爽と出勤されていました。襟を抜いた粋なスタイル。そして美しい姿勢と表情、歩き姿。雑誌のモデルさんよりママのほうが美しくて遥かにカッコよかったです。

体調を整えるのもプロとしての仕事よ

当時の女性は結婚して専業主婦になるのが当たり前の時代。ママたちのプロ意識に感服しました。サウナできちんとお酒を抜かないと体調が戻らないと語っていました。体調管理もプロの仕事だという彼女たちはサウナでリラックスしている瞬間も、適度な緊張感がありかつ周りのヒトとの会話を楽しむ賢さがあり働く女のヒトの顔つきでした。

都内温泉サウナ巡りにハマる

その後に都内温泉ブームが来て、今はなき真っ黒なお湯の中野坂上の十二社(そう)温泉。懐かしい佇まいの麻布十番温泉。残念ながら事故を起こして閉館になつた松濤シエスパ等。温泉サウナもよく行きました。韓国ブームの前から、赤坂の韓国料理やさん直営のサウナの待合室で流行り前の韓国ドラマを見たり、大久保のルビーバレスではアカスリしたあとに泊まったりしました。江戸川区東京健康ランドにも、わざわざ夜中に行って泊まっています。東京健康ランドの着替え放題のアロハ柄のムームーは自分の服のなかでも一番似合っていて気に入っていました。フリーサイズに見えてもXLサイズが充実しているのも特筆モノです。

銭湯サウナで出たばかりのポカリに出会う

近所の銭湯代にプラス200円で入れる銭湯サウナにもよく行っていました。近所にたくさんありました。私のなかでサウナ人生が違うステージに行ったのがポカリスウェット青缶の登場です。サウナの後に飲むと最高なんです。銭湯のドリンクがまだ牛乳瓶だった時代に衝撃が走りました。ビールを飲むためにサウナに入るおじさんを尻目にポカリを飲むためにサウナで汗をかいていました。

サウナが好きな理由はリゾート気分

サウナが好きな理由は実は疑似リゾートトラベルです。サウナに入って目をつぶっていると水の流れる音と温風でハワイや沖縄とかの南の島にいる気分が味わえるから好きです。プールサイドでのんびりしている感覚に入れます。

休憩室も大好きです。韓国サウナでテレビに流れる韓国のバラエティを見ながら、紺色のブルマスタイルのアカスリのおばさまに混じって牛骨スープの白い韓国うどんを片膝立てて1人ですすっているとソウルに旅した気分になれます。私のサウナ好きは南の島のリゾートホテルのプールサイドとアジアの街角からスタートしています。

実は30代あたりでブームに終焉を迎えるときがきます。それはサウナ常連さんたちの結石問題です。今みたいにインターネットがないから、皆さん達成感を求めてチャレンジするようにカリカリのドライサウナに毎日毎日入ります。私も癖になって通っていました。常連さんに分けてもらうハチミツ漬けのレモンなどをかじりながら、サウナのなかで世代関係なく汗をかきつつ話すのはとてつもなく楽しかったからです。

サウナの脱水の怖さ

医師に聞いたら、大量に汗をかくので脱水症状になり腎臓や尿道に石ができやすくなるらしいんです。常連の方に「あれ。あの方は?」と伺うと大概が石でした。手術をされた方もいます。常連さんのホラーみたいな石が激痛武勇伝を聞いて怖くなっただけでなく、自分が石が出来やすい体質だと知りハードなサウナ道は卒業しました。今はジムのゆるゆるミストサウナを楽しんでいます。

サウナが整う意義は水風呂にあり

さらにサウナの効用は水風呂にあると違う医師に伺いました。急激に入らなければ関節や筋肉に溜まった炎症や熱が冷水で取れるそう。水風呂で整う理由はこれだったらしいんです。

サウナブーム万歳

高校生からサウナで人生を学びました。裸の付き合いはなかなかよいものです。サウナブームが来ていますが当然だと思います。気分転換、リフレッシュになるだけでなくいろいろと学べて知り合いも増えてとても面白いです。ぜひサウナに行ってみてください。できればマッサージもアカスリも休憩室での漫画も全部体験してください。手軽に幸せが手に入り仕事も楽しくなります。

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